小理屈「いやカタいのなんの」

データベースのオブジェクト化音楽論

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データベース音楽論をブチ挙げてから、もう何年たっただろう。当時私は、まだiPodも使っていませんでした。途中からその刺激に追い付いていったのですが、それでも、予想と進展はそれ程差異がありませんでした。

音楽ビジネスはかなり後退し、演奏者は記録を残すよりも人前で演奏を披露し、その体験を替え難いものとして提供する。今やあの偏執的なレコーディング・アーティストだったドナルド・フェイゲンでさえ、アルバムを捻り出して落着とは行かず、ツアーや、クラブギグを糧にしているようです。
リスナーは、ファーストタッチのツールを幾つも持っている。iTunesでの試聴、YouTubeのプロモーションや海賊達。私の様なコレクション好きの人間でも、まずYouTubeでチェックしています。
処で、あちこちで私は自らを「コレクター」と定義しちゃってます。昔はモノをコレクションするというのはある種のアスリートというか、比喩としての筋肉を使い、財布が筋肉痛になったものです。捜して、掘って、自慢して、自慢出来る同好の志をまた捜して。要は、競い合ってたんですね。しかし、音楽CDやDVDなどの購買者がそもそも各世代でほんの一寸になってしまった2013年、聴いて良かったらばしばし買うってだけで相当にマニアックです。そして、コレクターは、モンスターでもある。一寸浮世離れしてるんですね。

音楽は、レコード盤に刻まれるものではなく、データとしてネットワークやディスクやクラウドにふわふわとある。それをコレクションとして愛でるのは、コレクターには向かない。だってあんまし嬉しくないもの。とは言え、配信限定という超ローコストローリスクな音楽の売り方がほぼ主流になり、コレクションなんて風前の燈火。
一方俳優のブルース・ウィリスが自分の娘に財産としてダウンロードした数万曲の楽曲を分与したいのに、現在の法整備では譲渡も課税もダメ、娘は新たに買え!と。これはスターの我儘じゃない、当然の権利でしょう。彼も、究めて紳士的に制度改革を呼びかけています。2013年初頭ではまだ結論は出ていませんが、つまりこれは、ダウンロードしたものも既に真っ当なコレクションであるという例。
さて、ブルース・ウィリスは娘さんに、どうやって楽曲を渡すでしょう。ハードディスクでしょう。クラウドのパスワードという方法もあるけれど、多分ハードディスク。近頃のならハードディスクを持ち歩いたり、手渡したりというのも、なかなかクール。私も700GBを持ち歩いてたこともありました。
クラウドでも、ハードディスクでもいい。その中に閉じ込められているものは、何だろう。音楽データの話をしているんだから、音楽ですよそりゃ。しかし、その単位は以前から述べている通り膨大過ぎて、データベースとしては尋常でないパワーがあるけれど、聴き切るなんて、買ったブルースさんも無理でしょう。多分、好きなジャンルを総ざらえしただけです。実はモノのコレクションも同じで、あるレベルを過ぎると本人さえ追えなくなる。であればコレクションとは何ぞや、データベースとは。
すばり、それは人でしょう。人生でしょう。もしくは、そのコレクター同志の世界観でしょう。そのコレクションの背後に、嗜好を持った人間がいる。

音楽出版が殆どビジネスにならなくなった今でも、私達は、こんな会話をよくします。
「どんな音楽が好き?」
「マイルス!」
「スラッシュメタル」
「昭和歌謡がアツいんだ」
「現代音楽のカテゴリーに入るような音響派かな」
などなど。

音楽をきっかけに、何か共通項を見つけるのか、それとも対立しちゃうのか、ともあれ、何かジンブツを捕まえることが、音楽の端っこを捕まえることでショートカット出来るかも。今でもとても多くの人が、アルバムを買わなくとも音楽のことを気にしてる。当然ながら、音楽は聴く人が充実していたら益々面白くなる。
ただ、ビジネスでないとなると、万人に通用している新しい名曲が育ち難い。しかしよく考えると、名曲という存在は、本当に抜きん出て優れたものかというと、非常に疑わしいです。音楽とは反天才的な存在という持論もあります。録音され、電波等のメディアに乗って拡散していった音楽達の黄金期は、音楽が、歌が、ポップスが、メディアであり、旗でもあった。共通項が小さいコミュニティでも成立する現代では(一寸説明が一足飛びですが)、ある名曲とは、そのコミュニティの身の丈程度であるべきなのかも。
重要な点、この場合の身の丈は、品質ではなく、認知度です。そして、音楽とはいつの時代も、認知度と付かず離れず。すなわちイコールではない筈です。

ブルース・ウィリスが相続させようとしている音楽達。それは、実存の物質化と仮定して「多分ハードディスク」と私は言っていますが、オブジェクトに投資しなくなった今日でも、音楽とは物質化しきっていない実存であり、属性です。

いっそ、高音質aiffでの巨大ファイルをかっこいいハードディスクでリリースとか、してみたい。
USBでならもっとリーズナブルに出来る。つくづく何て言うか、モノを触ったり見つめたり独り占めしたりが好きなんだな。

クラウドは神、ハードディスクは王様。




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by momayucue | 2013-05-09 21:57 | 小理屈「いやカタいのなんの」 | Comments(0)

モンキーマインド・ユー・キューブ・バンドのミュージックライフ。 こんな時代も音楽でしょう!


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