多分アジア人の、たにぴ@もまゆきゅです。
TEDというまあギリギリな映画に、あの可愛いノラ・ジョーンズが本人役で出ています。
「イスラムとのハーフ」とテッドに言われて、
「インド人とのハーフよ」と呆れ顔。
想うに、韓国人だったよな、と言われて日本人だよって返すのは、
インドとイスラムを(わざと)間違える程のギャグにならないだろうな。認知度的に。
でも、笑えるというよりは、ガキみたいな映画。なんでノラちゃんは出たんだ?
そうとうにF○CKな台詞を浴びせられてたけど。
えーと、全くどうでもいい前置きでした。
ただ、ノラのお父さんは、ラヴィ・シャンカールという超大物シタール奏者。
そこに繋がるだけでした。
しかも、ラヴィ・シャンカールとこのヴァイオリン奏者とは、
名前が一緒なだけです。
ほんとはこのラヴィさんについてと、インド音楽界の2大巨頭のもうひとり、
ヴィラヤッド・カーンについてとうとうと語りたいところを、
ぐっと抑えて…、シャンカールに行きましょう。
L.Shankarというヴァイオリン奏者。兄のL.Subramaniamも本国では巨人中の巨人で、
兄弟どちらもインド音楽のタッチが色濃く、その為、
一寸聴きかじったくらいでは両者のスタイルの違いを見付けるのは困難。
それだけインド音楽の様式はパワフルだということですね。
かのECMから出ているこの作品では、
ECMというと何かと駆り出されるヤン・ガルバレクというサックス奏者と、
ペレ・ミッケルバーグというトランぺッターと、
3人での異種混合セッション。
いかにもECMなムードと、サックスとトランペットと、
エルさんの場合ダブル・ボウという特殊なスタイルのヴァイオリンで、
やっぱりちゃんとインド音楽のムードと、
両方が共存していて、興味深い。しかも明るい。
金管楽器がユニゾンしているからか、物凄く溌剌としているんです。
教授がベルトリッチの"Little Budda"の音楽を担当した時に、
やはりかなりインド音楽を取り入れてました。
シャンカールの兄スブラマニアムもソリストで参加。コンサートでも共演していた。
当時の映画音楽のアドバイザーは、経験豊富で圧倒的な技術の、
タブラ奏者ザキール・フセイン。
インド音楽の全世界への道を切り開いた功労者はラヴィ・シャンカールなのは、
ビートルズとの接触により決定的になった。
しかしラヴィ・シャンカールは、言わば大物体質で、
どちらかと言うと精神面での影響が大きい。
ぶっちゃけトリップ感というか、瞑想に向いてる音楽じゃないですか。
一方で、インド音楽はパワフルでもある。
とんでもない技術と、非常識というか拷問に近い奏法とが、
カーストによって助長されてきた。
タブラという打楽器をぼくが初めて聴いたのは、ザキールでした。
これは凄い、その他のパーカッション類と全く特性が違う、と仰天しました。
ザキールと、L.シャンカールや一部のアグレッシブな奏者が、
ジョン・マクラフリンと早くにバンドを結成し、
ピーター・ガブリエル、ザッパ、ビル・ラズヴェル等のオープンなミュージシャンとも、
常に新しい音楽を造ってきました。
幾人もいる、ぼくの非常に想い入れの強いインド音楽の達人達。
L.シャンカール、ザキールなどの名前が入っているアルバムだったら、
どんなジャンルであれ、もう破格になるのは約束されている。
それ程広範囲でなくても、
ウスタッド・ヴィラヤット・カーン、アララカ・カーン、ナゲシュワラ・ラオ、鈴木弘、
なんて人達は、見つけたら押さえて絶対損はない。
ただ、これ程穏やかなL.Shankarはなかなかレアです。
いつもは凶暴というか野蛮というか、
マクラフリンと闘うみたいな演奏をしているので、新鮮かもね。