小沢健二が、ツアーをしている、2010年の春から夏にかけて。
「強度を上げる為の旅は終わった。
やわにしか生きられない奴等の為に、仕切り直しだ」
と、この曲から始めてはくれなかったらしい。
ぼくは彼の熱心なリスナーではないし、
「球体の奏でる音楽」を、
村上春樹が推する程には、かず聴いてない。
でも、やはり嬉しい。おかえりオザケン。
2010/5/24@中野サンプラザ。
…ところでこのホール、誰か潰したりしないだろうな!!!!
この日のコンサートの最後に、オザケンが、こう言った。
「岡崎京子が来ています」
泣いていた、と。ぼくもそれを知って、泣いた。
興味のある人はとっくにtwitterで知ってるだろうし、
ここでぼくが書いて、何か発見は無いと想う。
でも、書こうとしていることは、これからなんだ。
1996'5月、漫画家の岡崎京子が、交通事故に遭った。
本当に、幸い、命「だけ」は取り留めたのだが、
彼女は散歩中、歩行者だったし、
相手は、クルマだから、
とてもとても、本音として「幸い」なんて言葉は使いたくない。
命以外のものに徹底的に引っかき傷をつけた事故だった。
小沢健二は、生死を彷徨う彼女の病院に駆けつけ、
「家族です!」
と嘘をついてICUに入った。
…。
ぼくが、19歳のある春の日、高校の後輩のまた後輩が、死んだ。
白血病だった。
亡くなった彼女と親友のIさんが、ぼくと親しかった。後輩の後輩。
彼女の血液型はぼくと同じ。直前に輸血する筈が、深夜に別な友人から電話が。
「輸血、要らなくなった」
その時、初めて家族だけが知る本当の病名を、ぼくも知る。
お通夜。そして、告別式。
親友のIさん、ずっとずっと、泣き続けてた。
葬式で、父の時もそうだったのだけど、どうにも生理的に納得が行かないことがある。
火葬。
焼くって、なんで?酷くない?
仕方が無い?オレは辛かったよ。
その日も、19歳のぼくの眼の前で、告別式が進む。焼香。
そして、親族だけがバスに乗り、霊柩車が火葬場へ向かうことになる。
Iさんは、いっそう泣き続ける。
バスが出る時、親友の名を呼びながら、Iさんは追いかけ出した。
近くにいた同級生が、彼女を捕まえる。
力無く振りほどこうとしたけど、もう、…見送るしか無かった。
ぼくのトラウマ。
ぼくは、その場では先輩と呼ばれてた。
勿論大人もいる。しかし、大人に出来ないことで、
ぼくが先輩として、すべきことがあった。
どうして、ぼくはバスの前に走っていかなかったのだろう…。
バスを停めて、どんなに怒られても、
「Iを、乗せてやって下さい!家族と一緒に連れてって下さい!」
と、どうして言えなかったのだろう…。
今でも、もう大変な年齢になった今でも、
ぼくは、何かの時に、
どうして踏み出せなかったんだ、と後悔するばかりの日々だ。
何とかタイミングよくあの斎場でのことを想い出せたら、
踏み出せる…だろうか。
それとも、いらん時に踏み出してしまったり?
小沢健二の話から、自分のこんな出来事とトラウマを想いだした。
亡くなった時のお通夜で、
いつまでも祭壇の前から離れないので
同期が引きずっていきました。
でも私は引きずりおろされたことは
すごく感謝しています。
常識のこっちがわとあっちがわには
やっぱり超えてはいけないラインがあって
超えないでいたから
自分の生活に戻ってこられたと思ってます。
もっとも、超えてしまう人の偉大さも
最近になってやっとわかってきたんだけど。
ゆーこさま、そういう時には、その資格があるか否かを問われるんです。
単なる感傷だったら、家族に迷惑かも知れないしね。
ぼくは、あなたのそういうところが今回タオルを集めたんだと想うし、
ぼくも少しブレーキかけながら、サポートも出来たと想う。
しかし、やっぱ演奏しくったのが悔しいのよん。
ともあれ、小沢健二は、同志を知っていたんだよね。
ぼくらも(ataも)、そうでありたい。
Iさんは火葬場に行きたいって言えば行けたと思うよ。家族の様だったし…どこかで別れなければならないんだし、骨を拾いたかった訳ではないと思うんだ。
僕達は病名を知っていたけど、患いながらも笑って学校に来てたからそんな日がくるなんて想像してなかった。
成分輸血した時ですら、元気になるって思っていました。
お家に御焼香に行ってお母さんの話を聞いて、彼女の笑顔はもう見れなくなったんだなと思った。
しかし、もう25年ぐらい経ってんだよ~
諦め悪いね~
ataさま、本文に書いた通り、Iさんはバスに乗ろうとしたのよ。
何処かで別れるのは当然だ、家族だってそうせざるを得ない。でも、
家族と同じで何か問題ある?
25年以上経ってるけど、諦めって言葉は違うんじゃないかな。
ひろいたくない骨・・・拾うのは悲しかった・・・
ぼくは冠婚葬祭の手順にはもっと自由があってもいいとは想います。
でも、父が焼かれるのなら、やっぱり骨拾うのが役割だと想った。
Iさんも、骨を拾う気持ちも資格もあったと想うんです。
でも、悲しいよね。