2011'1/8 阿佐ヶ谷の「バルト」という居酒屋で、城田じゅんじさんのコンサートが開かれた。
ぼくは彼の「ソフトシューズ」というアルバムが大好きで(このアルバムは、聴いたら誰でも絶対好きになると想う)、アナログを2枚持って行きました。
短いインストに続き、「朝の雨」の流麗なスリー・フィンガーが始まり、歌い出した時には、観ているのが苦しくて、下を向いて涙を流していました。やはり誰でも感傷的にならざるを得なかったと想う。待ってた。でも、怖かった。でも、本当に心から待ち望んでいた…。
休憩時間に、アルバムにサインを頂きました。
谷「あの、サイン頂いていいですか?」
城「あ、勿論もちろん。請求書じゃなければ」
谷「(^^;…、オートグラフのほうですのでー。
城田さん、待ってましたよ…」
城「…ありがとうございます」
谷「最初『朝の雨』が始まったときには、涙が出てきました」
城「まあ、最初だけネ(^^;」
谷「うん。あとは笑ってました(^^;」
共演の美貌のフィドラー、内藤希花(まれか)さんに、
城「ここにほら、しょうごちゃんが。石川晶さんも、稲葉国光さんも」
谷「せっかくですので、フィドルのかたもサインお願いします」
ま「え"え"ーっ。私名前しか書けないし、そんな申し訳ないですからー」
城「じゃあオレ(マジックの)太い方で書いたから、まれかちゃん細いほうで書きや」
かくしてぼくは、新進アイリッシュ・フィドラーの初サインをゲットした。
城「いやあ懐かしい。貴重なものをありがとうね」
谷「え?ご自分で持ってないんですか?」
城「いえ、持ってます」
谷「ぎゃふん」
客席も併せて歌う昔ながらのフォークらしい場面も含め、後半が終了。
その後、スタッフが企画した打ち上げにも、順番を待って参加させてもらいました。
それが、遠慮して一番最後に入っていったら、なんと空いてる席は、城田さんの隣!
緊張のあまり何も話せなかったけど、やがておずおずと、
今後のことを。チャップリン・イン・ニュー・シューズのような曲も、今後すこしずつコンサートでやっていきたいなどとお話してるうちに、どこかからギターが!そう、一旦終了した筈のコンサートは、ここからPA無しで延々と続いたのです。すぐ左にいたぼくは、顔の前にネックが差し出され、ポジションが超至近距離。
「本人より近い!」
と想わず言ってしまいました。中学生の頃から憧れていたアイドル・ミュージシャン。まるで夢みたいな時間でした。
ぼくが、夢みたいだと呟くと、城田さんご自身も、おれも夢みたいや、と言ってました。冗談みたいなその言葉は、多分、城田さんを含めてあの場にいた全員の、切実な本音だった筈です。うっかりクチに出来ない悲しみは、誰の人生にもあるし、起こり得る。ぼくも、全くもって例外ではない。それでも、天気や、出逢いや、音楽や、めしや酒は、人を、時間に乗っけて、前へ、先へと進めてくれる。
眠れぬ夜に迷っても、進むしか残されちゃいないのだ。
城田じゅんじさん。ありがとう。おかえりなさい。