この映画、憶えてますかね皆さま。
公開当時はガンガンCMスポットもやってたし、
テーマもキャストも突き抜けてたし、
多分ヒットしたんだろう、と想っていました。
しかし、あまりにも廻りの人の記憶に残ってない、噂にもならない。
ぼくの周辺だと、寧ろ「狂い咲きサンダーロード」の方が語り草になってる。
何処か、半端な立ち位置になっているのがこの「太陽を盗んだ男」です。
犯罪、やくざもの、の映画は日本に昔から沢山あります。
完全にピカレスクに徹したものも、例えば水谷豊の「青春の殺人者」とかね、
何とかこの「悪」を悪のまま伝えよう、
フィルムに収めようとした傑作映画です。
カルト作品としては、「狂い咲き」も「青春の殺人者」も、
世界に名だたるものだと想う。「時計仕掛けのオレンジ」みたいなね。
一方、主人公の背景も含めて丁寧に描き切って、
映画的カタルシスにきちんと奉仕したピカレスクだと、「復讐するは我にあり」や、
結構幾つもある。
ぼくはもともと、日本映画が洋画に比べてどうこうなんて、
あまり考えたことがないです。
何処の国にも、それぞれ特色があって、
最近のスウェーデンのものなんて、普通にスプラッタな血の色と量だし、
邦画も、予算はともかくしょぼさは感じない。
好みの問題だけどさ。
「ホワイトアウト」だって外国人が観たらリメイクしたくなるんじゃない?いい意味で。
えーと、太陽を盗んだ男。冴えない理科教師が原爆を作り、
警察や国家にギャグをぶちかましていくストーリー。
沢田さん扮する先生は、プルトニウムにひとかたならぬ関心があり、
変装して派出所の警官に近付き、麻酔ガスで襲って拳銃を奪い、
着々と東海村のプルトニウムを強奪せんとする。
一方、生徒と共に乗ったバスがイカレた奴に乗っ取られ、
皇居に行け!と。陛下にお話しがある!と。
で、すんでのところで、菅原さんの警察側と共同でそいつを取り押さえる。
教師は、その刑事をターゲットにした。
そこで、犯罪者と刑事とが交錯し、事件に膨らみが出る。
原爆を作った謎の脅迫者は、完全な愉快犯、シリアルクリミナル。
野球中継を最後迄放送しろ。ローリングストーンズを来日させろ。
たまたま要求の窓口になった女性DJも、事件にのめり込む。
作り込んだディテールでも、カルトに振り切った作品でもなく、
一寸中途半端なんだけど、どうも好きなんだ。
DJの池上紀美子さんや、カメオに近い水谷豊さんのアクセントも、いいです。
ぼくは入り込んでみてしまった。
プールにプルトニウムを巻いて大量殺人のシーンは、
多分最短でも20分はかかるし炎症反応が皮膚にでるだろうから、あれは幻視だろうとか。
最後の爆発音は、核融合は起こせないから原爆とは言えないにしても、
放射性物質を都内にばら撒いたのは間違いないな、とか。
頼まれもしないのに考えてしまう。空想科学なんとかみたい。
ぼくは、出来れば正義が勝って欲しい人です。
正義の概念云々なんて、子供レベルの判断で充分、大義の為に戦争も信じない。
権利を主張して殺し合いも、しない。
列の割り込みが大嫌い。
それでもピカレスクは好きだし、かっこいいと想う。
うーむ下らないなとか言いつつも、やっぱりジュリーは「悪魔のようなあいつ」から似合
うんだよね、このテが。
メジャー感とカルト感の中庸で何故か忘れ去られてるこの荒唐無稽な映画を掘り起し、
ぼくはこんなバカとちゃうことをやりたい、と世間を憂う。
この無茶で無意味で深みが無くてただもうキラキラとした映画を、
少しでも多くの人が、きゃあきゃあと喜んで欲しい。
コレも最近レンタルで見直しました。
もし、今撮るなら城戸は何を要求するんでしょうね。
ナイターの延長は当たり前になって、ストーンズもまた来日公演しますもんね。
そういえばダブル健さん主演の『新幹線大爆破』をBS-TBSで1月12日に放送するそうです。たにぴさんは観たことありますか?
これも大好きな邦画です。
観たいですねこれは。スピードを更にかっこよくしたカンジです。すごいことです。