ぱにくってる皆さま、
こんばんは、そこは頭からっぽな、たにぴ@もまゆきゅです。
今こんな時期には一寸不謹慎な小説。
これを読んだのは、そうとう昔でした。
ラリー・ニーヴンとジェリー・パーネルという2人の作家が、
まずパート毎にそれぞれが第1稿を執筆し、
それを交換して、良し悪しも関係なく自分のセンスのみで手を入れる。
全く遠慮無く。
それを何度も繰り返すうちに、
やがてどっちが最初に書いたのか判らなくなる位に、文章が均一になっていく。
作家が歴代で沢山いるのに独りの、「聖書」みたいなカンジですか。
そんな手法で書かれたのが、この、「悪魔のハンマー」。
何が不謹慎かというと。
あらすじ。
ティム・ハムナーという脳天気なアメリカ人と、少年が、彗星を発見する。
このハムナーという名前が、ハンマーに似てるとこがミソ。
やがて彗星は、じわじわと地球に近付き、近付き、近付き、…、
結局、人類が呆然と見ているうちに、ぶつかる。
津波は100メートル。どうせ滅びるなら、とサーファーはそれに乗る。
世界は、壊滅する。ごく僅かに生き残った人々が、
最終的に原子力発電を選択する、という話。
過度にドラマチックになることをせず、
それどころかまるでシュミレーション論文の様な小説。
小松左京の幾つかの作品を想わせる、傑作。
読んだ当時でさえ、何となく古臭いなあと感じていたのに、
調べたら、77年なんだ。そんなに古くないじゃないか(あれ?賛同出来ない?)。
今同種の小説が書かれるのであれば、
まず原子力発電ではなく、別なエネルギーになるのだろうか。
とは言え、賛否両論の中での選択というところに物語があるのだし、
微妙ですな。
原子力というのは、何しろ太平洋戦争で爆弾として使われたエネルギーなので、
実は相当に古いもの。なのに、
理論的に難し過ぎて、あまり皆影響やら脅威やらを知らない。
きちんととか正確にどころか、まるで知らないに等しい。
やたら怖がるし、やたら安全安全と言われる。
巨大地震と、津波による海辺の都市の殆どの壊滅。
この小説の中では、原子力発電所には事故は起こるが、
数名が爆発で殉職するものの、被爆という発想がそもそもない。
アメリカだね…。日本人なら絶対そうは考えない。
原子力の恐怖は、じわじわと後から効いてくるところにある。
戦後教育を受けたもので、それを知らないものはいないでしょう。
もしも本当に惑星が地球に衝突したら、
日本どころか地球の表面をシェアしているあらゆる有機体は、
ひとたまりもない。
それらがどんなに古臭い代物であっても、
原子力すら、コントロールも理解も除去も出来ないんだから。
比類無く恐ろしい災難を、
shuが、人の種が、乗り切れることを、願います。