AOR,熱烈お勧め

AOR 熱烈お勧め How About This/タモリ

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タモリ
森田一義

言わずとしれた、日本のエンターティメントにおけるビッグネーム。
彼の知性とセンスとテキトーと強運と不遇を見渡すと、強い目眩に襲われます。もう初老の年齢ではありますが、あまりのマルチプレイヤーぶりとその瑞々しさには、誰も敵わない。料理の達人。あらゆる音楽に造詣が深く、独学…と言うか独自の哲学で楽器をテキトーに美しくこなし、山下洋輔ともMJQとも日野皓正ともツーカーでズージャーを演る。恩人赤塚不二夫へは白紙を前にアドリブで弔辞を披露した。狂気とシュールと真剣といい加減。そして、情。アイパッチでTVに登場し、ハナモゲラなんちゃらなる芸風で胡散臭さぷんぷんながら前人未踏のギャグ・ジャズ・カルチャーを歩んできた、日本という国の恩人といってもいい人物。タモさんには、レコード大賞も芥川賞も文化勲章も似合わない。「吉永小百合のちゅ」こそが最高の栄誉だ。

こういう人にありがちなのが、気合いを入れるとすべるってヤツ。
うーむ、例えばね、映画を作るんですよ。「キッドナッピング・ブルース」。浅井慎平という、これも実にスマートで素敵な名古屋人写真家が、映画監督をする。巷では全く理解されていないけれど、多分この映画は、「俺達のこのいかれポンチな時間をそのまま映画にしようぜ」だったと想います。音楽山下洋輔が、サンバを。しかし映画は評価もヒットも得られなかった。コケた。
TVドラマを、妙に楽しんで作る、「なぜか、ドラキュラ」。田中健、原田芳雄、坂口良子…という大スター且つ気心知れた仲間でかため、笑っていいとものヒットの波に乗って高視聴率を狙った…人が関係者にいたのかも知れないけれど、やっぱり微妙にお茶の間向けではなく、当人達は楽しかったのに、視聴者にはウケなかったねえ…と笑ってましたっけ。

「笑っていいとも」で彼が明石家さんまに、
「あんなに一生懸命アルバム作ったのに、あんたの『真っ赤なウソ』の方が売れた」
と毒づいてたことがあります。その「すべった」アルバムが今日の"How About This"です。

ぼくの意見は、その他のすべったものと同じで、これは一寸半端で、趣味人向けの洒落た作品。でも実は、たまに聴くんです。たまに、なのはキライだからじゃなくて、私の持っているCDには、欠点がある。PCで読み込めないんです。CCCDなんて無い時代のものなのに、品質が粗いみたいで。なのに車のプレイヤーにはかかったり、通常のプレイヤーでもかかったりして、もうなんて気紛れなんだろう。更に、元々のアルバムとして、音が良くない。エコーが、都会的な作品にしようとしてるつもりなのか、どうも雑。ミックスも、マスタリングも。ヴォーカルの処理も酷い。音楽も、鉄壁のAORというのとは、実は若干違う。なんちゅうかね、痒い所を知っていて、こそっとくすぐってくけど、敢えて掻かない、みたいなお洒落なんです。d0041508_117132.jpg

このアルバムへの一般的な評価は、基本的には、なんか笑えない…ということになってしまう。だから売れなかった。しかしAORやJAZZの目線での評価だと、ギャグのないマジなアルバム。ニコニコ動画などでは、まるでスティーリー・ダンのGauchoだなんて大絶賛の声もあがる程ですが、私は、実はそう感じない。寧ろ趣味のいい、粋なジャズメンの笑わせないギャグ、だと感じていて、ある種試されてる気分で好きになるAOR。
これや、再発後たちまち廃盤になってしまった「ラジカル・ヒステリー・ツアー」は、大爆笑仕様にはなってないけれど、音楽は実にいいところを突いてくる。
そしてそこにはキーパーソンが。プレイヤーズというスタジオ・ミュージシャンとしてもジャズメンとしても日本屈指のセッション・マン集団。先の「なぜか、ドラキュラ」でも音楽を担当した、コルゲンこと鈴木宏昌さんがエレガントなエレピを弾く。ギターは、松木恒秀という達郎バンドの初期を支えて来た人。
ラジカル〜は、音もとてもいいから、このアルバムもそれでいけたらもっと違った結果だったのかも。リミックス、リマスターで再度出して、是非とも世に再びジャズの粋と雅をチラ見せしてやって欲しいのであります。
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by momayucue | 2013-03-15 01:17 | AOR,熱烈お勧め | Comments(0)

モンキーマインド・ユー・キューブ・バンドのミュージックライフ。 こんな時代も音楽でしょう!


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