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つれづれ

年齢と、反原子力発電としてのたにふじの宣言

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2012年、私たにふじのヒーローである坂本龍一が、還暦を迎えました。
嬉々として赤いダウンベストを羽織った教授は、しまりのない満面の笑みで仲間にからかわれ、自身も自身をからかっていました。キツい年齢ですし、キツいお祝いですし、本人も苦笑い。成人したから、三十路を迎えたから、人間はその日から急にオトナに変わったりはしない。しかし、還暦というのは、比較にならないくらいイタイ現実、出来れば来ないで欲しかった…。


話はかわり、殊に自分のリーダー作についてはスローペースが定着しているのに、どう考えてもワーカホリックの山下達郎。暫く音沙汰のなかったコンサートツアーを、56歳の或る日、
「向こう数年間はどんな形をとってもツアーを続けたいと想う」
と、まさしくツアー中のステージで宣言。私も聞いています。また、ラジオや雑誌のインタビューなどで、幾度も告げていました。
暫く休んでいた理由。様々な事柄があるのですが、前出の通り、彼自身はワーカホリックです。常に誰かのアルバムやシングルをプロデュースし、スポンサーと自らのタイアップ作品も確実にニーズに応えるべく制作を続けています。しかしそれでも、アルバムのペースが落ち、ツアーとなると更に。体力の衰えも勿論あるでしょうし、生活の節目の様なプライバシーに係る事もあるでしょう。見渡してみると、クリエイティブな仕事というのは、40代のある時期落ち着くのが普通な様です。

そして達郎は、50代半ばから、ツアーをやると、宣言を「敢えて」することになった。

ツアーが一旦困難になった理由として、あまり語られるのは氏の本意ではないかも知れませんが、バンドの固定メンバーをよそに引き抜かれたので、と言われています。20代の頃から、ツアーもバンドも殆ど共にこなしてきた鉄壁のリズム・セクションが、崩れた。しかし、それが遠のいた理由の全てでしょうか。では、それらを再編成してもツアーという重労働に再度向かうことになった理由は、何?


処で私の場合、40代の音楽活動がそのまま「もまゆきゅ期」にあたっています。

これ程音楽のことばかり考えてる生活の私ですが、実は活動となるとそれ程忙しくない。
勿論主たる理由は、専業に出来ない零細音楽家だから、生業をしないといけないからですが、サボる背景はやはり皆がそうであるように、集客です。お客さんに来て貰って、楽しんで貰って、次にもまた来て貰える様に、ステージを頑張る。しかしそれも、継続してなんぼなのに、息切れが先行していてはだめだ。そういう意味では、40代(まだ終わってないけど)は比較的頑張った方、ということになりそうですが、この数年、もまゆきゅの
2ndがなかなかオトセないでいる間に、いやこれは全然足りない、という恐ろしい想念に捕われています。私には、音楽が足りないのです。
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10代の頃の私は、年間に50曲から100曲は作っていました。そんなに作っててクオリティなんて少なくとも今の自分の基準では当然担保出来ませんが、兎にも角にも、多作という意識すら無く作っていた。インストも、歌モノも、フォーク的なものも、前衛的な作品も、手間をかけることなくドロップしていました。
最近はどうか。アイデアは沢山あります。ノンコンセプトの曲も、コンセプトも。しかし、もどかしい程に進まない。半年に1曲では、到底真っ当な音楽家のペースとは言えない。
どう考えても創作も制作も時間がかかっている。つまり、衰えです。何もしないと、何も残せない、何も作れない、演奏出来ない。最も活動的な年齢は過ぎていても何かしたいのであれば、それは、…普通には出来ない。頑張らなければ、出来ない。そしてある種の燃えかすに近い(それは音楽制作のみならず、イチ社会人として下り坂の時期であるという意味でも)私は、今屈したらもう何も作れなくなる。それはもはや、死ではなく「老い」の恐怖です。


山下達郎は、何故ツアーに再び出たのか。その理由は、
・ホール等のインフラが時代と共に変わり、中規模のものが各地で閉鎖に追い込まれている。ここで実績を残せるミュージシャンが残さないと、総崩れになりかねない。
・コンサートが音楽ビジネスのコアになりつつある。しかしその形態は、極端なメジャーによる複合ショーと、趣味のバンド等が知人を集めて開催するライヴハウスでの、原則自己負担によるリスク回避、に集中し、僅かに野外フェス等がその間の音楽を稼働させている。これは…、寒い。数年でバブルが崩壊する。
そして、
・自分も還暦を控え、いつまでもこれまでの様に圧倒的な声が出る時期は続かない。
と言ったところではないでしょうか。

つまり、「もう時間がない」。


私は、まだ還暦にはいささかの猶予がありますが、果たしてスタートラインにさえ立っていない。
日常の中で思考は常に遮られ、疎まれ、優先順位を真っ当なレベルに落とされる。1曲を、作るどころか歌うことも、時には聴くことも人に迷惑をかけている。


しかし。この迷惑な恐怖に、オカルトにもサイコにもたじろがないたにふじは、ハムスターの如くからからと怯えているところ。
by momayucue | 2012-07-09 01:05 | つれづれ | Comments(0)

モンキーマインド・ユー・キューブ・バンドのミュージックライフ。 こんな時代も音楽でしょう!


by momayucue
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