AOR,熱烈お勧め

AOR 熱烈お勧め Imagination/ブライアン・ウィルソン

Brian Wilson
ブライアン・ウィルソン


言わずと知れた、ビーチ・ボーイズの頭脳。Good Vibrations は、彼の代表作、バンドの代表作であるばかりでなく、アメリカの、若しくは(日本での評価がビートルズやストーンズに譲ったとしても)ポップ・ミュージックの成果として最重要なものと言われています。彼の書く楽曲は、独特な転調のカレイドスコープと、コードと複数のメロディが対位法的に重なる、クラシカルであり直観的でもある曲想、それから、効果音の洪水。smile、聴きましたかみなさん。surf's up、どうですかあの芳醇で豊潤な音楽。

とか一寸興奮気味になってしまいましたが。後期や、或いは大作指向の如実な楽曲だけでなく、初期のロックンロール、サーフィン・ホットロッド、の作品も、簡単に落とし込むみたいな作り方はしないぞという気合いは実に凄まじい。それが、ほぼブライアン独りのソリューションであったのはこんにちよく知られています。バンド演奏はさておき、コーラスワークでならこのバンドはもっと使える、という着眼に顕著でしょう。

彼が、初めてソロ・アルバムをリリースした頃、プレッシャーや気質から来る精神の病は、最も深刻な時期を漸く過ぎたばかりでした。当時すぐさま購入し、聴いた第一印象は、
「ん?…いまひとつわくわくしない」
というものでした。当惑をはっきり憶えています。
ところがある日、私の相棒のATTAさんが、
「モノラルで聴いた。すっごいイイ!」
と教えてくれた。試したところ、モノでの音世界があまりにもカラフルで感動的で、色々な意味で嬉しかった。
これも有名な事実。彼は右耳が殆ど聞こえない。

今回紹介の2ndソロにあたる作品は、真逆です。ハイファイ。クリーンで広がりのある音像。タイトになったノリ。実際巷の評判も私の印象通りで、
「これは、…AORだな」
というもの。
d0041508_2329984.jpg

おや、AORなんですか?そう、このアルバムに収録されている楽曲は、大作指向でもない、効果音の洪水でもない。それでもブライアンらしさはふんだん。つまり、ブライアン・ウィルソン本人がそこにいる、ブライアンに影響されリスペクトを捧げた誰かの様に響いているんです。
さて、それをよしとするか。筋金入りファンにとっては戸惑うところでしょう。少し元気になって、少し老いて帰ってきたミスター・ビーチボーイは、微妙に、…とても切なく、「終わって」帰ってきたのではないでしょうか。だから、揶揄としてのAORという言葉が登場する。Ry Cooderの"Bop Till You Drop"の時と似ています。私は、このアルバムが非常に好きです。夏全開というよりも、海の底のひんやりとした皮膚感が、優しく、心地よい。ヒーリング・ミュージックの最高峰とも言えるでしょう(うーむ、またしても微妙な言葉を)。おそらく彼の人生の背景に纏わる物語もアダプトして、素敵な後味を残してくれる、個人的に一寸特別な位置にある音楽です。

ビーチ・ボーイズを田舎臭いとか言って聴かないシティ派の方、これならどう?お勧めですよ。いや、オレはビーチ・ボーイズをそんな風には聴かないけどね。


2012年、なんとその出身バンドに、ブライアンがメンバーとして復帰しました。それは和解でもあり、メモリアルでもあり、若干は打算でもあるのかも知れない。しかし、この年にリリースされラジオで頻繁に聴かれた"That's Why God Made The Radio"という楽曲を、私は忘れることはないでしょう。神が、そんな時の為にラジオを作ったんだよ。リトル・ホンダに乗ったオールド・ファッションなジジイ達が、幾分はしわがれたけれど音楽的に何ひとつ損なっていない完璧な12/8拍子のポップスを歌う。これなら"Imagenation"が腑に落ちなかった人達もきっと好きになるさ。

d0041508_23433377.jpgでも、両方とも愛せる私は幸せ者です。しかし、ビーチボーイズ派とAOR派は、本気度が高ければ高い程相容れないロミオ家とジュリエット家。であればAOR派よ、是非ぜひこのアルバムを!因みに私自身は、どっちかっつうとBeach Boysかな。うふふ。

でも実は、ひとつ言いたいことが。日本版のボーナス・トラック。1曲めのアカペラのみを収めてるのですが、いかなコーラスワークが十八番と言えど、リズム・トラックをオミットしただけのアレンジは、あまりそれだけで価値があるとは想えない。もう少し何とか出来たと想うのです。
[PR]
by momayucue | 2012-08-04 23:29 | AOR,熱烈お勧め | Comments(0)

モンキーマインド・ユー・キューブ・バンドのミュージックライフ。 こんな時代も音楽でしょう!


by momayucue
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31