つれづれ

2 Dorink Minimum/ウェイン・クランツ

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えーみなさま、まだリハビリは必要なものの、
メンタル的には、かなりギター奏者としての覚悟を取り戻し、
スーパーギタリストではなくても、
そこそこ伝えたい音楽を演奏する為の自分なりのレベルを認識しつつある、
たにぴ@もまゆきゅです。

マンハッタンの55Barという、とても小さなクラブでの、
まあ驚くべきライヴ・アルバム。
それが、身も蓋もないタイトルのこれです。
「最低限、2ドリンクはオーダーするように」
多分入口に書いてある言葉を、何もそのまんまタイトルにしなくても…。
でも、Wayne Krantzという人は、あまりそこを考えないタイプに想えるんです。
もともと身も蓋もない人物。なんちて。

彼の演奏は、JAZZっぽい何かをそれ程感じさせない。
影響を見付け難い、とも言える。
ぼくがその音楽に近似性を感じたのは、
ジェフ・ベックがブルースをやらない時とか、それも、
ヤン・ハマーとバトルしまくってるもの。
渡辺香津美のギター・トリオもの。
それから、パール兄弟での窪田晴男とか、です。
ヘンな喩えでしょ?
つまりね、コードを弾いた直後に何かのパッセージを弾き、
アドリブにも突っ込むという変幻自在さ。
普通はバッキングのギタリストやキーボードをつけたりするのを、
せわしなくみんなギターでやるか、フレーズでコードを全て語らせるか。
物凄く難解な音楽ではないのに特殊性を感じさせる彼は、
この目一杯弾き倒したい感が、人一倍強いんだと想う。
Donald Fagenのアルバムに参加するなんて、
それ自体ステイタスでもあることを成し遂げていながら、
音楽的には素晴らしいし楽しんでもいるけれど、自分のバンドでやりたいとか、
遠慮なく言ってのける。
そりゃあみんなそう想ってるんだと想うよ。でもさ、
この人の場合、身も蓋もないんだよなあ。若い訳でもないのに。

その理由は、メガネにある!…うそ。でもオタクっぽいよね。

アコースティック・ギター奏者には、
「全てのパートをギターの中で完結させたいクン」はけっこういて、
えてして弾き過ぎになる。
いかに正確に演奏していても、
役割を持った2本のギターを1本でやりきるという着地をしないことが多い。
ドラムもベースもサックスも全部ギターでやるというのは、
なんつーかね、中毒症状に感じる。真似っぽくもなるし。
尤もそういう大道芸的なことも、音楽の面白さだとも想うけど、
例えば香津美さんもそうだし、Wayne Krantzも同じで、スペースを作る為に、
他の楽器をあまり歌わせない。
で、抑えるのは失礼だから、取り敢えずトリオでいい。
で、喋りまくるというね…。
それからここが肝心なのだけど、テクニックも、センスも凄い。
個人的には、この勢いでベースもドラムも抜きの楽曲を作ってみて欲しい。
それでもポテンシャルが変わらないと想うよ。
はぁ…すげえ。

アンソニー・ジャクソンという超強力なベース奏者がいます。
ベースと言わないのか、コントラバス・ギターなのか。
元祖多弦派の人で、セッションマンとして凄い場数をこなしてるのに、
ソロアルバムはないんです。
一応ソロ名義になってるのはあるけど、
ベース・ソロも取らないし、曲も作ってないし、
第一他にベーシストがいてその人が作編曲となってる。
ビル・ラズヴェルは、
「アンソニーは自分の音楽をやっていないから駄目だ」
と言っていた時期があったけど、今も同じ意見かはわからない。
ともあれ、彼が割に無欲なタイプなのは事実です。
ライヴ等でひとたびソロ取り出すと、何がなんだかわからないくらい凄いのに。
そのアンソニーは、
「私は他の人の音楽に参加するだけで充分自我を満たしている。
これは、私の表現なんだよ。
しかしそれでも、あらゆる条件を差し置いてでも共演したいミュージシャンは、
3人だけなんだが」
とインタビューで応えてました。
因みに、その3人のうちの1人は、矢野顕子さんでした。

ベース音を担当するとか、ドラムスとかは、
単独で演奏するものをずっと聴くのは、聴く側にはなかなかしんどい。
しかし、ギターにしろ何にしろ、ベースやドラムを必要とする場面が多く、
必然的に音楽に対する位置も、縁の下に行くか上で踊るかは変わるのかも知れないです。
ついつい、自分が他者を必要としているのと同じように、
その他者の側も、別の他者を必要としたり、するその状態を、
ベストにしたい欲望がぼくにはあります。
そのセッションを能動的に楽しんでもらいたい。
とは言え、音楽をやる人は程度の差こそあれWayne Krantzである筈。
自分のバンド、自分の楽曲、自分の構想。
アンソニーのように、セッションベースだけで全て語れると言い切るのは、
あれだけのレベルの人物には非常に稀です。ですが、
ベーシスト、ドラマーには、程度の差こそあれAnthony Jacksonが、つまり、
自分が一員のバンド、自分が任される楽曲、自分を加味した構想…、
という境地が必要。

バイオリン協奏曲はあっても、
ファゴット協奏曲は、…あっても稀だし、ことによるとないかも。
(ぐぐったらモーツァルトが作ってた)

自己顕示欲も含めて、楽器にはそれなりの役割が付随してくる。

ただ、ウェイン・クランツの場合、新しいサウンドというよりも、
素朴に音楽のスペースの問題のようです。
とあるインタビューで、
「最近聴いた中で一番よかったのは、Stevie WonderのMusiquarium。これは凄かった。僕が考えられる全てのものを超越していた。本当に感動的だ」
と答えているところをみると、それがR&Bクラシックだろうと最新型だろうと、
ぐわーーーーんと来るものを求めてるんだと想います。
ん?誰でもそうか。

いつか彼がフロントマンとして充分に成功し、
あらゆる編成を自分のギターのようにアサイン出来るようになったら…。
実に楽しみだな。


....
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by momayucue | 2015-01-09 23:53 | つれづれ | Comments(0)

モンキーマインド・ユー・キューブ・バンドのミュージックライフ。 こんな時代も音楽でしょう!


by momayucue
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