もーしょんぴくちゃー

ヒーローとは何か、 DeadPool

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ティム・バートンがジャック・ニコルソンをジョーカーに配役しマイケル・キートン版のバットマンを公開した1989年を境に、アメコミヒーローは、お子様向けではなく、成人も楽しむ映画コンテンツになりました。以来、どれだけそのテのものが作られたのか、お気楽ウォッチャーのぼくには全貌はわかりませんが、スパイダーマン、スーパーマン、その他X-MEN系譜なのかどうかもわからないけど、アメコミでしか成立しないヒーロー達が、繰り返し映画化されています。スター・ウォーズは純粋に映画から生まれた物語で、もはやサーガ化していて、都度都度、核となるヒーローがちゃんといます。その後ハリソン・フォードの当たり役となったインディー・ジョーンズも映画的ヒーローだし、だいたいが「業界に007あり」でしょう。多少のお色気云々みたいな棲み分けがあっても、ヒーローが事件をカッコよく解決するというのは、以前からあった。しかし、バットマンの登場は、何か特別なことに、ぼくにも感じられました。ロマンとかキャラクターだけで語り切れないシリアスさがあったのです。日本では暗過ぎてウケない!とまで言った人がいますからね。

その後どんどんヒーロー映画が作られました。クリストファー・ノーラン監督の、ダークナイトが分岐点になり、単に悪をぶちのめすだけでなく、双方が葛藤し、抗い合う複雑な物語の時代が来ます。平和とか秩序の奴隷となっている退屈な市民に対してのアンチテーゼ。それでも良心という曖昧なものを信じて行動する人々。サム・ライミの参戦。メジャーなヒーロー達が徒党を組む傾向。
その社会的背景。
ソビエト崩壊、冷戦の終結、ベルリン統一。これらは、勧善懲悪が成り立たない時代の物語を希求します。決定的になったのは、911とその後の中東戦闘。あの強情なアメリカがなけなしの自浄能力を発揮し、「悪い戦争であった」と認めた。
一方インドや中国等の人口大国が、経済大国としても技術大国としても、マーケットとしても存在感を増す。映画の中でも、舞台が香港だったり、上海だったり美味しい役どころを担う。映画の製作費は、特にスーパーヒーローものは高いと言われています。CGをふんだんに使い、多額の権利費を支払い、スターのギャランティーも、シリーズ化されれば尚更高い。
過去には、ナチの残党を絶対悪にしていればほぼ辻褄が合い、冷戦を平然と背景にしたCIA対KGBの構図があり、ほんの一時期だけれど911の前には、中東が悪に設定もされました。怪しいモンですが一応大人なら解釈出来るという線引きがあった…んでしょう。無理だけど。ただ、これはいい事として作用しているんですが、キッズムービー所謂スーパーヒーローものは、設定が当然荒唐無稽。蜘蛛人間ですよ、大富豪のハイテクですよ、爪が刃物の死なない男ですよ、胸にSの文字ですよ。詳しくないのでこれ以上並べられませんが、何しろ現実味のある悪を設定しにくい。その中で大人の鑑賞に耐えるものとなると、隠喩や葛藤や宗教的メタファーが多くなってきます。典型的なのがヒース・レジャーが演じたジョーカー。欲しいものもない、恨みもない、あるとしたら、正義とか善とかいう不自由で行儀の良い神の支配への抵抗。ん?こうなると、少し対立軸として好感度があがる?そこはまた壮大な話になるのでひとまず置いて…。
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ヒーローって、要りますかみなさん?
スパイダーマンでは、様々な登場人物により、
「人々にはヒーローが必要だ」
「大いなる力には大いなる責任が伴う」
と繰り返されてます。
しかし、なるのもしんどいヒーローが人類にとって欲しいかと言ったら…、どうだろうね。ぼくは、スーパーじゃなくて人間のヒーローがいいな。欽ちゃんはぼくにはヒーローだ。SEALDsの奥田くんもヒーローだ。杉下右京もヒーローだ。糸井さんも、原丈人さんもだ。要するに、今欲しいのは、面倒くさい人間関係や利害をちゃんと整理しなるべく行き渡らせる才覚と知性と希望を持っている人。戦うべき悪なんて、そんなに明確に見えるものではない。

デッドプール。マシンガントーク。強烈な下ネタ。情。ヤツは、真っ当なヒーローじゃない。エロネタを除けば、誰でも比較に想い浮かべるのはおそらく、ヘルボーイじゃなかろうか。何となく自分の内側に育った善をぼんやりと信じ、揺らぎもせずに進む。何故揺らがないかって、たいしたポリシーなんて要らないから。ヒーローですらなくていいから。ぼくはもう麻痺してきてるかも知れないので、デッドプールがバンバン首とか切ってもたいして驚かないし、殺人への粘着性がないのでトラウマとかもないと想う。

葛藤と、復讐の空しさと、三島由紀夫的アンビバレントを経て、アメコミもやっと宇宙戦艦ヤマトガンダムに追い付いた。敗戦国とは何かを知った。その敗戦国である日本が今暴走しているのは置いといて…、異常なクオリティを誇るピクサー作品も、戦争よりも、理解し合えない悲しみこそが主軸。何故理解し合えたり、決裂したりするのかというと、誘導とか誤解もあるけれど、もっと重要なのが、キャラクターです。登場人物が、それぞれどんな個性を持っているのか。ぼくとしては、Deadpoolをそんなに大傑作と持ち上げるつもりはないんだけど、彼の個性は完結していたというか完成していたというか、突っ込みの余地が無いように想います。
「オデッセイ」のようなトボけまくったキャラで、しかも最強にして最狂の下ネタ。
・映画の外側に平気でアプローチしてくる態度。
・音楽のセンス。物凄く幅広くとってある
・徹底して排除しているのは、悲壮感。

…、そう、そこなんだよね。最近はヒーローも悲壮感があり過ぎる。もっとちゃちな奴等がいてもいいのよ。マキシマム・エフォート!






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by momayucue | 2016-11-15 03:03 | もーしょんぴくちゃー | Comments(0)

モンキーマインド・ユー・キューブ・バンドのミュージックライフ。 こんな時代も音楽でしょう!


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