小理屈「いやカタいのなんの」

ハリウッド

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「デブラ・ウィンガーを探して」というドキュメンタリー映画があります。
ハリウッドでは、女優の旬がとても短い。30代後半になると、扱われ方が大きく変わり、やりたい作品に出逢えず、どうしても映画の中でその世代の役柄を「埋める」ような仕事しか来なくなる。仕事に自信も充実感も味わえる年齢になるというのに、ここにはそんなニーズがない。一方、ヨーロッパや、TVの仕事であれば、クリエイティブな、美しい作品に出逢えるから、一部の人はそれらを選択するけれど、やはりそれは不平等だ。40代〜50代の男優は、圧倒的にアメリカ映画のスターだし、70代に届こうというアクション俳優も幾人もいる。なのに、女優はそうではない。少なくともハリウッドのニーズがそうではない。という現状について、ロザンナ・アークェットという女優が、ミドル世代の女優を自ら取材した。その結果がこの映画。2002年に公開された映画なので、今では少しくらいは状況が改善されたかも知れない。しかしそれでも、ハリウッドが映画産業の中で一寸時代遅れになってしまったのは、間違いないのでは。

2000年よりも少し前から、アメリカでもTVドラマの価値が高騰した。質も、ステイタスも、ギャランティも、徐々にあがり、今では却ってTVの方が映画の先を行っている。それはどうしてだろう。

映画評論家の町山智浩さんは、
「映画は、昔は作品だった。今は、良く出来た『製品』だ」
と嘆いてます。製品だって良し悪しはあるんだけど、作品と呼ばれる方が作った側もうれしい。製品と呼ばれたい人は、恐らくその製品を作るという行為を作品的に捉えているのでしょうし。
町山さんが指摘したかったことは、よくわかります。まず事件が起き、チームが登場し、仲間割れがあり、主人公は葛藤を抱え、より巨大な敵が現れる。黒人のタフガイが1人。美形の白人女性が1人。剽軽もののサブキャラに、中心人物は白人の男性。この設定は、クリエイティブな範疇の制約を超えているし、現実的でもないのに、製造工場はまだその構造に頼っている。

クリエイティブな制約というものは、確かにあります。実際、制約を構築するというクリエイティブだってあり得ると想っています。
だから、一定のクオリティを得る為にマニュアル化する面もある。それは、「製品」と呼ばれるけど、一方でそうでないものも作っている人もいる筈。唯一寸、やっぱり気になるよなあ、その総数というか比率が。
アメコミに題材を求める。バットマンもスパイダーマンももう2週したんですよ。やばくないっすかこれ?CGアニメで寓話を題材にする。登場人物が古代の服装で竜やらと闘うエピックなもの。脚本に大金が支払われるのも、独創的で斬新なネタがなかなかないからでしょう。近年のステロタイプになってしまった作りだって、最初があって、とても新しかったのに、今は新しいものを作ってくれないのか?いやもう新題材に伴うリスクも怖いでしょう。だって150億とかの予算を、確実に回収しないといけないんだもの。
海外では大ヒットした「ゴジラ」は、日本の怪獣格闘モノの幾つかを幅広く参考にした、監督のファン心理がこもった作品でした。却ってクオリティを拒否している気配さえ感じられます。可愛さ余って可愛さが百倍になった!どひゃ!一方、製品化もある。「アサシン」のように、「ニキータ」をアメリカ人が作ったら、こうなるんだ、という筋の通し方、仁義のようなものが当初あって、しかし、オールドボーイは?「リング」は?完成度が仮にあがっていても、もはや、(ハリウッドが、マーケットを貸してやる。原作としてプロットをもっと世界に広めてやるよ…)といった駆け引きが大きく、一番設けるのは弁護士だ

そう考えると、ハリウッドが製品工場になっているのを感じずにはいられない。多分、まだ日本では記憶に新しい「テロ、ライブ」という韓国映画も、早晩ハリウッドでリメイクすると想う。何処かの小さな町工場が作った発明の特許を買い叩き、大工場が、製品を産み出すんです。
ぼくが好きな映画は、結構その「製品」側のものもありますが、そうでないものも産み出され、広がっていく環境はとても大事な筈です。アメリカのミドル世代の女優も、もっと国内で自分達の輝きを発揮して欲しい。何故なら、それがリアルだからです。TVに負けっ放しじゃんよハリウッド。


TVが人生における体験の代替になってしまったことを、70年代から多くの思想家や芸術家が訴えてきましたし、事実そう言った面はあるけれど、TVというハードウェアも、ネットワークも、多くの標準化も、基本的にはクリエイティブだった筈です。コンテンツを守る為に行われた。しかしそれにしても、ハリウッドは何処へ行くんだろう。中国マーケットに期待するのも仕方がない。広告のタイアップで製作費を稼ぐのも重要だ。スターを主役にしたりもあるでしょう。ハリウッドにはハリウッドの役割があります。皆が期待するハリウッドがあるからこそ、彼等も大作を作る訳だから。
しかし、これだけは忘れてはいけないことが。出た収益を次の世代に繋げるには、次の世代を牽引する俳優達とスタッフと作品を何処かでつくっていかないといけない。せめてガスくらいは抜かないと、ただ売れる映画を作ろうというだけでは、売れない映画がなくなってしまう。売れる映画だけってことは、みんな同じものを観てるってことです。それは、人類の文化的損失ですよあーた!非ハリウッドがハリウッドを刺激し、ハリウッドもプライドを持った製作をしてる構図は、案外悪くない。ただそれも、弁護士が最初の登場人物になってしまっては、期待が弱まります。作品に、或いは良質の製品にでもいいけど、跳ね返るのならいざ知らず、下手をすると鑑賞する人間が先に製品になってしまうかもね。




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by momayucue | 2014-11-24 23:06 | 小理屈「いやカタいのなんの」 | Comments(0)

モンキーマインド・ユー・キューブ・バンドのミュージックライフ。 こんな時代も音楽でしょう!


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