小理屈「いやカタいのなんの」

All Together Nowについて、と、All Together Nowから想起して…

All Together Now by LION
1985'6/15、梅雨時の薄曇りで決して暖かくはない初夏、代々木の国立競技場で、当時の言葉で言うニューミュージックにあたるミュージシャンが大挙して参加し、交代で演奏しその殆どが何らかのセッションを行って、あろうことか最後にはWe Are The World宜しく全員が1曲を代わる代わる演奏する、というイベントがありました。All Together Now です。
出演者、セットリストは、煩雑になるので一番最後に追記しますが、何しろ「共演」というのが凄い。私が知るあらゆる国内のガラコンサートの枠を大きく越え、こんにちと比較しても前例が無い。
これだけの代物でありながら、今も殆ど語られないという実感は、当時を知る人の共通のハテナなのではないか。何故なんでしょうね、いったい。

このコンサートは、成功であり、失敗でもあった。

まずこれだけのミュージシャンが当時集まった事実に匹敵するものがあったかどうか。

木田たかすけ、というアレンジャーがいます。彼の最も有名な編曲の仕事は、かぐや姫の「神田川」です。バイオリンのイントロと、典型的なギターのアルペジオ、メンバーのコーラス。その後のステロタイプとなった4畳半フォーク・サウンド。木田さんは交通事故で若くして亡くなり、80'6/29、日比谷の野音で追悼コンサートがありました。このメンバーが凄かった。参加者のばらけ方は、もはや凶暴とすら言えるもの。ナターシャー・セブン、5人のオフコース、かぐや姫、風、五つの赤い風船、吉田拓郎、小室等、遠藤賢司、斉藤哲夫、下田逸郎、かまやつひろし、イルカ、りりィ、はしだのりひこ、ダ・カーポ、山本コータロー、五輪真弓、加川良、沢田聖子、ダウン・タウン・ブギウギ・バンド、金子マリとバックスバニー、チャー、スピードウェイ、スクランブル・エッグ、上条恒彦、倍賞千恵子、吉川忠英、瀬尾一三、岡本おさみ、喜多条忠、その他もう把握出来ない。一瞬にしてこれだけの人が集結出来たのは、やはり追悼という性格からでしょうか。

d0041508_2349282.jpgそして、2000'12/16〜17の2日に渡って行なわれた、写真のメンバーによるコンサート。
メンバーがわかるかどうか、豪華と感じるかどうか、意見の別れる処かも知れないですが、これは、98年に亡くなった日本が誇るギター奏者、大村憲司の追悼コンサートです。私はこの2日ともライヴに足を運びました。2日目には柳ジョージも出演し、木田たかすけ氏との時と違って没後2年という長い時間経過もあって、出演者は互いのステージに参加し、憲司さんを偲びながら、にこやかに演奏していく。今は亡き加藤和彦さんが直前にキャンセルになってしまったのは、とても残念。しかし、没後2年を待ってしまったという事実が、如何に彼等にとって、どうしてもやりたいコンサートだったかを表しています。

今上げた例は、今回の主役であるAll Together Nowを挟んだ、たにふじが何らかの形で知っているガラコンサートです。所謂夏フェスみたいなものは、その後じゃんじゃん出てきますし、いずれも充実しています。巨大なモニター画面で、客席の何処の席でも、ほぼ等しく演奏者が確認出来る。85年頃と比べたら夢の様です。それは、自分の持ち時間を演奏するという意味を大きく越える「意義」の様なものは無いし、勿論不要で成立します。的確な表現が見つからないのですが、呟きたいのは、All Together Nowや、木田さん、大村憲司さんのコンサートは、一寸違った、というそれだけです。

何故All Together Nowを成功と呼べるのか。その成果は、本当に巨匠と呼べるミュージシャンが、プライドを維持しつつ、We Are The Worldのメイキング・ビデオなどを意識の角に置き、ぎくしゃくとした、完全に仲良くなっていない空気の中、前に進もうとした。だから何とか成し得た。例えば当時何かと槍玉に挙げられることの多かった、さだまさしさん。客席の冷たさは、ぞっとするものがあります。それでも、耐えたんです。終演後、とあるニュー・ミュージック系ライターが、声高に、
「失敗だ。松山千春、井上陽水、中島みゆき、山下達郎、甲斐バンドが出ていない」
と叫んでましたが、そんなことを論っても、意味もキリも無い。限定的に、時間的に可能な範囲でセッションを行い、全員でテーマ曲を歌うイベントは、何とか成功に漕ぎ着けた訳です。何とか…ね。

ここ数年、小田和正さんが年末にTBSで放送している音楽番組、「クリスマスの約束」。
09年は、巷で大評判になった、旬なシンガーソングライターが20組集まり、自作曲のブリッジ部を歌い、更にコーラスに参加する、23分近いパフォーマンス絵巻。もう盛り上がらずにはおかないでしょう。さながら「夜ヒットのオープニング・本気バージョン!」。出演者は集まれる範囲だし、しのこの言ってばかりの登場人物達には、
「勘が悪過ぎ!盛り上がるに決まってんじゃん!何もたついてんの!」
と観てていらつく場面もありましたが、逆にTV的メリハリになっていて、視聴者の私はまんまとやられたって感じです。
一方09年を締め括る紅白では、久石譲さん作によるワルツが、出演歌手によって一節ずつ歌われるコーナーがありました。想えばこの数年、紅白ではこのような企画をしていた気が…。果たしてその作品がこれからも残るものかどうかは、NHKの胸先ひとつです。どうかぞんざいに使わないで欲しいもの。

d0041508_23492844.jpgさて、このCD-Rは何でしょう?
"All Together Now"という、イベントと同タイトルの「楽曲」があります。このイベントの為、数名の中核メンバーが作った曲です。出演者が交代で歌う様は、前年に世界を席捲した、Do They Know It's Christmas?、We Are The Worldを想起させるに充分。その歌詞も(テキストも公式には無いし発売もされてないので、知りたい方は私迄個別に連絡を…なんちて)、深読みの余地無くチャリソンの体裁。

雑誌で読んだ南こうせつさんのインタビュー(記憶のみ)。
この際だからみんなで曲作ってみよう、と誰かが提案し、ユーミンも
「自分のメロディに拓郎の歌詞が乗るのを歌ってみたい」
と言っていたが、拓郎は「めんどくさがって」いた。
そんなミーティング場面に、偶然薬師丸ひろ子が来る。こうせつがこれに乗じて、
「じゃあ当日ひろ子ちゃんが拓郎に花束渡すんでどう?」
薬師丸さんは、勿論行きます!と。途端に拓郎はデレッと(^^;。これで成立。歴史は酒席で作られる。

しかし、結局この稀代の大作"All Together Now"は、2度ラジオでオンエアされただけで終わってしまった。そう、そこは、限界であり、失敗でした。

その背景に、
http://d.hatena.ne.jp/snakefinger/20091029/p2
を最近見つけ、唸ったものです。出演者達がチャリソンに対して裁量が小さかったのも無いとは言えないだろうが、要約するとTVとラジオのユーザー層、提供層の違いから、対立すらあったということなのだから、なんてこった、窮屈だな、人生は。
当時ニッポン放送の制作にいた亀淵昭信さん、のちに社長としてライブドアと対決するあの人が、ラジオ人脈を活かして一世一代のこのイベントの為に動いたとのこと。All Together Now 「今、全てを、共に」。しかし、TVはそうではなかった。ラジオより相当に後発なこのメディアは、インターフェイスのお気楽さからか、どちらかというとシニア層にアピールするメディアだった。

さて、学ばないと。ここから何かを学ばないと。イベントを振り返るので終わりにしないのが、たにふじの人生の窮屈さだ。

福山雅治さんのラジオDJを偶然聴いた時に、その熱心さに恐れ入ったことがあります。こいつは面白れえや。何処がかって、彼は70年代80年代の元気だったラジオの時代を知っているんです。リズミカルに喋り、下ネタをがつんがつん披露し、選曲をする。それは最新型ではないかも知れないですが、今や崖っぷちになったメディアのひとつのスタイルが活きている。きっと、もっと活きられる筈です。しかも福山まちゃさん、インターネットに殺されたと誰かがうそぶくTVでも活躍。
そう必要なのは、屈せず笑い飛ばすパワーなのかも。そして今なら、All Together Now だって更にクリエイティブに、メディア側だって、次世代の共通のライバルに対抗して、或いは…次世代も含めて、団結出来るかも知れない。

米では、くさりじゃらじゃらのヘビメタさえも、"Stars"というチャリソンを出しています。当時ビデオを観ましたが、英語圏の人間って、要するに神も悪魔も単純で善良なのかしら、と感心したもんです、極端に喧嘩と差別と断言がキライなたにふじとしては。

ZERO LANDMINE。坂本龍一。その強烈に音楽であろうとする意志は、私の教科書です。


▼吉田拓郎/オフコース
M1 おまえが欲しいだけ
M2 Yes-No

▼アルフィー
M3 ジェネレーション・ダイナマイト
M4 鋼鉄の巨人
  〜ポール・サイモンのBOXERをちらっとカヴァーしてた。
M5 星空のディスタンス

▼ラッツ&スター/アンルイス/山下久美子/白井貴子
M6 Aquerius
M7 You've got afriend
M8 こっちをお向きよソフィア
M9 So Young
M10 今夜はイッツ・オール・ライト
M11 Chnace!
M12 ロックンロールウィドゥ

▼武田鉄矢
M13 贈る言葉

▼財津和夫/ブレット&バター/つのだひろ(ゲスト:チェッカーズ)
M14 涙のリクエスト
M15 I just call to say I love you

▼南こうせつ/イルカ/さだまさし
M16 まんまる
M17 愛する人へ
M18 すべてがラブソング
M19 秋桜
M20 なごり雪
M21 神田川

d0041508_23492872.jpg▼はっぴいえんど
M22 12月の雨
M23 風をあつめて
M24 花いちもんめ
M25 さよならアメリカさよならニッポン

▼サディスティックユーミンバンド
M26 ダウンタウンボーイ
M27 シンガプーラ〜 中国女
M28 タイムマシーンにお願い
M29 今だから

▼佐野元春(ゲスト:サザンオールスターズ)
M30 Young Bloods
M31 New Age
M32 Happy Man
M33 モータウンメドレー(最後はツイスト・アンド・シャウトだった…)
M34 You really get hold on me
M35 夕方Hold On Me

▼全員
M36 ALL TOGETHER NOW
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by momayucue | 2010-01-20 23:49 | 小理屈「いやカタいのなんの」 | Comments(0)

モンキーマインド・ユー・キューブ・バンドのミュージックライフ。 こんな時代も音楽でしょう!


by momayucue
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