小理屈「いやカタいのなんの」

トリップ バイ ミュージック

コカ・コーラのサブリミナル実験の話は、ご存知の方多いと想われます。ジェームズ・ヴィカリという人物が、1957年に、とある映画のフィルムに、知覚認識出来ない速度で広告を忍ばせた。その結果、コカ・コーラとポップコーンの売上げが数割増しになった、と言われるものです。
この逸話、私も子供の頃に聞いていたのですが、即座に、どうかねそれは?と訝ってしまいました。イヤなガキですね。イヤ云々は兎も角、私にはその噺、にわかに受け入れ難いものでした。
まず、素朴な感想の箇条書き。
・ほんとかよ。そんな効果ホントにあったの?
・っていうか効果あったとしても普通に広告した方が効き目あるんじゃない?
・コーラ嫌いな人はせっかくの映画も訳解らずに嫌いになっちゃうんじゃ…。
そして、現在となっては定説化してることの箇条書き。
・1957年にそんなフィルム技術があったのか。
・伝説によると、「ピクニック」という題の映画であった。そんなタイトルの映画であればコーラ類もポップコーンも欲しくなる。しかも「一説には」実験の日は暑い日中に、ドライヴインシアターで行なわれた、とも。
・ジェームズ・ヴィカリという人物は、学者ではなく市場調査会社の人間だった。この研究成果は、論文でも厳密な数値データでもなく、マーケティング業種の、それ自体パブリシティだったのでは。
・「一説には」とした通り、曖昧な情報しかない。それどころか、この実験は存在しなかったというのが今日最も有力。
なんてこった。

音楽にはサブリミナルにうったえる特殊効果がある、とよく語られます。
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ヘンリー川原さんという方が、一連のそんなものを作ってます。効き目は…、あると想います。たまたま中古の100YENとかで入手したものが2枚あります。かなり、へんてこりんな気分になります。その言葉をどう解釈して下さるか…、私は責任はとても取れませんが、酔っ払いや薬物には適いませんし、シチュエーションを整えたらそれなりに、とも言えますが、恐らく、「普通にイイ音楽」の方が向いてるでしょう。

しかし、このサブリミナル説のオカルト的な魅力は尽きないようです。
松本清張の「砂の器」では、殺人の手法に音楽が使われる。これはサブリミナルとは違いますが、音で人に傷害を加えると言うのは、社会派推理小説の最高峰としてはかなり極端な印象。
尤もたにふじは、耳が多少高域に敏感に出来ている様で、時々自動ドアの付近を歩いてて、激しい頭痛に見舞われることがあります。異様に高い音が、本当に聴こえるんです。どの建物のどの自動ドアか、ふふふ、教えましょうか…。

α波という言葉が流行ったこともあります。人間が自然に心地良い状態になれる波形がある。ただその「心地良さ」も、あらゆる背景と状況と気分と偶然を伴って、一要素として、どっちに転ぶか判らない。刺激に飢えた現代には、イージー・リスニングは退屈、と切捨てられてしまうことが少なくない。80年代のニューエイジのブームさなかには、インテリアの様な音楽と持て囃す人と、低俗で志が低いとこき下ろす人がいた。それは、音色も、演奏者の技術も、感情の質量(或る歌手の一世一代の名演が、恋人を飛行機事故で失った直後だった…)、等々、本人にしか働かないサブリミナルも含めて力を発揮する。その力って、しかし読めるんだろうか。意図は確実に相手を動かすのだろうか。

私は、マニュアルとか交渉術とかが苦手です。確かに定量的効き目はあるのかも。しかし、それは、まず自分自身を説得してるだろうか。ディペートのゲームは、とてもタフなものだ。しかし、ディペートで全く得られないカタルシスがある。夢かも知れないけれど、人が音楽を求めるのは、そういったことであるべき。
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by momayucue | 2009-12-27 17:25 | 小理屈「いやカタいのなんの」 | Comments(0)

モンキーマインド・ユー・キューブ・バンドのミュージックライフ。 こんな時代も音楽でしょう!


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