もーしょんぴくちゃー

Drive/ニコラス・ウィンディング・レフン監督 エメラルド・グリーン・エメラルド・ブルー

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熱狂的なファンがつく映画って、沢山あるじゃないですか。ぼくも、手放しで好きってのが幾つもあるんです。ここで紹介したりもするし、きっとこれからも、増えるだろうと想います。ぼくの場合多いのは、テンポがスローで、勿体つけてるのが基本的に好きなようで、「パリ・テキサス」や、「DIVA」、それから「21グラム」なんかは、もろストライクです。音楽のスローさも含めて。もしもぼくが映画に関わる機会があったら、まず、「遅い映画」がいいな。速いものも、音楽ならやりたいけど、映画にどっぷり関わるなら、勿体つけた、すかしたヤツをやってみたい。

アクションより、暴力。
ロマンスより、純愛。
EPICよりも、ミニマリズム。
そして、カーチェイスより、緩急のドライヴ。

これ、どう考えても好きだな。"Drive"
デンマーク人の、ニコラス・ウィンディング・レフン監督。ライアン・ゴズリング主演。ハードボイルド。タフで、優しい。
矢鱈と運転が巧い主人公の「ドライバー(名前は出てこない)」が、裏と表の仕事をしながら独りで暮らす。アパートの隣人親子、母と5歳の息子、と少しずつ打ち解けていく。母親のアイリーンは、まだ可愛い娘さんといった風情。しかし、刑務所に夫がいる。やがて夫は出所するが、いかにも、
「なんでこんなタチの悪そうな男に…」
な奴。ずっと一寸怒ってるみたいな顔をしている。そして、彼を軸にドライバーは事件に巻き込まれ、アイリーンを守る為に、抑えていた暴力の世界に還っていく。

勿体つけた少ない会話。ぼくは最近のアメリカのTVドラマにあるような、部下が突き止めた殺人の物証をボスに説明しているとすぐに横から別なメンバーがその検証結果を報告したりするのは、早いし説明的だし物語を転がすのにはいいけれど、剥き出しの展開そのものだ。あれでは、情報だ。しかしこの映画では、微かに笑ってたり、一寸戸惑っていたり、ぼそっと呟いたりが殆ど。ドライバーも、アイリーンも。
ドライバーは寡黙だが、表情は、何処か明るい。よくあるこの手の設定だと主人公は大概ブスッとしてるのに、彼に憎しみのない表情をつけた監督は、天才だ。正義感でも、ワルでもないニュートラルな人物。服のセンスがもう最悪で、なんでこんなチンピラみたいな蠍のジャンパーなんだろう、と想わせる。それは、実はストーリーの象徴なのだけど。
ギラギラではなく、柔らかく光る色。全篇を支配する、エメラルド・グリーン、エメラルド・ブルーの画面。車の反射が、夜のビル街の色が、いい。「エイリアン」で監督のリドリー・スコットは、観客の不安感を煽る為に画面の何処かが必ず点滅している絵作りをしたそう。とするとドライヴでは、さしずめ深海のような静寂と孤独と、余計な気配の排除、なんだろうな。そして時折り、タイトルロゴ等に唐突に、鮮やかなピンクが使われる。赤や青じゃなく、ピンク。差異だ。
容赦ない暴力だけれど、アクションでもバイオレンスでもなく、ただ、とどめを指す。ダメージを的確に与える。本能で行動する蠍の様にね。
車での闘い。ひたすら捌くハンドル。ジャンプも横転も、リアル。現実的。聞いた話では、アメリカではカーアクションを期待した観客に訴訟されたとか。トランスポーターとかTAXIを期待したんだろうけど、残念でした。
音楽。時折りポップスが入る。ロック的ではあまりない。その他は、ミニマルな音楽で、このあたりは21gramにも通じる。弦を盛大に使いたい欲はぼくにもあるけれど、それで埋め尽くすことはあまりしたくない。そこはもうたにふじのストライクだからしょうがないです。
光の色と影。俳優の佇まい。音楽のありよう。速度感。ストーリーなんてどうでもいいよ、これが映画でしょう。全てが、寂寥感に向かっていく。

映画の感想を検索すると、兎に角ツッコミを入れたい人が実に多いです。映画レポートで評判を取っているラジオのDJさん達も、多分リスナーからの突っ込みに、
「そこはこうなってて確かにヘンなんだけどさ」
と言わないと対処出来ないので已む無く加速度的に突っ込みあいになってくんだと想われます。お互い、突っ込むことでステイタスを上げてるみたいな。まあ不自然に感じちゃったら仕方がないんだけれど、それはぼくも一緒だけれど、でも少なくともぼくは、現実を観る為に映画を観るのではなく、現実を「感じる」為に観ている。それに、極論ですが、大概のことは、ゆっくり語られると、有り得ることになると想うんです。
原作の小説は、続編が書かれて、既にこれも映画化されそうな気配です。一作で終わってたら、きっとその後に夢が破れることもない。しかし、ニコラス・ウィンディング・レフンとライアン・ゴズリングがやるのなら、きっと、同じ美意識を継承した、寂寥感に向かう映画にしてくれるんじゃないだろうか。ただ、キャリー・マリガンのアイリーンは、登場するかな。それを考えるだけで切ないぜ。

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アイリーン役のキャリー・マリガン。誰かに似ている気がしてしかたがない。デイン・デハーンにも一寸似てるんだけど、そんなネタっぽい話ではなく、雰囲気が、日本人の誰かに似てる。えーと…。
綾戸智恵?やめろっこのキュートなキャリー・マリガンを!
渡辺真理?うーむ、積極的に同意したくない。
トリンドル玲奈?すまん、知らない。
どうにもこのキャリー・マリガンが好きになってしまい、絶対にヌードとかなって欲しくないとすら想うほどです。
※調べたら、もうあるそうです。3日泣きはらしました。
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世間では北野監督作品との共通点を上げる意見が多いようです。ぼくは、北野武さんの映画をそれ程観ていないので比較のしようもないけど、上記のような点は、知ってる人は知ってるんだろうな。映画のこともblogに書き始めた時にはここ迄になるとは想わなかったけど、映画を、観るようになったな随分。映画に対する想い入れも、当初よりもずっと大きくなった。映画に関わりたい想いは、次第に情熱に近くなっている。やばいなあ、いい歳なのにな。
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Commented by こぞ at 2014-11-04 19:25 x
カッコいい映画。これ大好きです。
西部劇や日本の時代劇にありそうな感じ。

綾戸智恵・・・
Commented by momayucue at 2014-11-04 23:30
こぞさま、毎度です。
これ、ぼくは全く知らなかったけど、有名なの?
いや、ほんとにこれ好きです。本文にも散々書いたけど、
何から何迄好みです。
Commented by こぞ at 2014-11-05 00:07 x
雑誌『映画秘宝』の2012ベスト作品の第2位でしたね。
ちなみに第1位は『ザ・レイド』第3位が『007スカイフォール』となってました。
Commented by momayucue at 2014-11-09 12:47
こぞさま、それではきっともう「イコライザー」観てるよね。ぼくはまだなんですが、すっごく期待がふくらんでて…。
Commented by こぞ at 2014-11-11 20:22 x
そうそう、「イコライザー」予告を観るかぎりでは大好物です。が、
なかなか単身赴任のお父さんは劇場鑑賞はむずかしくて・・・。
それでも・・・と調べたら最寄りの劇場では上映していないことが判明。
レンタル待ちです。
by momayucue | 2014-11-02 23:49 | もーしょんぴくちゃー | Comments(5)

モンキーマインド・ユー・キューブ・バンドのミュージックライフ。 こんな時代も音楽でしょう!


by momayucue
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