もーしょんぴくちゃー

ジョン・ウィック新チャプター公開記念、フェイク・シティだ!

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キアヌ・リーヴスは、あまりの性格の良さがしばしば話題になってます。貪欲なところも、スターという気取りも全く無いのに、アクション大作にも声がかかるし、驚く程の汚れ役も平気でやっちゃう。もし「スピード」のあとに「スピード2」も主演してたら(観てないのでリンク貼れないっす)今頃どんだけ大金持ちだよと想ってみたりもするのに、
「今ベースやってるバンドのツアーがあるから、スケジュール取れないんだ」
みたいな理由で、趣味を優先する。ボッチ飯写真はtwitterなどですっかり語り草…どころかこの手のネタの元祖。地下鉄では席を譲るし、ジャンクフードも楽しんで食べるし、ゲイ説もストレート説も、笑ってノーコメント。寄付ばかりしてる。で、時々マトリックスやら何やらで、10年に1度ブームになる。
最近はJohn Wickでしょう。ガンアクションも格闘もカーアクションさえも、9割方自分でやったとのこと。好きなんだねー。物語は引退した伝説の殺し屋が復讐の為にバンバン人を殺すというそれだけ。重厚な考察とかは一切持ち込まず、あるのは銃口だけ。
「いや別に『ゴッドファーザー』をみせようってんじゃないんだから」
そう、余韻とかが目的じゃなく、2時間をきっちり愉しんでもらうんだものね。2017年に公開されたシリーズ2作めは、その「2時間めいっぱい方針」が更に4倍位濃厚になってて、すっごい爽快モノでした。

前振りが長いなー。ジョン・ウィックについて書くつもりじゃなかったのに長くなってしもた。そんな愛されキアヌの、今日のもーしょんぴくちゃーは、誰か知ってる人いるのかな…ぼくは公開当時は全く知らなかった、邦題「フェイク・シティ ある男のルール」。偽物の街…、でも元題は、"Street King"です。ストリートの王者…、違い過ぎる。なんでだ?ストリート・キングじゃわからん、と誰かが言ったんだろうなー。不思議だなー。確かにアメリカのとある街を牛耳ってる黒幕みたいなニュアンスは「ストリートの王者」なんですよ。で、邦題にしにくい…のかな。でも、「偽物の街」ならまだしも、フェイク・シティって邦題はダサくないすか?
てなことで、このフェイク・シティは、黒幕が牛耳ってるらしい街を舞台にした、アル中の鉄砲玉刑事が、クリーン過ぎてソリが合わなくなった相棒を殺され、真実を突き止めるという話。既にジョン・ウィックのあらすじよりも倍くらいになってますが、省略出来ない。ソリが合わなくなった相棒、というニュアンスが彼の葛藤にとって重要なんです。何故合わなくなったのか。なのに何故復讐するのか。

ではちゃんとあらすじを。

ラドロウ刑事。妻を亡くした心の傷と、信じる上司の為に手段を選ばず街のギャング供を殺しまくる重圧から、常にウイスキーを隠し持ち、運転中にも煽っている。単純な彼は、タフガイというよりも罪悪感から自暴自棄になっているのだ。そんな彼をかつての相棒は遠くから気遣っていた。無茶をするな、と。或る日、自分達を「売った」その相棒と決着をつけようとしたラドロウの眼の前で、相棒が惨殺される。通り魔強盗の犯行を装っているが、どうも変だ。何か裏がある…。ラドロウは、もう一人若い刑事と共に、組織から隠れた操作を始める。同僚の未亡人は、彼に架せられた汚名を信じない。彼は仲間の警官を「売った」のだろうか。強盗でなく計画された暗殺という疑惑。麻薬組織。警察内部の対立。その中で、若い刑事から証拠を盗んだり、麻薬の売人を脅して刑務所に入れ事情を探らせたり、ラドロウの無茶は続き、徐々に成果をあげた。やがて驚愕の事実が明らかになる。

荒れた街と、荒れた警察。わかりますかね皆さま、脚本は、かのジェームス・エルロイです。悪には悪を。エルロイについてはよく「暗黒犯罪小説家」などと形容されますが、私はそうは想わない。誰にもある闇をちゃんと書いてるけれど、そこには必ず、大切なふたつの要素がせめぎ合っています。
「生き残り」と、「(それでも)守るもの」です。
ジョン・ウィックに比べたら遥かにリアリティの物語、「ストリートの王者」。キアヌ・リーヴスは、その軽っちい生存本能と、悩める正義漢が、とてもはまってる。単身でギャングに闘いを挑むケヴィン・ベーコンの「狼の死刑宣告」(この邦題の潔さって、醍醐味だよなー)に比べたら、まあよくあるレベルに想われるのも仕方がないですが、実際には、息子を殺された父親ケヴィンが、復讐の為にダークサイドに行くという方が荒唐無稽。警察が当然のように内部に問題を抱えてる方が、感情移入は一般にはし難いけれど、リアルでしょう。いや、狼の死刑宣告も、ジョディ・フォスターの"Brave One"も、私はかなり好きですし、わかるんですよ何となく。話逸れるけどアメリカって、銃社会なわけで、銃による凶悪犯罪が日本では想像もつかない程横行している。一方死刑には今ではかなり否定的。大概の州で犯罪者は生き延びている。そうなると、遺族は巨大な虚無を内に抱えたまま生きるしかない。だから復讐の物語も決してカタルシス一辺倒では描かれない。重い物語になるのは、必然なんです。復讐は、アメリカの呪いです。水戸黄門も必殺仕事人も、恨みをはらして終わるのに、アメリカは生活の中に銃乱射が時折り起こって、それが、「(復讐で)はれる」のかどうかに、向き合わざるを得ない。では、「フェイク・シティ ある男のルール」は?

大都市の近郊、ニューヨークならかつてのハーレムや、ブロンクス。サンフランシスコにも、ロサンゼルスにも、ギャングや移民マフィアが巣食うスラムがあります。警察も一定の治安を条件に(治安が聞いて呆れるげど)妥協し立ち入らず、時には癒着さえする。失うもののない暴力刑事が独り、公明正大な正義が成し得ない非情を成してしまう。
ラドロウは、馬鹿じゃない。捜査の仕方を知っているし、制裁の是非は兎も角誰に下すべきかを知っているし、何よりも、馬鹿になることを恐れている。しかし、それでも馬鹿だ(キアヌの素朴な顔立ちが合う)。ラドロウは、肝心なところを解ってなかった。だから操り易い。そして真実を知った時に、漸く、悲しむ。
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作家レイモンド・チャンドラーは、彼の確立したハードボイルド探偵についてこんなことを言っています。
「フィリップ・マーロウのような男は、実際にいるんだ。ただし、屈せず、自分のやり方を貫くああいう人物は、探偵になんかならない」
治安の名のもとに無茶な法律が幾らでも生まれ、誰から見ても悪人然とした人物が権力を握る。それは、現代の、現実です。アメリカ?日本もです。世界中です。私は、マーロウになれないけれど、探偵じゃないところにマーロウは、そこにも、そこにも。













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by momayucue | 2017-08-07 20:24 | もーしょんぴくちゃー | Comments(0)

モンキーマインド・ユー・キューブ・バンドのミュージックライフ。 こんな時代も音楽でしょう!


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