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ゆーこコラム

ゆーこのムーンライダーズ論その1

予告通り長くなりました。
携帯の方は見られないかも・・・
では行ってみよう。

本記事は長くなりそうなので、「である調」で書かせていただこう。

まず最初にお断りするが、私はムーンライダーズの
いわゆる良いファンでは無い。
活動再開以降はだいぶ(これでも)冷めた目で見ているし、
持っていないアルバムもかなりある。(特に再開以降。)
ライブを見た回数は先日のWorld Happinessを入れて6回くらいだ。
だから、かなり断片的な自分の体験の中からの文章になることは
どうかお知り置き頂きたい。

「ムーンライダーズは都会のもやしっこの線が細い音楽だと言っている友人がいまして」と言われたのは先述のとおりだが、
その時、一瞬返答に困った。
何を指して線が細いと表現されたのか、とても良く分かる。
一方で彼らの音楽は全然線が細いとは思えない。
あれだけの長い活動歴の中で音楽性に変遷があったから・・・
というのは、説明になりそうで、でも何か違う。

ではその考察を始めるにあたり、
またしても先述の、「ムーンライダーズの音楽は音楽ではなく文芸作品である」という持論に従い、
それぞれのメンバーの歌詞を少し引用してみよう。
ここでの引用元はすべて新潮文庫「ムーンライダーズ詩集」である。
と、ここでつまづきが。
武川雅寛と岡田徹については詩集に収録されている歌詞が一つも無いではないか!!
まあとりあえずそれ以外のメンバーの作品で進めてみよう。

鈴木慶一(ムーンライダーズのリーダー。リードボーカル、ギター、その他いろいろ) 

  何でこんなに 暑いんだろう
  それはきみが窓を しめたがるから
  この部屋は 壁一枚で地獄
  指と指に汗 ピクニックに行こう 急いで森へ(「G・o・a・p」)

  午後になって 寒気がして
  ヤブの中に アンテナ一つ立てて
  草の上で眠る 自分の声入れて 土の中に埋める

  夢が見れる機械が欲しい夢が見れる機械が欲しい
  夢が見れる機械が欲しい夢が見れる機械が欲しい (「夢が見れる機械が欲しい」)

  ぼくは運べない 交換できない
  売りものにも 何にもならない ものが好き
  ポケットにも 入れられない
  戦争になっても 持って逃げれない ものが好き

  何の価値もない もの こと 好き (「マニアの受難」)

鈴木博文(鈴木慶一の実弟。ベース、時々ボーカル その他)

  工場からのサイレン 川を渡るぼくたち
  パンをかじりながら ほほえみあう
  垂直な男はみんな 鋼鉄を曲げる
  光の粉とほこりと 汗を散らして(「工場と微笑」)

  吹きっさらしの夕日のドックに
  海はつながれて 風を見ている
  行くあてもない 土曜のドライバー
  夢をみた日から きょうまで走った(「くれない埠頭」)

  とある冬の街角で 朝がコートに凍りつく
  きみは駈けても豚だけど ぼくは走って灰になる(「ぼくは走って灰になる」)

かしぶち哲郎(ドラム、時々リードボーカル)

  どうしたの いや 何でもないさ
  ぼくはいつも 砂を握りしめて
  倒れている

  日は昇り 夢は滅ぶ
  遠く空の果て 虚弱な大地は
  今も報われない

  素敵だね 素敵だな
  ぼくはいつも
  夢を胸に抱いて
  疲れている (「砂丘」)

  百億の謎を解いて
  青春のエンブレム

  薔薇がなくちゃ 生きていけない
  薔薇がなくちゃ 生きていけない (「スカーレットの誓い」)


白井良明(ギター、時々ボーカル、その他いろいろ)

  晴れた日に 風呂につかる ボク
  ゴシゴシと身を潔める ボク
  ワッホッホ ワッホッホ ホー
  運が良けりゃ 富士山が見える ワッホッホ (「トンピクレンっ子」)


好きな曲ばかりなので引用がつい長くなってしまうのだが、
確かにこの鈴木慶一の病的な神経の繊細さ、博文の純文学然とした冬の街や海の描写、
かしぶち哲郎のメロディから抜き出しても一編の詩として成立する言葉の強さ、
(「砂丘」の歌詞はあまりに好きなので全編引用してしまった)
これは線が細いと言われる理由にも、私が「文芸」と評する根拠にも、十分ではないだろうか。
一方で白井良明のこの歌詞は一体?
これが「線が細い」論を素直に受け入れられない、ムーンライダーズの決して小さくない一面である。(続く)
Commented by momayucue at 2009-09-12 20:09
たにぴ@ログイン中です。
ぼくのライダース初体験は、なんとアグネス・チャンのmeimeiというアルバムでした。
http://momayucue.exblog.jp/5268874/
驚いたんだけど、このアルバムあたりが、ライダース結成のきっかけだったんですねー。
Commented by ゆーこ at 2009-09-13 00:20 x
yukihiro mさん

コメントありがとうございます。
そですね、今のライダーズを聞いてる方からは多分そういう評は出てこないでしょう。
私は今の「シュプレヒコール」の力に安穏としているように見えるライダーズはあんまり好きじゃないです。

ボーカルで特筆すべきは武川さんかな。でもいろいろあってもやはり慶一のバンドです。
ライブ会場では男性の方が熱狂的なように感じます。

実は「ユリイカでライダーズやるけど書かない?」と言われたことがあります。
その時誘ってくれたのも男性でしたね~
by momayucue | 2009-09-12 03:35 | ゆーこコラム | Comments(2)

モンキーマインド・ユー・キューブ・バンドのミュージックライフ。 こんな時代も音楽でしょう!


by momayucue
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