もーしょんぴくちゃー

WARRIOR トム・ハーディが格闘技をするだけなのに感動的

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ぼくは、格闘技が嫌い。それはことあるごとに言ってます。
理由はよくわからないけど、基本的に事前に展開される心理戦の芝居っぽいのが苦手なんだと想います。だからリアルなボクシングもプロレスも観ない。っていうかそもそも格闘技に限らず、スポーツ全般をあんまり観ないんですが…。でも、映画で例えば 「ロッキー」の1作め なんて感動しますよ。あれは、油断したチャンピオンにダメもとで立ち向かうのが精一杯の目標という話。ボクシングに感動があるとも言えるけど、その設定が、腕っ節は多少強くても教養もなく貧しくて、高利貸しの取り立てかなんかをやってるイタリア系移民と、彼を取り巻く同じ移民の人々、自分の存在を証明しようとする男に試合だけで友情を見出すチャンピオンと、の、ドラマです。そして、その為には、どういう訳か、ボクシングという舞台がどうしても必要でした。

今日の 「ウォーリアー」 は、恐らく2011年のアメリカ公開というタイミングが悪かったのかな…、日本では劇場公開されなかった。今ではすっかり マッドマックスのトム・ハーディー と、その兄が、「スパルタ」なる総合格闘技の頂上をそれぞれの事情で目指し、その理由と過程で浄化されていく物語。とても地味な作品です。あの311が起こったその年の日本では、安全な、余程の名の知れた大作か穏やかな作品でないとリスクもあったことでしょう。けっこう見過ごされてる名作が幾つもありますが、その中の、結果的にひとつになりました。

弟は、戦争で受けた心の傷。兄は、家庭を維持する資金の為。そしてどちらも、父親の暴力を恨み、同時に、その暴力とどう向き合ったかでお互いを恨んでいる。そんなものを「糧」にして、全米が熱狂するスパルタで並みいる猛者を蹴散らしたり辛勝し、決勝を迎える。
ざっくりとしたあらすじというか設定ですが、どうですかね、皆さま。これ、感動的ですか?(ある程度モデルがいるという…。すげえなぁ。)いや、…、その、ありがちな話ですよねこれ?人種差別も、殺人も、サイコも、特にないんです。海兵隊全員に共通のトラウマと、娘の病気で借金し破産した理科教師。父親は優秀なスポーツトレーナーだったけれど、アル中だった。アメリカでも日本でも、100万くらいの実例がありそうです。でもこの映画は、それで充分。どう見ても充分に感動的。
ぼくは、こう考えています。どんな家庭にも、どんな兄弟にも、いや、たった独りで無人島で暮らしていた人物にも、ドラマがあって、それは些細なものでも、或いは巨大過ぎるものでも、丁寧に、ていねいに描いていれば、描くに値する。だってさ、「何も背景のない人物」というのがいたら、それは逆に興味を惹かれるし、謎も深まるでしょう。そして逆に何か些細なドラマがあったら、何故その些細なことが彼ないし彼女に影響したかを考えざるを得ない。誰にでも起こり得ることでも、彼にだけ、彼女にだけ起こった。それは何故…?

しかし、重要なことがあります。作品として素晴らしいものにする為には、意志が要る。作家が意志を持ってないと、ダメだ。音楽なら稀に、酷い演奏家からそこそこな名演が出来てしまうこともある…なんてぼくが言っちゃまずいかな。でも映画だと、そこそこでないとまともなものは出来ない。
…なんて言ってみたものの、わからないな。ぼくは映画作れる人でも作った人でもないし、酷いと想う映画が広く受け入れられたりするしなあ。撤回しよう。

何が言いたかったのかというと、…。
warriorの何が凄かったのかって、やはり、ここに感動があると信じてて、通俗的な演出に耽溺してないんですよね。お手軽なTVドラマや、取材映像をテキトーに繋いだものとは違う、なんとも言えない表情がある。ニック・ノルティ演じる父親が弟の方と揉めて酒を飲んでしまうシーン。アル中に魔が刺したようにしか見えない。弟のトラウマも、兄の家庭の問題も、兄弟の問題と父を中心とした家族の障壁に叶わない、というか、そこから全てが始まっているのに意味がある。そうして、全てが、見事に浄化される。格闘技を超えて、アメリカの視聴者が浄化されていくよう。アホな道化役の解説者も、襟を正すでしょう。 amazonの評を お気楽に書いてる消費者の責任迄は持てないけれど、ぼくは、そうでした。

そろそろ核心を。とは言ってもぼくにとっての個人的な核心だけれど。

赦し、且つ赦しを乞い、赦しを求めることを正直に認め、そして、和解する。何もかも時とともに和解に向かう。それをぼくがどれ程望んでいるか…。誰とも争いたくない。誰も争って欲しくない。ぼくは快楽主義者だし、快楽原理主義だ。しかし、他人をぼろぼろにした時には自分もぼろぼろになる。しかもそれは奇麗事で、自分のぼろぼろなんて所詮自分が痛めつけた相手の傷に及ばない。だから常に恐怖を感じるし、和解無き世界に怯えているんです。







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by momayucue | 2016-12-15 21:20 | もーしょんぴくちゃー | Comments(0)

モンキーマインド・ユー・キューブ・バンドのミュージックライフ。 こんな時代も音楽でしょう!


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