もーしょんぴくちゃー

Round Midnight/ベルトラン・タヴェルニエ監督 デクスター・ゴードン、ハービー・ハンコック

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音楽映画を。

バド・パウエルというジャズのピアニストの50年代のエピソードを下敷きに、
何故かサックス奏者が主演になっている、バーチャル伝記映画。

アルコールやドラッグで躯はぼろぼろだが、
ひとたび演奏すると最少のトーンで圧倒的に雄弁なプレイヤー、デイルを、
実際のサックス奏者デクスター・ゴードンが演じる。
演じるというか、素のままに想えるのですが、もう完璧に台詞を語っている。
俳優よりも、本物のジャズ・ミュージシャンの方が出演者が多い。
それが、これ、"Round Midnight"。フランスが舞台の、フランスでのジャズ映画。
どういう作りなのか、何が言いたいのか、あまりピンと来ない映画、というのが正直なところ。
本当に本物のジャズを、出演しているジャズメンが演奏もちゃんとして、
その心酔に価する音楽に、心酔をしている若いファンとの交流。
彼はデイルを、アルコールから救おうとする。
しかし、既に蝕まれた躯は、もうそんなに長くなかった。
映像のテンポも何も、フランス風なのかな。
でも、音楽や一寸した音楽にまつわる言葉がいちいち本物で、
ぐっと来ちゃうんです。
音楽は、ハービー・ハンコックが。
しかもイケてる女たらしっぽいピアニストを演じてもいる。
マイルスが観たら(生きてたから観たと想うけど)どう言ったろうな…。
「お前いつから白人の女でも抱けるようになったんだ」
なんてね。

さて、TVドラマとかで、天才ピアニストを廻るサスペンスみたいなの、あるでしょう。
ああいうの、かなり苦手なんです。
もう少し音楽に丁寧に接する人が作って欲しいな、と感じてしまう。
そういう意味では、のだめなんてのはクラシックの痛快さが音楽でも充分表現されていて、
音楽モノとしても良かった。
酷いのはほんと酷いしさ。

であればどうなの、Round midnightは?
もう音楽がいいだけで、充分に嬉しいです。演出も何もあまりに酔い過ぎだけど、
酔うに価する音楽だもの。
エンドロール、chan's song というスティーヴィー・ワンダーとハービーの共作による素晴らしい曲。
Dianne Reevesが歌っているテイクもあるのだけれど、
映画の中では、デイルが書いたことになっていて、しかも、
「歌詞はない。この曲には歌詞は必ずしも必要じゃないんだ」
などと語らせている。
恐らく激しい転調のAメロ部分と歌詞を書いただろうと想われるStevieの心情はいかに。

ジャズ映画に御三家があるとしたら、
これと、「バード」と、何だろうな、「ニューヨーク・ニューヨーク」か。
伝記っぽい作風だと、ベニーグッドマンとかグレンミラーとかありますよね。
勿論それぞれ素晴らしいんだけれど、ジャズの危険さ、人生を狂わせてしまう怖さは、
その映画にはあまりないかな。
ありゃイイってもんじゃないか。それはそうだ。
コンサートのフィルムで、物凄いものがあります。「真夏の夜のジャズ」
この危険さは、もう人生棒に振ってしまいそう。
ジミー・ジュフリーがボブ・ブルックマイヤーと無心にスイングする冒頭。
曲が終わり、サングラスの事務・ホールが立ち上がってフレーム・イン。
それからはめくるめく多幸感。
つまり、ジャズとは、音楽とは、Round Midnightの様な映画を産むに価するものなんだ。

「パリ・テキサス」のヴィム・ヴェンダース監督は、
音楽をつけたくて映画を撮っている、とまで言い切っています。
ぼくには到底映画をコントロールは出来ないけれど、
その言葉の意味はひしひしとひりひりと判ります。
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by momayucue | 2013-04-28 09:41 | もーしょんぴくちゃー | Comments(0)

モンキーマインド・ユー・キューブ・バンドのミュージックライフ。 こんな時代も音楽でしょう!


by momayucue
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