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AOR,熱烈お勧め

AOR 熱烈お勧め Dianne Reeves/ダイアン・リーヴス

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Dianne Reeves
ダイアン・リーヴス

1987年、ジャズ・シンガーという位置付けで彼女はソロ・デビューしました。アレサ・フランクリンから始まり、パティ・オースティン、ディオンヌ・ワーウィック、故ホイットニー・ヒューストン…とてもとても私が総括出来るような知識も時間もスペースも無いですし、そもそも枚挙にいとまが無いのが、ジャズやソウル・ミュージックを軸足に要請があればあらゆるジャンルで喉を披露するR&Bシスター達。完全にジャズ・オリエンテッドに見える人の中でも、例えばニーナ・シモンなどは優れたソング・ライターでもあります。リタ・クーリッジ、フィービー・スノウ、メリサ・マンチェスターと言った白人でありながら黒人的な立ち位置を兼ねるシンガーも少なくない。逆にアニタ・ベイカーなどは音楽的には殆ど被っているけれど、ジャズのスタンダードを歌うところを観たことが無い。一方ダイアナ・ロス等のモータウン世代も一定の年齢になるとスタンダード・シンガー然とした佇まいになりま
す。えーと、えーと…。
どのジャンルでも混沌は抱えてるのは同じですが、女性R&Bシンガーの世界は、ある種、その実力を顕示する為の踏み絵機能を担っています。つまり「うまくて、声量があって、ダンス・ミュージックにもバラードにも対応出来る」という。ビヨンセにしろ大変な実力を持っているのは最低限の条件で、彼女の様なスタジアムでワールドツアーをするシンガーは、その上にショーウーマン・シップが途方もない。

観客とタイマンみたいなショウではなく、大人に提供する音楽、多分そういった意味でわかり易いのは、ジャズ・シンガーというカテゴリーになるのかも。
で、漸く登場する今回の熱烈お勧め、Dianne Reevesの登場。
不思議な…ってことはないのですが、彼女は77年に一度ソロ・シンガーとしてデビューしています。その10年後、87年に、今日紹介しますこのアルバムがリリースされる。彼女はその後大きくスタイルを変えることなく、コンテンポラリーなR&Bテイストのジャズ系シンガーとして活動を維持しています。
1987年。その数年前迄栄華を極めていた(大袈裟だなあ)AOR路線が、そのプログレッシブさはそのままに若年層向けになったり、ニューウェイヴの様な新しい音楽スタイルが台頭して、お酒のお供になりそうなナンパなAORは劣勢に向かいます。
しかし、ブラコン、ブラック・コンテンポラリーだけは、寧ろ洗練を上げていました。私がN.Y.で暮らしていた頃、ラジオではアニタ・ベイカーのデビュー・シングルが30分毎にかかっていました。彼女はその年のグラミーで新人賞を取っています。とは言え、アニタ・ベイカーにしろダイアン・リーヴスにしろ、あれだけAOR的なサウンドなのに、そのテのガイド本には滅多に登場しません。残念。
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理由は幾つか考えられるのです。
例えば、一般にAORファンのターゲットは84年位迄でひとくぎりつけていること。やはり最盛期の作品を押えるのが、史実研究として価値もあるし、大人買いにも向いている。
それから、86年前後から、CDの占有率がぐぐっと上がる。AORであれ何であれ、音楽コレクターはアナログ盤が有り難かったのと、CD化された旧作にも充分楽しみがあった。
それから、ソウル、R&Bの音楽嗜好はAORととても似ていた筈なのに、もともとのジャンルが区別されていたので、俯瞰した一時代として比較し難い。ブラコンはずっとブラコンとしてパワーがあったんだもの。この時期に終わり…というのが無い。だからちゃんとわかっている人は、ブラコン特化のガイド本を押えたりね。ブラック・コンテンポラリー、それは長期間に渡って最もAORに近い音楽を産出していたのに、AORは基本的にアメリカの、白人の(髭の割に髪の毛が寂しかったり)オヤジっぽいミュージシャンがメイン。ブラックで女性シンガーで、更にソングライターではないとなると、守備範囲とは異なる…。
時代のピーク。メディアの変化。それからジャンルの特色、です。

ダイアンの歌唱は、見事だ。安易に張り上げるブルース風シャウトに落ち込まず、実に音楽的なスキャットをするし、調性感も完璧。それでいて、カサンドラ・ウィルソンの様な崇高で近寄り難いキャラクターでもなく、茶目っ気もたっぷり。

R&Bジャンルについて、とりわけ女性は、ミニー・リパートンやダイアナ・ロスなどが、「使える!」としてメロウ好きにも重宝されています。時代のタイミングが良くなかったのか、シンガーとして少しもマイナーではないダイアンも、AORではダークホースになってしまっている。しかし、このアルバムにある"Chan's Song(Never Said)"という曲は、ハービー・ハンコックとスティーヴィーの共作というとてつもなく豪華な、しかも歌モノとしてはここでしか聴けない曲。点在するディスコグラフィーでは何故か77年のアルバムが抜けているものも多く、もしかするとかなり毛色が違ったのかも知れません(未聴)。実際、77年ではここまでコンテンポラリーに作れたかどうか。しかし、彼女のディープなコレクターになる前に、たにふじは、まずコレを推します。自分の名前をタイトルにしてますしね。その後出来るなら、彼女のアルバムをポツポツと揃えて下さい。安定したスタイル(体系は置いといて…)、奇を衒ったりせず、自分の好きなスタイルを着実に歌うアルバム、ハズレが無いことにきっと驚きます。
by momayucue | 2013-02-11 20:36 | AOR,熱烈お勧め | Comments(0)

モンキーマインド・ユー・キューブ・バンドのミュージックライフ。 こんな時代も音楽でしょう!


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