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もーしょんぴくちゃー

「進撃の巨人」という祭りと、物凄く過激な壁

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終わってみると、とても不思議です。漫画をあまり読む方でもないし、アニメはもっとだし、要するにそれ迄殆ど「進撃の巨人」に縁がなかったぼくが、映画の前後編を劇場で観ました。観た理由は、町山さんがシナリオやコンセプトに参加していたことと、何と言っても不定期漫画家でもあるバンマスゆーこさんが漫画版にもアニメ版にも心酔していて、
「この私が久々に凄いと想った!」
と豪語していたので、ではでは、というのがきっかけです。

しかし、ぼくの入れ込み具合は次第にエキサイトしていきました。かなり裏情報を追いかけ、詳細に詳しくなったのみならず、出演者も追いかける羽目になった。別に大傑作かというとそうでもないし、…ただ、知らない人にはそうでもなかったにしろ、この映画を観た人にとっては、全方向に異常に反応してしまう映画だったのです。間違いなく。そう言う意味では、樋口真嗣という監督の持つ祭り感というのは、一寸特殊です。
何しろ批判的意見が異常。なんでそんな?と想うような数の人達が、わざわざYahoo!に書き込んでいる。目検ですがその50%程度が、酷い、金返せ、時間返せ的な、まあヘイトスピーチな訳です。多少建設的に、多少冷静に、どちらかと言うと批判的に、書いている人が25%。凡そ25%が、そんなに酷くない、いやいや面白かった、等。どちらにしてもネットという公共の危うさがモロにサンプル化された状態です。それにしても、ネガティブチームは、
「映画関係者の工作で書き込んでる奴がうざい」
まで言ってて、もう完全に頭に血がのぼっている。何に怒ってそうなるのか、ぼくにはもうわかんない。あまりに気の毒なので、うまれて初めてですがYahoo!に書いて、少し高評価をつけてあげました。2015'9/3のことです。

その数時間後に、恐らく本人はいまだに気付いていない祭りが始まりました。
その人は、ぼくの書き込みを読んでいたらしく、その人物はどうやらぼくを、この映画の監督だと想ったらしい。
「消される前に要チェック」
というタイトルでエントリーされたその書き込みは、ぼくが書いたものについて、綿密な(?)推理を積み上げ、
「これは絶対樋口監督が書き込んでる。。」
と言い切ってます。幾つかの文章からそう踏んで、得意になって主張してます。そして、
「少しでも共感頂けたら「役に立った」をクリックしてください!
邦画の明るい未来の為云々」
と結んでいます。

言う迄もなく、ぼくは樋口監督じゃない。だから、彼の推理自体は完全に赤っ恥なのです。しかし、ここでぼくが気になるのは、そこじゃない。
大きくふたつ。まず、完全に自分の評価を信じ切っていて、その為には他人を罵倒してもいいと想っていること。もうひとつ、ぼくを監督と勘違いしていることからもおそらくたいした接点がないと想われる樋口監督を、何故か追放しようと訴えること。

では、順番は前後して監督追放論から行きましょうか。
これ、個人的な恨み?接点が強かったらその後標的を再度見て(ぼくは監督じゃなくてこういうもんですと追記しました)恥ずかしくて消すとかしてもよさそうなのに、そんな動向もない。では、何故そんなこともしない人物なのに、「追放」とかのたまうのか。
村上春樹の有名な「ノルウェイの森」がトラン・アン・ユン監督によって映画化されることが発表された2007年頃、熱狂的なファンが多い小説だけに、キャスティングに非常に関心が高まった時期があります。とりわけ主要キャストの「直子」役。結果は、菊地凜子さん。それはどうもファンには許し難いことだったらしく、SNSで大荒れに荒れて、中には、監督に抗議運動をしようとか、訳のわからない状態になってた。
mixiのコミュニティでそんな騒動に対して、
「本気じゃないよね?監督も、春樹さんも、松山ケンイチも、誰も幸せにならないよね?」
と書いてみたことがありました。すぐに静まった。コミュニティの管理人さんから、丁寧な感謝のメッセージを頂きました。流石ハルキスト、落ち着いた文章でしたが、荒らしの方々は納まったにしろぼくが菊地凜子だったらおいおい泣き出したくなるような言葉の数々。
時折り、人間は異常な攻撃行動に出ます。ぼくもよくやっちまいます。SNSでもよく見かけますが、対面でさえも、よく意味の解らない言いがかりみたいなことがある。ぼくが電車で座ってて、漫画雑誌を読んでるおじさんのその雑誌の端っこがぼくの頭に触って、かなり丁重に注意したところ、
「このキ○ガイ!」
とキレられてマフラー掴まれ電車から降ろされたことがあります。物凄く怖かったし、お巡りさんも困ってた。
現象としては良く見かけるけど傍からは想像もつかないような心のざわつきが、ヒト種にはあるようです。SEALDsという最近の学生達の運動がありました。迷いに迷って、デモを選択し、しかしあくまでユルく、かつての赤軍のようにならないようにやってました。当然のように昔の運動家やらも出没し、その周辺には、すっかり有名になったネトウヨさん達がアンチで絡んでくる。ある政治の季節が来たとしたら、誰かが多少は熱くならないといけない。それにそもそもぼくはSEALDsは支持出来るんですね。でもその話ではなくて、ネトウヨさんです。物凄く頑張る。ふとしたきっかけでぼくにも絡んできて、ぼくはそれは生身の人間がやってるとは信じられなかったので(誰かが役割として請け負ってると想ったので)、
「あなたには興味ないです」
と繰り返して、一切相手にならなかったんですが、SNSの壁の向こう側では、クッソワロタ、無能、これでも読め(Link)等が実にじつにお疲れさまな様子。この人達、本気なのかな…、もしかして、ホントにこういうことを考える、「想像もつかない程に程度の低い」人が実在する?そのことに驚いてます。
実在を確信したのがまさに、その樋口監督追放クンがきっかけです。だって全く無関係な人に監督認定して、しかも映画界から追放とか言ってるんですよ。信じられる?でも、いたんだよねーってカンジです。

次に、自分の評価を信じ切っている人について。
樋口監督追放クンはぼくの、
>>とりわけCGならぬ特撮は素晴らしく…
というくだりを引用し、何しろ樋口さんだと信じちゃってるから、
「まーこんな小学生の○○毛並みの自己主張はスルーして」
と書いてます。本人じゃないんだから自己主張ではないし、この比喩もすみません、意味が判らない(原文は伏字じゃないです)。でも彼にとってはぼくは監督だから、自己主張なわけです。
それから、この映画で炎上の材料になっているうちのひとつに、唐突な濡れ場モドキがあります。兵士達が、夜、休息の時間に、乳繰り合うという場面。そんな筈ないだろうという意見が矢鱈多い。しかし、大概のアクション映画にも、戦争映画にも、極限の緊張で人肌を求める場面なんて普通だし、現実の戦争でも、了解すら得ない非道な性衝動の話が溢れてる訳でしょう。慰安婦の話とかはぼくも大嫌いだけど、映画でのその手はもっと普通にロマンチックだ。ましてや、「進撃の巨人」の設定では、兵士は、男女関係ない。どちらも、兵士になる。だったら仲間同士なんだし、演出のどうこうは兎も角、全然成立する。これについて追放クンは、
「(こんなことを考えるのは)お前だけだバカ」
と切り出し、彼なりの理屈で否定的な見解を述べています。これももう信じ切っている。

ネトウヨさん。これも、その情熱は、役割とかではなくて、本当に中国が、韓国が、北朝鮮が、攻めてくるとしか考えていない。そしてその為には国防を強化するしかない。そしてそして、その為には安保しかない。そしてそしてそして、その為には、憲法改正しないといけない。
これはとてもデリケートな議論なので、あまり深く触れると今日の本筋から外れますが、北朝鮮を除くと殆どの国は日本を投資対象或いは買い物に訪れる国という認識でいて、ましてやどちらも経済はあっという間に翳って来てますよね。これは、戦争をふっかける場合ではない。資産を沢山持っている民間の人達は日本にそれを逃がすでしょうし、政府は自国の安定と自分の地位の安定を求める。その為に戦争が有効かどうか、ということです。戦争を始めたら、国内の富裕層が歓迎しない。そして、近代兵器の戦争は兵器の破壊し合いに留まる訳はなく、もしも一旦始まったら、数日で全てが終わりです。とりわけ日本の場合は。本土決戦など不要で、遠距離から核攻撃をしてしまえば、それを全て国土に到達する前に駆逐出来るとはぼくには想えない。要するに、戦争は、気のふれたヤツしかやらないし、そんなのに法整備で戦える筈がない。憲法というものは、制度以上に、態度としての価値があるのだと想ってます。
想定より長くなっちゃったけど、話を戻すと、ネトウヨさんにしろ、監督追放クンやYahoo!のヘイトスピーチにしろ、バカだと想ってるんです。

「バカの壁」という本が一頃ベストセラーになりました。コピーとして面白いけど、内容は、ラジカル且つ冷静で、そんなにコマーシャルなものではないです。
ぼくは、滅多にバカという言葉を使わない。怒っても使わない。ふざけてしか使わないし、ましてや他人をバカにする時にはもっと気の利いた言葉を捜すたちです。一番頻度が高いのが、自分に対して。
「おれは、馬鹿だ…」
と悔やむ。しかし、この炎上星人達は、自分の考えを圧倒的に正しいと信じ、汚い言葉で他人を捻じ伏せようとしている。なので、最後の少し強い言葉使いで、音楽にも絡めて、言っておきたいと想います。

他人に対して、予想でものを言う時には、覚悟をすべき。
データがあると想っていても、そのデータを疑い、それを見ている自分を疑い、それから、
自分の姿を、他人として見て、それでもそう想うかを考えて欲しい。トンデモになってないか、モンスターなんとかになってないか、想像力を働かせて欲しい。

多分無駄だと想うけど。

日本のポップ・ミュージックは、今も洋楽の玩具程度になっているという意見は、世界の村上春樹をはじめ、今も少なくない。しかし、それで悪いとも限らない。最近の洋楽圏だって、非常に奥まったところに凄いものが眠っていて、ヒットメーカー達もそれをつついて探っているだけのこと。例えばインド。インドのポップスは、昔の言葉でいうと「イナタイ」印象なのは今も同じ。だけど、ループとヒップホップが隆盛している洋楽における現役ビッグネーム達は、インドのスタイルに新鮮さを見出している。ビデオの振り付けとかのみならず楽曲もかなりパクって来てるでしょう。日本だと、70年代の当時デッドコピーに過ぎない扱いだったニュー・ミュージック前夜の音楽は、今世界中のコレクターの垂涎の的。要するに、玩具であることも、そんなに悪くないってことです。

一番問題なのは、さもわかったかのように赤の他人を監督呼ばわりして罵倒する人種が、蔓延していること。
前々から言っているように、ぼくは、
「いやあ君のやりたいことはわかるんだけど…」
と切り出された続きが全く意味不明だったときに、言い出した人が大嫌いになります。
ちゃんと反省出来るのか。予想した相手に本当になにがしかを賭けてのぞんでいるのか。多分軽率にバカの壁の中の蛙をやっているだけでしょう。そしてそれのモンスターが、群集となって中国や韓国にヘイトスピーチを平然と行い、憎しみの連鎖の歯車としてぐるぐる回るバカ野郎です。

SEALDsでの脱線に引き続き、本日のタイトルに戻るという脱線で(^^;、「進撃の巨人」実写版の擁護と、ヘイトスピーチの擁護で〆たいと想います(マジか!)。

・兎に角、現時点で破格の日本映画を作ろうと、予算や市場を創出する為に硬軟取り混ぜて、やれるだけの作品になったと想います。お疲れ!町山さんによると、主演の三浦春馬さんは中国マーケットに訴求するかもという人選だったが、実際には内容が全然共産国には無理だったと。そんな中で30億の興行になったのは、樋口監督のいい人オーラというか、不思議なお祭り感が勝因のひとつだと想います。
・全員が作品に満足するかというと、そうではない。恐らく最も映画に通じている町山智弘さんがスタッフにいても、全体をコントロールする人の嗜好は別。ぼくは特に、樋口さんの責任によるあの俳優たちの演技には全くノレなかった。だけど、もしこれが外国語映画だったら、案外ニュアンスが解らずに観られるかも知れない。とは言えあの演出はねえ…。
・特撮は、面白かった。立体起動装置などの飛び道具はハリウッドのCGみたいに豪快に飛び回る不自然なさと違って、人間が動く方がぼくは好きです。MARBELのアクションは、今のぼくには合わない。
・音楽の使い方、うーん…。音楽自体が悪いとまでは想わないけれど、…うーん…。
・主人公のエレンが、何か閉塞感を感じる日常から飛び出す青春活劇を軸にして、壁があって、巨人があって、箱庭のファシズムがあって、…という、実は小さいスケールの物語。例えば種の起源に迫る!とかではないのだと想えば、真っ当な造りです。ただ、原作もこんなものだよねきっと、というぼくの発言にはゆーこさんは大反発しました。そんな小さいものではない!と。
・ヘイトスピーチの方々は、金返せとか追放しろとか怒り狂ってますが、樋口監督や、町山さんら周辺の登場人物はある意味映画の出来以上に彼等を巻き込んで「進撃の巨人」という季節を体験させてくれました。だから、怒ってるとこ悪いけど、みんなで盛り上がったよね。それに、映画にしろ音楽にしろ、観たり聴いたり踊ったりだけでなく、背景を知ったり語り合ったり、文句言ったりしながらお酒飲むのも、楽しみ方のひとつなんです。文句言う為に時間使ったり金払ったりしたんじゃねえ!とか息まえるあなた、もうイヤなら、もう関わらないのが一番です。でも、文句言って元取るのもありなんじゃない?

そして、原作の「進撃の巨人」は、実はその箱庭を超えた先にもう一度リアルな青春物語に帰ってきて欲しいと願います。映画のラストの一言は、それを逆に予感させて、ぼくの想像の範囲に留まりそうで不安でした。
「やっぱそこ?」
みたいなね。







Commented by ゆーこ at 2015-10-04 23:02 x
ネトウヨさんとのたたかいお疲れ様でした。

原作アニメ大好きな私は文句いう人たちの気持ちが痛いほどわかるのよねー・・・
マフラーの扱いがあんまりだー!!あれなら出さなきゃいいのにー!!
そして最大のダメポイントは、シキシマが行きつけの美容院の担当さんに似てて
出て来た瞬間に「ぶふぉ」ってなってしまったことだがこれは制作サイドに落ち度があるわけではない不幸な出会いでした(笑

原作から独立した1本の作品として見るには力不足と言わざるを得ないんですが、それでも果敢に挑まれたスタッフ・キャストの皆さまに敬意を表します!
Commented by momayucue at 2015-10-05 23:49
ゆーこさまどもども。
マフラーの扱いは、
後編にちゃんとクローズアップされてたから、読んでないものにはあれで通じるし、
時間配分で見たら映画ではいいんじゃないかしら。
美容師さんに似てたのは、ノリ的には「地獄でなぜ悪い」の方かも。いやいやいい意味で。なんちて。

結果的には、お祭りだよね。
いつかまた日本にこんな映画の祭りが来るといいな。
Commented by ATA at 2015-10-20 14:41 x
コミックだけは1巻から追いかけていますが、アニメも映画もまだのATAでございます。

群馬に来て世の中の流れに乗り遅れまくっております。
最近の表現をするものは音楽であっても漫画アニメであっても世界観が注目重視されている様な気がします。
その中でも巨人は凄い衝撃でした。
映画もみてみたいな。
Commented by momayucue at 2015-10-20 18:11
ATAさまどもども。監督のたにふじです。

アニメはけっこうYouTubeにあるみたいです。
映画は…、絵作りはかなりちゃんとしてます。
酷評で期待すると、そんなに酷くないよなって肩透かしをくらうと想うです。

また遊ぼうよー。
Commented by ゆーこ at 2015-10-20 22:49 x
ATAさんおひさしぶりですー

アニメはいいよアニメー。号泣したもん(オタク目線ですので一般の方が泣くかどうかは・・・)でも13話までのシリーズはとてもとても好きっす。
アニメ劇場版はやはり削除されている幾千のシーンに「ああ〜あそこもカットか」と歯嚙みしながら見ておりました←大げさ
by momayucue | 2015-10-04 21:43 | もーしょんぴくちゃー | Comments(5)

モンキーマインド・ユー・キューブ・バンドのミュージックライフ。 こんな時代も音楽でしょう!


by momayucue
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