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つれづれ

JIM HALL PAT METHENY/ジム・ホール パット・メセニー

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恐らく現代最高峰のジャズ・ギタリスト、たにぴ@もまゆきゅです。
本気にするなよ!

「私達アメリカ人は、現代最高のジャズ・ギタリストが日本人であることに、
何かを学ぶべきだ」
と、その昔Pat Methenyが言ってました。渡辺香津美のことです。
メセニーは、ECMの頃から圧倒的に変わってて、
やがて彼のサウンドがひとつのジャンルの様になってしまった。
JAZZって言ったってさ、あれは変わり過ぎてるもん。
ジャズのような、カントリーのような、ロックなような…。
未来的な音楽でもあったし。
今でも、最初に"Bright Size Life"や、
"Pat Metheny Group"(邦題は「想い出のサン・ロレンツォ」。なんでだ?)を聴いた時の、
「これ、ありなのか?」
という強烈な差異を憶えてます。
ミュージシャンって、こんなに勝手なことを想い付いて、
演奏して、アルバムにして、売ったりしていいの?という感覚。
しかしメツェーニー、香津美師匠を大絶賛。物凄く仲がいいらしいけど、
ぼくが知る限り、共演歴はない…よね多分?

一方ジム・ホール。こんにちでは彼の編み出したジャズ・ギターのスタイルは、
新たなジャンルという雰囲気ではなく、
ジャズ・ギターのあり方のひとつというか究極というか、
要は、教科書になってしまった。
シングル・ノートでのバッキングも、ブロック・コードも、ストロークも、
言う迄もなくソロも、ジャズそのものです。
JAZZを演奏する全ての楽器の全てのプレイヤーの、アイデアの起点に感じます。

片やJAZZの話法から全く新しいムードを持つ音楽を作り、
独走を続けてきたイノベイターと、
片やJAZZの話法のスタンダードそのものを作り、体現し、
どんな場面でもその演奏は明確にジャズだったアイコンとが、
デュオで、共演したアルバム>があります。
ぼくが聴いたのはリリース後かなり経ってからでしたが、
出た当時のジャズ界の騒ぎは、そりゃ凄かった。
メセニーはどちらかというと保守的なリスナーに、
「あんなもんはジャズじゃねえ。こけおどしの子供向け音楽だ!」
みたいな野次を飛ばされてたけど、
JAZZ界では世界的にも例のないセールスを産むギタリストが、
ぐうの音も出ないJAZZの財産と、
2人だけでの親密なレコーディングを残すんですから。

確かに、パット・メセニーが動くと、どうも商業的な雰囲気が漂う。
2人のジャズ・ギタリストが完全にデュオをするのでも、
他の人とは違うものになる。
マーク・ジョンソンのリーダー作では、
なんとビル・フリゼルとのツイン・ギターですが(これ、サイコーです!)、
逆にもしそのアルバムが、"Pat Metheny & Bill Frisell"なんて代物だったら、
大変な騒ぎになったでしょう。
ぼくにとっては、Jim Hallは絶対にアベレージ以上になる安心感があるけれど、
Methenyの場合は、異常なテクニックな割に、
ソロを弾くと期待以上になることがあまりなくて、
「ああ、あれね…」
になってしまう。
ではどうすればいいのかと言うとですね…。

こうするんですよ。イノベイティブを、捨てる。
チャーリー・ヘイデンの時もそうだったけど、
殻を作って、その制限からどう自分を打ち出すか、或いは出さないか。
名作、「ミズーリの空高く」の製作時、
ダビング無しでのデュオを提案するメセニーに対し、チャーリーは、
制限をしたくない、君はダビングも、なんならシンセサイザーも重ねるべき、と提案したそう。
恐らく、ウッドベースの側からのスペースを作り、
その上には過不足なくする為に自由でいて欲しいと想ったんだ。
白熱デュオではなく、最小限の音楽である為に、却って制限を意識しない。
そして、ギター同士だとどうだろう。
普通なんですよ、どちらもどちらにも歩み寄り、理解し、入り込み、
もはやどっちがどっちだかわからなくなる。
斬新な音楽ではなく、ひたすら混ざる。

ただそれにしても、メセニーって、
アルペジオも凄く巧いし、ソロも凄いのに、
ストロークが、所謂カッティングを拒否しているというか、
ファンキーな雰囲気がない。
ジャンジャカジャカジャカジャーン。
強弱はあるのに、ミュートは聴いたことない。
ジム・ホールはシングル・ノートでさえノリノリのバッキングをするのに、
その辺は本当に不思議です。

さて、ジム・ホール亡きあと、日米のジャズ・ギターはいかに。なんちて。
商業的とは言っても、
集客力があるだけでメセニー自身が拝金的な人物とは想えない。
お金を稼ぎたかったら、もっと違うことをする。
ただ、音楽に野心的なのは間違いないですね。
実にじつに様々なことにチャレンジしている。
イノベイティブが宿命、みたいな。
渡部香津美さんは、なんちゅうか無欲なんだよな。
ギター小僧で、新しもの好きで、でも大きく勝負に打って出ない。
あれだけの技術と音楽的適応能力があれば、
渡辺貞夫さん、日野皓正さん、増尾好秋さんのようにN.Y.に渡ったら、
マイルスだろうとサタデーナイト・ライヴだろうとどんなセッションでも、
すぐに順応して、期待以上の成果を残せたのに。
日本に留まった。
今からでも、もっとアメリカの仕事をして欲しい。ファンとしては。

ジム・ホールは、あらゆるデュオの傑作を残してるけど、
もう安売りしちゃって欲しかった。もっともっと。
香津美ともやって欲しかったし。
レイ・アンダーソンとのデュオとか、
そうだな…、ソニー・ロリンズとも。
ジャズはいいな。もう勝手に音が浮かぶな。
でもやっぱり聴きたかった。R.I.P.
by momayucue | 2014-11-18 23:07 | つれづれ | Comments(0)

モンキーマインド・ユー・キューブ・バンドのミュージックライフ。 こんな時代も音楽でしょう!


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