もーしょんぴくちゃー

DIVA/ジャン・ジャック・ベネックス

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映画も音楽も、どんなに低予算でミニマムな手法で作っても、本を書くミニマムさには及ばないでしょう。
紙と筆。
映画も音楽も、完全に独りで作っても、
紙と鉛筆以上の軽装では無理ですよね。多分。
映画制作において、国家予算の様なプロジェクトで国家予算並の興業をする、くらくらする様な作品があります。
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一方あらゆるクリエィティブに、コンテンツに、内省化という現象が起こっています。
主人公は葛藤を抱え、葛藤を受け入れ、葛藤を乗り越え…。
文学の得意分野に、ポップカルチャーの大衆映画が予算を注ぎ込んで挑戦し、
何とか成果も得ている
(実は躍進めざましいのは漫画の世界じゃないかと予想するのですが、そこはぼくは超絶知らない分野なので、何も語れない。残念)。
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低予算且つアンチ私小説なこの映画は、
監督ジャン・ジャック・ベネックスの長編デビューということもあって、
ハリウッドのナントカマンみたいな映画の1割も予算が無く、
文字通りセンスの勝負をした。
日本でもよくある話で、製作費を集めるには、
それでも小説の100倍位のエネルギーが必要だったとお察しします。
ぼくは、ダイ・ハードが大好き。
でも、デカいものを吹っ飛ばすパニックじゃなくても、
こんな凄い映画が作れる。
ぼくが、スリルと胸キュンと音楽をフルに満たされる映画のひとつ。それが今日のこれ、"DIVA"です。
公開された81年当時、
現在の様に誰のことでもディーバ呼ばわりする風潮も無く、
寧ろその言葉自体、特別なものでした。
フランスで、黒人のアリア歌手のことをDIVAと尊敬し愛することが、
ロマンチックだった。

主人公、オーディオ・マニアの郵便配達夫ジュールが憧れるのは、
音楽はその場で演奏してこそ美しいと頑なにレコーディングを拒否するプリマドンナ。
彼が隠し録りしたワリーのアリアを巡って、
暗躍する海賊盤シンジケート。
それに何故か、ヨーロッパを覆う売春組織の密告テープが入れ替わり、
命を狙われることに。
2つの組織と警察にも追われるジュールは、
偶然知り合ったベトナム人の少女とギリシア人アウトローに助けられる。
闇の組織のボスは何者なのか、
ギリシャ人とジュールの行く先は、
何も知らないプリマドンナの音源を巡って、パリを舞台の冒険が始まる。

キャストのハマり具合、作中の音楽やオーディオの含蓄、
実際に使われる音楽のミニマムさと素敵さ、
ユーモアと粋とスリル。
怪獣みたいな元CIAとか出てこないけれど、リアルで、兎に角いい。
めっちゃカッコいい、何しろ美しい、という映画。
スクリーンに映っている光と、音の、重力が、素晴らしい。


内省化は、対文芸指向と言ってもいいかも知れないです。
ヒーローの成立が単体では難しく、
何故悪と戦うのか、相手は何故悪であるのか、そして、
それがヒーローを映す鏡で、ヒーローには何が見えたのか。
テーマがどんどん重くなっていく傾向は、311以後の病なのかどうか、
仮想敵としての共産圏の崩壊や、様々な変遷を経て、
いっそう顕著です。
ぼくの好きな映画も沢山あります。
しかし世の中には、メッセージが、教訓が、エールが、
どんぶり勘定で飛び交っているのに、
一向に自殺は止まらないし、
景気も停滞し、災害は忘れ去られ、置き去りにされる。
つまり、内省化は単なる産業みたいになっておるじゃないの。
その傾向は全部否定はしたくないのですが、
どんなものでも、産業になり得る。

ぼくは、本当の、実態のあるしかし匿名の個人が、
目撃した実態のある個人に対して、贈れる、プレゼントを考えたいんです。
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by momayucue | 2013-01-04 22:56 | もーしょんぴくちゃー | Comments(0)

モンキーマインド・ユー・キューブ・バンドのミュージックライフ。 こんな時代も音楽でしょう!


by momayucue
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