ゆーこコラム

ゆーこのムーンライダーズ論その2

ゆーこのムーンライダーズ論その1からの続きです。

ここで、多少話が飛ぶ感があるかもしれないが
ムーンライダーズの「シュプレヒコール」について触れよう。

シュプレヒコールというと、「マニア・マニエラ」の
「温和な労働者と便利な発電所」の
「Jobless Jobless Jacobin Jacquerie 職無し それシュプレヒコール」
という一節が思い浮かぶのだが、
この曲に限らずこのアルバムは全体を「労働者」「革命」「社会運動」のようなイメージで統一している。
ジャケットからして深紅の背景に銀色の歯車なのだ。
ただ、このアルバムに描かれるのは、
まともな社会派メッセージというよりはイタリアの未来派からヒントを得た、
極めてイメージ先行の実体感の無い「革命」の物語である。
それでもこのアルバムによって、「ムーンライダーズ」と「シュプレヒコール」の間に
消える事の無い関連性が出来上がったように思う。

これ以前にも、シュプレヒコールを連想させる、メンバー全員でのユニゾンボーカルは
サイモン&ガーファンクルジョン・サイモン曲の秀逸な和訳カバー「マイ・ネーム・イズ・ジャック」や、
「白い粉」のことを歌った「ジャブアップ・ファミリー」など随所に見られていた。
だが、「マニア・マニエラ」に見られるユニゾンは、
突き上げる拳が似つかわしいまさに「シュプレヒコール」なのである。

引用したかしぶち哲郎の「スカーレットの誓い」、
歌詞には無いのが
「ヤーヤーヤヤーヤーヤー ヤーヤーヤヤーヤーヤー」というユニゾンボーカル。
活動再開後のNHKホールでのライブでこの曲が演奏され、
居合わせた観客のほぼ全員が一斉に拳を振り上げた時、
私が感じたものは「ライダーズファンってもっとクールじゃなかったんか!」という衝撃と
「やっぱりそうなっちゃうよな!しょうがないよな」という安堵だった。
同じく引用した「工場と微笑」には
「オー エー オー エー(どう聞いてもoh yearではない)」という
掛合いのシュプレヒコールが入り、曲の最後ではメンバー全員のユニゾン大合唱となる。
この肉体派イメージ、線はどう見ても極太(笑)じゃん・・・マッチョじゃん・・・


さて、話は更に進む。
ここで、詩集に歌詞が収録されていない、残り二人のメンバーに登場願おう。
岡田徹(キーボード、作曲、ときどきボーカルその他とにかくいろいろ)
武川雅寛(トランペット、バイオリン、ときどきボーカルその他いろいろ)
ムーンライダーズのサウンド面から言って、この2人、
そしてブライアン・メイのようなギターをかきならす白井良明がいなければ、
恐らくサウンド面でのムーンライダーズ風味は失われる。

まったくナンセンスな分類ではあるが、
私の中では
ムーンライダーズの左脳=文系男子=鈴木慶一、博文、かしぶち哲郎
ムーンライダーズの右脳=体育会系男子=岡田徹、武川雅寛、白井良明
となっている。
先に長々と引用した繊細な歌詞群を、拳つきあげ暴れ通しの体育会系サウンドが引っ張る。
しかし、「砂丘」のようにサウンドもあくまで儚げな曲あり、
「トンピクレンっ子」のように繊細のセの字も無い曲もあり
そのブレンド比率、さじ加減によって、なんだか良く分からないまでに振れ幅が生じる。
だから一面からでは切り取れない。線が細いのか?それとも骨太なのか?
一言じゃ言えない。
でもそれって・・・男っていう生き物そのものじゃないだろうか。
小学校時代、クラスで何人かの男子が群れをなして騒いでいる時の
あの訳のわからないおかしさを、
いつも彼らのライブやアルバムには感じるのである。

さて最後に、
その中でも繊細文系筆頭と思っていた鈴木慶一だが、
野球大好き、サッカー大好きな体育会系男子だったようなので
上記の認識は改めないといけないだろう。
World Happinessのステージにサッカーユニフォームで登場し、
演奏の最後には危険をかえりみず客席にサッカーボールを蹴りいれていた(本当に危なかった!)
それに限らず最近のライブやアルバム、どうも体育会系モードが優先なようで、
どちらかというと文学青年好きの私としてはどうしても以前よりは距離を置いてしまうのである。(了)

はは、長かったー!
二度とできんな・・・
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Commented by yukihiro-m at 2009-09-12 19:35 x
一連の文章、拝読しました。文芸、という表現を見て、先日の席で、自分が言いたかったことは、そういうことかも、と思いました。
また、当方がご紹介した「都会の団地っ子の音楽」という表現は、80年代前半に、ライダーズファンのやや年上の男性から言われたことです。その人は、多分デビューの頃からリアルタイムで聴いていたかもしれません。音楽性には変遷がある、と書かれているので、遅くなりましたが追記します。

自分の周りのライダーズファンというのは、女性が多いのですが、実際の比率はどうなのでしょうか・・・・。
ゆーこさんの文章を読んで、女性が男性について抱く”文学的・内面的”な想像なり幻想なりを満足させてくれるバンドなのかな、という気がしました。
なお追記ですが、当方にとってのライダーズのイメージは、ほとんど、鈴木慶一のボーカル、です。ゆーこさんの分類による、ライダーズ内・右脳セクションのかたがたの音楽は、正直、知らずにいます。
Commented by ゆーこ at 2009-09-13 00:27 x
たにぴさん

その頃はきっと
極貧で「スカンピン」で
お店から出る時はコートの下に出来る限りの食品を詰め込み(つまり万引き)出て来てたという頃のことでしょうなぁ。

私が好きな曲は「ヌーベルヴァーグ」以降が多いです。
Commented at 2009-09-13 11:42 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by ata at 2009-09-13 21:13 x
音楽に言葉がほとんど響いてこないわたくしなので、なんかあまりはまる事なく生きてきました。
さえこちゃんとかリラのホテルとか松尾きよのりとか好きでしたが…
鈴木兄弟があかんのかねー…
ユキヒロのライブLPでエイプリルフールズのエレピを慶一さんが弾いていてそれは大好きでした。
Commented by ゆーこ at 2009-09-13 22:07 x
>鍵コメさま

どうもありがとうございます!
ちょっと調べます〜(今日は根性がありません・・・
ごめんなさいっ汗)

>ataさん

そーなんです。
言葉で歌を聴くタイプと、
言葉は二の次で音楽を聴くタイプと、
どうやら世の中にはいるんじゃなーと思っております。

私は青山陽一のライブで
後者にかなりコペルニクス的転換をしてますが
やっぱりまだまだ前者寄りだと思います。
Commented by yukihiro-m at 2009-09-13 23:54 x
>ゆーこ様
当方の持論ですが、女性リスナーは歌詞重視、男性リスナーはメロディ重視(あるいはサウンド重視)、という傾向があると思います。この持論については、結構自信があります。歌詞はほとんど重視しないか、あるいはごくごくおおざっぱにとらえて済ませる男性リスナーは多いですね。別の言い方をすれば、歌詞は一応把握しているけど、それに感情を動かされることは少ない傾向、とも・・・。
Commented by ゆーこ at 2009-09-14 23:58 x
えー、大変申し訳ありません。
「My name is Jack」は
サイモン&ガーファンクルの曲じゃないだろー!と
複数の方からご指摘いただきました。
正しくは、ジョン・サイモンがオリジナル(「You Are What You Eatという映画のサントラ収録だそうです)、ムーンライダーズがカバーしているのは
マンフレッド・マンがカバーしたバージョンでした。
訂正してお詫び申し上げます。
ご指摘いただいた皆様、ありがとうございました!
サイモンしか合ってないという(とほほ
Commented by ゆーこ at 2009-09-15 00:06 x
yukihiro-mさん

あ、2にコメントをいただいて
1にレスをしてしまった。
たまにはりきって長文なんて書くから
こういうボロボロ状態になるのですな〜、ああ。

私の実感からすると、
歌詞を自分の体験に引き寄せて
感情移入することは
あまり性別は関係無い気がしますけどねー。
ただ、サウンド重視して歌詞にあまり気をとられない
女性リスナーという方には
確かに今まで会ったことは無いかもしれません。
by momayucue | 2009-09-12 03:39 | ゆーこコラム | Comments(8)

モンキーマインド・ユー・キューブ・バンドのミュージックライフ。 こんな時代も音楽でしょう!


by momayucue
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