もーしょんぴくちゃー

ロボット/シャンカール監督 ラジニカーント アイシュワリヤー・ラーイ

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インドは映画大国。
兎に角、うさぎにつの、皆映画が大好き、映画を観に行くのが好き。
そう言われだしてから早30年。
これは勘ですが、スターウォーズやらはウケるだろうけど、
小津安二郎作品とかは全く受け入れられないのではないだろうか。
どっすかね、事情通の方。

よく、突然ダンスが入ってきたり、荒唐無稽さが楽しいって、かの「ムトゥ、踊るマハラジャ」あたりから日本でも評判です。
しかしあれは、他国の人間にとっては荒唐無稽だけど、
たぶんねえ、インドの人にとってはそこは標準仕様で、それの充実度こそが胆でしょう。

実は、インドのエンターティンメント映画を観るのは、初めてだった。
しかも奴等は驚いたことに、YouTubeにこの長尺をフルで上げてる。誰かは知らんがアホだねー。
何しろそれで初めて観て「観た観た!」いうてるわたくしもダーティだねー。

もう何語標準かも曖昧。英語ベースになったり、ヒンディーになったり。
訳なんてついてないから、雰囲気と、
乏しい英語脳をジュディのメモリー処理のように高速稼働して、ストーリーについて
いく。
で、ラストシーンは、泣きました。ええ、泣きましたとも。感動しちゃったんです。

勿論デフォルトの群舞シーンはたっぷり装備されている。
しかも前段に予想を述べたように、荒唐無稽が勝負所じゃないので、
ちゃんと中身を充実させてかからねば37億のバジェットが泣くぜ。
スーパースター・ラジニカーントの面目が立たないぜ。
ミス・ワールドの紀香…違った、Aishwarya Raiの面子が立たないぜ。
インドと関係ないロケ地で、ナゾのコスチュームで、ジャラジャラとゴージャスに踊る。

えーと、荒唐無稽な描写になりがちですが、あらすじを。
あ、すっかり忘れてましたが、今日の映画は、「ロボット The ROBOT」です。
タイトルがズバリ。これでSFじゃなかったらヘンでしょ。

ロボット工学者バシー博士は自分によく似た万能ロボット、ジュディを作る。
取り敢えず、超美貌のガールフレンド、ラナとふたりで遊び倒すんだけど、
バジーの開発目的は、細かくは色々と配慮もありながら、実はざっくり軍用。
ライバルの(多分師匠筋)学者に邪魔されたりしながら、
ジュディがいかに役に立つかをアピールする。命令の遵守。行動の正確さ。
ある火事の現場で、次々に人命救助を行うが、ジュディはひとりだけ、失敗してしまう。
彼は、インドの女性が人前で肌を見せられない慣習を理解していなかった。
それ故、入浴中の女性を全裸のまま衆目に晒し、女性は動転して、事故死してしまう。
ジュディを更に人間に近付ける必要がある。博士は、ジュディにその為の回路を組み込む。
ジローみたいだな。良心回路。
そうなると、自分をいじってた小悪魔ラナに、やっぱり恋をしてしまうんですね。
ジュディも、ラナも、博士も、それぞれに葛藤し、怒り、揉めて、
博士はジュディを分解し、棄てる。
で、ライバル学者に拾われて、更に回路を加工されたが、制御は誰にも出来ない代物になってしまった。
ラナを奪い、見境ない悪の王国を築き始めるジュディ。
バジー博士は、自らの責任を取る為に、ジュディに戦いを挑む。
ジュディのロボット王国は、自分に似せた大量生産のコピーを制御することにより成立している。
もともと自分に似せたロボットを作った博士は、メイクを施して、王国に潜入した。
ラナに接近し、作戦を伝え、脱出と反撃を開始する。
そして、ロボット、ジュディの決断。そう、彼も決断するんですね。

登場人物はちっとも完璧ではなく、人間臭い。
ラナを助けるのに、警察もインド軍もバカスカ殺されていくという超絶不条理だ。
ラストなんて、ジュディは人間よりも愛おしい。人間バカ!反省しろ!

インドにもアートフィルムは勿論沢山あります。
何しろ国民の生活環境が近年著しく変わり、教育も半端ない、格差もバレバレ。
当然問題意識も高い。社会派の作品は、どちらかというと国外で評価され、
国内では商業的にはなかなか難しいらしいです。
それでも、何しろインド人は映画を観る。
シネコンも出来る。そうなるとたまに渋い作品を観たくもなる。
ぼくは何となく、この映画は只のバカ騒ぎものと括りたくない気配を感じるんです。

こないだ書いた「ダイ・ハード」も、演出の手法がある種の教科書となったのは、
アクションと登場人物の人間味と会話のテンポと、そして、テーマの普遍性だと想うのです。
ロボットとは?人間とは?尊厳とは?
使い古されたテーマだとその部分を脇に置いて評する論調が、
この大スター結集の大作娯楽作品の周囲の殆どです。
でも、ロボットを暴走させた処から博士との攻防で終わらせて、
博士に心の弱さを盛り込まない作りも出来たのに、そうしていないということは、
この映画には、その「尊厳」というテーマが必要だったからだと想うんです。
人造と人との違いとなると、古来SFからどうしても神の問題になります。
様々な軋みを抱えているインドでは、
カルマというものを「人造」に背負わせるのにも、繊細な、且つ真っ当な手つきが必要。
又聞ですが、カースト制度も都市部では長男が一元的に背負わされたり、
「これは私達の勝手だ」と突っぱねるばかりでいられなくなりつつあるとか。
西洋化、或いは民主化の進む中、哲学的にも人類史上先行していたインド。
ジュディの命運にも、国が数千年共にしている制度への繊細な解釈を滲ませます。
マサラ・ムービーのデフォルト設定を国民と近いレベルで受け止めたら、
荒唐無稽の向こう側に、諦念や愛や、疑問が、透けてくるのかも。


しのこの考えすぎなのかしらねえ、あたいわ。
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Commented by kozo at 2013-02-25 13:43 x
あー!! 
これ大好き!!

たにぴさんはYoutubeで観たんですか?ボクはレンタルで観たからカット版だったけど完全版は177分もあるんですよね。
主にダンスシーンが切られたらしい。

最初はSF、ドタバタコメディーになったと思うと急に深刻に。
その後ターミネーターやトランスフォーマーのノリではらはらドキドキ。
で、ラストがアレですよ。
もちろん、ダンスに音楽。

かなり乱暴な造りながら、楽しめました。

それにしてもビックリはラジニカーントって1949年生まれだって。

Commented by momayucue at 2013-02-25 23:40
こぞさまどもども!
何だかこの映画、巷ではきいたふうなコメント沢山あるんだけど、
ぼくは、まあ言葉がついていけないせいもあるんだろうけど、
…じーん、としちゃった。
ダンスシーンにしろ何にしろ、カットなんてしないでほしいよね。
最後の闘いのシーン、埃があんまりない。
そこだけ残念なんす。
by momayucue | 2013-02-24 19:40 | もーしょんぴくちゃー | Comments(2)

モンキーマインド・ユー・キューブ・バンドのミュージックライフ。 こんな時代も音楽でしょう!


by momayucue
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