たにふじゆういちです。
Monkeymind You Cube Band 、もまゆきゅの、2ndが、Amazonで予約開始されました。
今という時代は、かつての芸能界のような歌手ビジネスや、情熱と言葉を武器にしたフォークソングのビジネスや、そのまま成人していったミドル世代のシティ・ポップのビジネスや、90年代以降のJ-POPのビジネスや、ニューウェイヴやイカ天や漫才やスタ誕や女子高生や地下アイドルや韓流や、そういったものが、音楽出版ビジネスとしてはもうない時代です。
著作権で、CDの売上げで稼げる時代ではなく、それらはひとつの名刺の様に存在し、コンサートや興行に繋げる為のものになっています。音楽出版ビジネスは、音楽ビジネスとはかなりかけ離れたものになっています。それでも、アマチュアも、プロも、セミプロも、ぼくらの様な零細音楽グループも、アルバムを作ります。理由は何だろう…、それは、ぼくにとっては、作品だからです。そりゃ買ってくれて少しでもインカムは欲しいです。でも、やはり作品というものを作ることに、大きなカタルシスがある。
今やiPadのアプリで、僅か2700円で超絶新しいダンス・ミュージックが作れてしまう。
「MacBookは、なんかPerformerがうまく動かないんだよな…」
なんて時代は遥か。地下鉄の中で、その場限りのリズム・シーケンスを作って楽しめる。実に素晴らしい。
ぼくは、所謂パターン・ミュージックというのはあまり作りません。ワンコードのも
のよりも、和音の響き自体がメロディの様に動いていくものが好きなのは、be-bopに対するコンプレックスかも知れないですが、まあ兎に角そんな作風です。スウェーデン製のOP-1が欲しくて堪らなかったのに、結局買わなかったのは、自分の作りたい音楽には今イチ向かないからです。結局、ぼくは未だにYAMAHAのQY-70で、地下鉄などでの移動中に、ベーシック・トラックを作っている。これにはショートスケールのキーボードが付いていて、コードも入れられるし、エディットの記憶力も素晴らしいし、電池で5時間稼働するし、MIDIデータで出力も一応出来るし、要するに、音は現行のに比べたらしょぼいけどやっただけのことを返してくれる誠実な音楽モバイル・コンピューター。
デスクトップ・ミュージックという言葉が死語になりつつあるなんて、知らなかったです。DAW、デジタル・オーディオ・ワークステーション、とな。ほう左様ですか。しかしモバイル環境で徹底的にオケのデータを作り込むぼくらの音楽を、地下鉄発の音楽ということで、こう呼ぶことにしました。
随分時間がかかった、セカンドアルバムの完成です!
全12曲、58分。1800YEN + TAX 連絡ください。
あまりにも制作過程で色々な経験をし過ぎて、いったいどれだけの人に感謝したら足りるのか、きっと、想像してもしても、うっかり肝心な人を忘れてしまうかも知れない。感謝の対象には、みっちり関わってくれた人も、逢ったことはないけれども励ましてくれた人や、手痛い言葉をくれた人や、今は逢えなくなってしまった仲間とか、傷付けてしまった人とか、も含みます。感謝します。無限の感謝を。無限のお詫びを。そして、前作よりも更にぐっと胸を張れるアルバムになったことを、ご報告します。とてもポップで、明るくて、屈折してて、明快で、メッセージがあって、マッサージがあって、悲しくて、優しくて、気に入ってる作品です。
01 Icecream Soul
POP。チョコレート・ディスコに対抗したタイトル。ぜひぼくらのライヴで、みなさんに一緒に歌ってほしいです。
02 Sleepy
故レイ・ハラカミさんをヒントにしたアレンジ。高速道路で眠くなる、という歌ですが、ややハードボイルド調に。
03 グローバル・ハッピー
Tarminalsの広瀬さんがドラムを叩いてくれることを想定して作曲しました。
04 Lonely
ゆーこさんに最も似合うブルーズを作ろうと、一寸Maj7thなども入れつつ作曲。
05 Dead End
SADE。井上陽水。ギターは大村憲司になりきって…。
06 Dec.2010
ケーブルアーティストことMさんの為のWedding Song。披露宴で歌わせて頂きました、ふふふ。
07 7月のパッセンジャーシート
ゆーこさんの作曲は今回これだけです。いい曲だ。
08 東京ばすたーずCity
たにふじ流なんちゃってハウス・ミュージック。
09 どらいぶがーる A Driving Girl
ストリングスをゆーこさんが演奏しました。タイトル通り女性ドライバーが、打ちひしがれた男をいたわる歌。
10 ウルトラマンズ・ワイルド・ワイフ
現実から完全に飛躍した歌詞にしたくて、愛した男が宇宙ヒーローだったという設定にしました。高速ジャズです。
11 5 minutes miracle
最初曲だけを作ったときは、「サンフランシスコ・カーチェイス」というタイトルのインストでした。ゆーこさんが歌詞をつけてくれましたが、かなりの難曲らしく、今では歌詞つけたのを後悔してるかも?
12 夢が叶った夜
たにふじはよくスナフキンに似てると言われてました。容姿や服装はともかく、へそ曲がりなところや突飛な行動や、孤独が好きなところや、音楽のことばかり考えていることなどがそうなのでしょうか。非力なところ。人に指図されるのも嫌い。総じて社会不適合者ってことかな。一応会社勤めなどをしてはいるのですが、あんまり世渡りに向かないのは確かです。また、旅が好きという自覚はあまりないけれど、放浪癖は確かにあるような気がします。
この曲は、
「様々な妥協をして、あちこちの顔を立て、そうして何かの仕事を終えた男が、ふいに何も告げずにいなくなる」
という歌詞です。最初ゆーこさんは、男がいなくなったという女性の視点から歌唱を組み立てていたのですが、実はこれは、男の側が、ある種の喪失感を感じながら自分が身勝手なのかも知れないけれど独り旅に行ってしまうよ…という視点の歌詞なんだと伝えたら、考えて歌い方を変えてくれました。それがこのテイクです。
それが仕事であれ何であれ、それなりの挑戦をした経験があるものなら、コンセプトが縮小し、ぶれ、妥協し、辛うじてゴールした、という独特の気分を理解頂けると想います。アルバムの製作期間は数年に及び、勿論沢山妥協し、揉め事もあり、乗り越えた果てにいかにも嵌る曲に偶然にもなっています。リリースされ、全国で予約可能
になり、手元にも山の様な在庫…もとい、品物が届きました。手応えなのか虚無なのか、挫折ではないですが、却って何かを失ったような、独特な気分。スナフキン的孤独に浸りたいところです。
独りで、何をするかって?
勿論、作曲ですよ。
届くのが滅茶苦茶楽しみです。
単身赴任中なんでノートPCのショボい環境で早速聴きました。
好きです、これ。
こんな言い方失礼かもしれないけれど、前作より気に入りました。
週末、帰省の車中で大音量で聴かせてもらいます。