小理屈「いやカタいのなんの」

反・天才論

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天才論というものについて、以前駄文を書いたことがあります。
天才とは、ある種の鈍感さから延々と自分の興味を掘り下げられる人物。普通周りに遠慮したりで中断するだろうに…。最近、何事かを調べようと検索すると必ず登場するWikipediaには、誰が執筆したのか、もはや定義をかなり逸脱したサンプリングがされていますが(かつての「と学会」のようだ)、天才を「あちら立てればこちら立たず」で説明しようとする例は、今やそれ程珍しいものでもなくなってきた感があります。
ビル・ゲイツはコンピューターの天才ではなく、ビジネスマンだ、と言いたがる傾向。ウィンドウズの発想はそもそも、MacのUI思想にインターネットを付加したものに過ぎない、という定説がありますが、iMac以来アップルに返り咲いた、かのスティーヴ・ジョヴスも、もはやヒッピーの代弁者ではなく、他人のアイデアを平然と盗む冷徹な経営者。やっかみも事実も孕み、説はどんどん独り歩きしてしまいます。が、経営者だって天才性で語れる筈。それとも、天才はゴッホの様に自分の耳を切り落とさなければいけない…?でもそうだとしたら、ある意味簡単じゃないですか。80年代にインディーズで大変な評価をされたphewという女性歌手は、「鉄道自殺すればいいだけ 天才なんて誰でもなれる~」と、見も蓋もなくばっさり。作品よりもエピソードに関心が注がれる風潮なんざ、凡庸の表れですよ、という訳です。

一方、旧来の天才の逸話は、幽霊の目撃談になってしまう訳でもなく、ちゃんとそこにあり続けます。アインシュタインの帽子のサイズ。モーツァルトの書き直しが一切無いスコア。ドラマーのスティーヴ・ガッドは、スティックを手にした瞬間にシングル・パラディドルを叩いた。

そう言った伝説を丸ごと否定は出来ないですが、私は数年前から、「一般的な天才(なんじゃそりゃ)というのは、一寸迷惑なヤツ」という説に傾いています。つまり、他人に構わず平然と努力し続けるか、他人に隠れてでも夜中に努力するか。どちらにしろ、時間と労力を費やすのは必須で、あとは何を鈍感にするか。

であれば、天才の反対側にいる無名の人々(紙一重のなんとかじゃないよ)も、同等の質量を持つことを認めなくてはおかしい。

凡才を、空気読みの為か或いは単なる怠惰によってか、あたかも「ちゃんと努力しなかった人」と定義付けるのは、私の主義にも反するし、ごめんです。それが出来ない苦しさや弱さは、もやもやとした鬱の形で、世界に蔓延している。カウンセリングを生業としている人は、そのナイーブさを最善の形で肯定しようと試み、炭鉱でガスを察知する小鳥に喩え(その喩えが既に彼等を傷付けることも慮らずに)てみたり。
ただ、私はこう考えようと想うんです。そこに何かの危機があったとする。うまく説明も出来ずにダメージを受けてしまう平凡という非凡を、肯定し、耳を傾け、私自身の足りない(サイズの小さい)頭で理由を捜すつもりです。何故そんなことをするのか…、それは、
「ぼくのレーダーが、そこに音楽を見出しているからだよーん」
としか言えない。確かに天才にひれ伏す音楽もあるでしょう。しかし、音楽の法則の、それ自体が充分に音楽である事実の前に、才能なんて要らないのだ。音楽という現場での群像には観客も含まれます。私が最も心を惹かれるのは、受け手も絡んだその群像なんです。元々群像劇にぐっと来る体質でもありますが、音楽とは、全人類だったり、わらべ歌レベルだったり、前衛音楽だったりと形を変えながら、コミュニティに訴求するものだからです。
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Commented by ケーブルアーティスト at 2009-06-11 23:05 x
みな天才になったら天才の意味がなくなるので、
天才はバカを感謝しないとね。
誰でもなれるならバカのほうが尊敬対象でしょう。
って、やっぱり興味をもったことに集中して時間をかけたやつが
天才なんだろうなと思いますよ。



Commented by momayucue at 2009-06-12 00:23
ケーブリストさま、ご無沙汰です!
そうそう、同じように、全員が勝つゲームも無いし、
全員が金持ちってのは、ありえない。単に総中流でいいじゃん。と想うんです。
ぼくは日本の平和は、美徳だと想うし。

ただ、これって共産主義?とも想ったりして。
確かに、少し退屈なイメージもあるんですよね。

どうしたもんだろう、…捜せ、グローバル・ハッピー
Commented by みっちい@体調回復? at 2009-06-12 09:37 x
賛成の反対の酸性なのだ。

残念ながら変態なので天才さんの才能を横目で見ながらラーメンをすするのだ。

これでいいのだ。
Commented by momayucue at 2009-06-13 03:10
みっちいさま、ちす。
変態なの?それってある意味、努力を超越した天才だわ…。

えーと、ぼくはその方面では(どの方面やねん)凡人です。
by momayucue | 2009-06-11 21:10 | 小理屈「いやカタいのなんの」 | Comments(4)

モンキーマインド・ユー・キューブ・バンドのミュージックライフ。 こんな時代も音楽でしょう!


by momayucue
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