AOR,熱烈お勧め

AOR,熱烈お薦め It's About Time/マヌ・カッチェ

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Manu Katche
マヌ・カッチェ


精悍さ漲るこのドラマーも、1957年生まれだから決して若手ではないけれども、いまだにフレッシュ。とは言え、頭角を現してきたピーター・ガブリエル、スティング周辺での活動当時からタイム感とテクニックとエレガンスとは完成していました。ドラマーの個性と言っても、マヌほど自在にプレイ出来ると大概は、ハードロックの典型になったり、ファンキーなノリのドラマーになったりするものなのだけど、フランスっ子の彼は、違った。
テクニックに、「エレガンス」がつくんです。

私は基本的にドラムという楽器にギターやキーボードの様な細かな期待をしてないです。なんて書くと怒られそうだ。つまり、この曲にはどんなカッティングがとか、こんなギターソロを…、とか無いんですね。普通に考えたら例えば、スティーヴ・ガッドにヘヴィー・メタルをプレイさせようなんて想わないじゃないですか。でも、私の中では、それでOKなところがある。煩い好みは無いって意味合い。だいたいどんな音楽でも、3人位、高橋幸宏、ジム・ケルトナー、マヌ・カッチェの誰かのスタイルでOK出しちゃうんだ。そんな訳で、私には彼は世界3大ドラマーの一人。

マヌがステージで叩きまくる姿を、坂本龍一、ピーター・ガブリエルと、2度観てます。何が好きって、バンドを引っ張るんじゃなくて、馴染んでる。がっつんがっつんに叩いてるのに、しなやか。
私の音楽仲間の間でも、当然彼は大人気。ソロ・アルバムが出るらしい、と噂が伝わってきた時には、どちらかと言うとドラムにイチ家言ある友人達は期待が過剰になっていました。
そして、…。
リリースされた1stは、今日のこれです

いやあ、嬉しかった。最初に手放しで大喜びしたのは私です。逆に周囲のドラムスイチ家言ズ達は、肩すかし。
「マヌ・カッチェがたにふじの為に、AORのアルバムを出してくれた」
全曲、自身の作曲による、内省的なヴォーカル・アルバム。眼の覚める様なドラム・ソロは無し。あってもこれみよがしにボリューム上げたりせず、深い思索の果てにたどり着いたエレガンス。ナラダ・マイケル・ウォルデンやヴィニー・カリウタが同じフレーズを叩いたら、全体をぐいぐい牽引するであろうパターンを、実にハンサムに叩くんです。
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さて、曲に話を。
作曲はマヌ自身が。彼は7歳の頃にピアノを習っていたとのことで、リズムに盲目なタイプではそもそもなかったんだろうと想われます。とは言え、とても高度な和声を駆使している訳ではなく、楽曲はシンプル。ただ、一寸したフックの入り方や、コード進行が、異常なくらいに落ち着いている。それがアルバムのトーンをひたすらアダルトにしているんです。

以前、Mr.AORライターの金澤寿和さんとメールのやりとりで、私はこのアルバムを推しました。当然彼は知っていたので、
「いやあ、あれも好きだったなあ!」
と。但し、それぞれのAORがある、というグレイな表現。このグレイなゾーンにあるムーディなロックはそれなりにあって、判り易いのは、SADEなど。アダルト・コンテンポラリーではあるのですが、何処かにパンクの香りが。ジャジーだけれど、フェイクなところも。そのグレイなサウンドも勿論楽しむのです。しかし、金澤さんも、ずばり誰もが認めるカラッとしたアメリカ産のAORとは違うと感じているらしき。
但し、…私見ですが、SADEを聴いた時の、ひたすらSADE ADUの存在感、キャラクターに依存しているのに対して、Manu Katcheはドラマーでありながら、精緻なピアニズムが中心に据えられている。作品志向が強いんです。

埋もれたAORを発掘するのなら、SADEは埋もれない。しかしマヌ・カッチェの1stは、その後のECMからリリースされるインストルメンタル群と比すると、やや際物になりそう。ですので、たにふじが推薦します。どうかどうか、機会があったら入手してみて下さい。

もっと安くならないのかな…。
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by momayucue | 2012-03-06 23:05 | AOR,熱烈お勧め | Comments(0)

モンキーマインド・ユー・キューブ・バンドのミュージックライフ。 こんな時代も音楽でしょう!


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