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もーしょんぴくちゃー

怒りのデス・ロードを走る、いかれたマックスに関するアンチ・テーゼ

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2015'8月の時点で、6月の公開から興奮も幾分落ち着いてきた感のある、「マッド・マックス 怒りのデス・ロード」ですが、評価というか目撃談(ウィットネス・ミー!)というか…は相変わらずの上擦りまくりです。皆口を揃えて絶賛し、興奮し、バカ映画呼ばわりしています。実は非常に緻密な設計と手堅い演出と熱意に基づいた映画作品だ、という意見も玄人筋では散見されますが、概ねは、何かとんでもないもの扱いしているようです。
「ギターが火を噴く?」
「銀のスプレーで成仏する?」
「マックスは唸ってる台詞が半分!」
「フュリオサ、レプリカントみたいなメイク?」
まあ降参したくなるトボケたシーンは1分に4~5回はあるのですが、それでもぼくは、バカなアクションとはどうしても想えない。それも、アクションを隠れ蓑にした何か…というものですらなく、美と感動の、真のスペクタクルだと想えてならないんです。今日はそんな話を。

最近、「進撃の巨人」の実写版についても、映画の好き嫌いとは別な暴論を吐きましたが、今回もきっと反感を買うだろうな…、個人的には、良い映画とは、アクション映画ではないとさえ想っちゃう程です。暴力、残酷、エロティック、等が良い映画で、いかな質が担保されていても、アクション映画ってものは隠れ蓑で、さもなくば受け取れる情緒が極めて限定的だ、と。
まあその割には「パシフィック・リム」とか「ヘル・ボーイ」とか「ダイ・ハード」大好きだったりするし、無責任ですすいませんすいませんってカンジ。ただこの場合、…この場合っていうのはつまり"Mad Max Fury Road"という映画の場合ですが、アクションなんだろうかこれ…。

所謂アクション映画のずるい処は、時間との闘いや、追跡と闘争や、ハラハラドキドキ…させてる訳です、終始。それが持続するうちは、所謂突っ込み所があっても最後まで緊張して観ちゃうでしょう。で、最期に文句言ったりして、でも楽しかったね、という展開になるじゃないですか。
どうでした?怒りのデス・ロード。そうじゃないな…と想うのはあたくしだけですか?観てても、焦ってこない。ずっとゆっくり浸っていられる。どちらかというと画面が充実し過ぎてて、ひとつひとつの所作に見惚れてしまったんです。
まともな会話を殆ど拒絶し、う"ーとか呻くばかりの前半のマックスは、「パリ・テキサス」のトラヴィス並みのボキャブラリー。砂漠の砂のさらさらとした金色は、ベルトリッチの「シェルタリング・スカイ」のようだったし、その場面での音楽は坂本龍一のスコアみたいだった。傷つき絶望しながらも立ち上がるフュリオサの佇まいには、きっと沢山の人がジャンヌ・ダルクの遺伝子を感じた筈(それも、あの映画でのジャンヌ・ダルクではなく、歴史上の彼女のことを)。一方で登場するフリークス達は、ホドロフスキー作品の常連であっても不思議じゃない。そう言えば真夜中の湿地帯を蠢いていた両手足を竹馬に括ったかのようなあれ、何者だったんだ…。
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兎に角うさぎにつの、ひとつひとつが、設定として新しい訳ではなく、ただもう美しいんです。

確かに、殴り合いのしっぱなしだし、恋愛要素は皆無だし、エンドロールはゼブラヘッドだし、かなり馬鹿げたところもあるかも知れない。でも、これは、そういう「盛り上がりたい」人達へのサービスや、よしんば肯定をも謳った、職人的且つ芸術的な映画オブジェクトなんじゃないか。

完成度の高いアクション映画、それも褒め言葉だし、「単なる完成度の高いアクション映画に留まらない」も褒め言葉だけれど、この作品に限ってはやっぱり幾つかそれでは満たされない気分が、ぼくには残ります。核戦争で終末をも過ぎた近未来の瀕死の人類。科学も医療も農耕も牧畜も、ほぼゼロかマイナスからやり直すしかない。それどころか、まだじわじわと下り坂のラストワンマイルを転がっている様。ライトセーバーも胸に"S"と書かれた超人も登場しない戦国の世は、コスプレ感はなく、骨太な群像劇しか立ち上りようがない。現代人が16世紀中世の服を着る必要がない。リアル。近未来という言葉すら意識にかすめない程、確実な景色。そこではきっと、マックスの出逢わないあちこちで似たような集落が起こっていて、また、マックスがいたからと言って彼が超人的に秘孔を突きまくって解決するわけじゃなくて、寧ろ一寸だけ積極的な目撃者に近い立場(ウィットネス・ミー!)。本当に、個人的な再生の物語の中で、自分も再生するという小さなスケールなんです。人類の命運がかかった壮大なコスプレとは、一寸違う。
フュリオサという戦士がフューリー・ロードを駆け抜け、マックスとたまたま合流し、水の溢れる谷に戻る。フュリオサの伝説にマックスがふとかかわった。どちらかと言うと、彼は、助けられている。そして、実に慎重でゆったりとした群像の醸造。

…にしては派手だ。うん、派手だねー。アクションですねー。

ぼくがダイ・ハードの初作が好きなのは、N.Y.からロスにたまたま来た刑事が、未曽有のビル・ジャックに巻き込まれ、超人的な身体能力でも天才的なITスキルでもなんでもないのに、どうにかこうにかなけなしの正義感に鞭打ってギリギリの勝ちを掴む迄の、その緻密な駆け引きと群像です。前にも書いたかも知れないけど、ピクサーがCGで大作アニメを作り出してからと言うもの、映画製作のマニュアル化は正直うんざりする。ストーリー面では、先手を打った巨大な悪があって、ヒーローと仲間の対立と和解があって、大団円のカタルシスのあと、やや不気味な続編への伏線を張る。音楽はカット割りのペースと極限迄シンクロさせた、太鼓が唸るばかりの汎用的なエピックもの。アクションヒーローものは動員が見込めるからと3Dも製作して(しかも後から加工で作れたら、製作費には響かない)単価を上げる。
どんな状況にも背景はあるし、「大人の事情」は却って子供でも知ってます。「○ュラシック・○ールド」なんて、カット割りや時間配分は完璧だけど、シナリオはその時間配分に当て嵌めただけの、かなり辛い出来ですよ。それを、ヴェラキラプトルという恐竜を可愛く魅せることで、アベレージを超えようとしてる。


はっきりしないんだけど、近々リリースされるであろう"Mad Max Fury Road blu-ray"には、モノクロのバージョンが収録されるとか。「神々のたそがれ」の砂漠編みたいにならないこれは?音楽も地味にしたり出来るんだろうか…ってそれは無理だろうな。いずれにしても、とても楽しみだ。モノトーンになってアート性が強調されるのは間違いない。もはやバレバレです。


でもねでもね、いっこだけ言っていい?
タイトル前にマックスが一度捕まって逃げるでしょう。イモータンのアジトの中を走り回って逃げるシーン。あそこでのトム・ハーディは勘弁して欲しかったな。エリマキトカゲじゃんか!










Commented by こぞ at 2015-08-29 17:30 x
暴力、残酷、エロティック・・・
しまった!大好物だ。

マッドマックス、地方都市の哀しさであっという間に公開終了。
転勤だ、引っ越しだ、入院だ!なんてしてる間に結局観れずじまい。
BD・DVD化を待っております。

「○ュラシック・○ールド」ボクは楽しかったですよ。
ストーリーは予想通り・・・、でもでっかい恐竜同士が戦うだけで男の子は熱くなっちゃいますよ。ジョン・ウィリアムスの音楽は卑怯なくらいその気にさせるし。


あ、「ダイ・ハード」は野沢那智の吹き替えでお願いします。


Commented by momayucue at 2015-08-30 17:57
あの映画は、実はジョン・ウィリアムスはメインテーマだけ流用なんです。
恐竜はね、ぼくも好きだし観たい。

マッドマックスは、…、うーん、立川でもいいから(ってか立川さいこー!)映画館をお勧めだよやっぱ。
Commented by こぞ at 2015-10-31 16:40 x
やっと観ました!デスロード!!

レンタルBDですが、ヘッドフォンで大爆音再生。
バカですね、凄いですね、最高ですね。
やっぱり劇場で観たかった。

最初っから最後まで「ヒャッハー!!」な映画でした。
ワイブスの5人はみんな綺麗で、誰にしようま迷っちゃうし。(なんでだ。)
ニュークスの最期なんか「よく死んだぁ!!」って叫んじゃいましたよ。

レンタルなのに特典映像が沢山。
あのWネック、ちゃんと楽器として弾けるのはびっくり。

セルBD買おうかな。
Commented by momayucue at 2015-10-31 23:10
こぞさま
ではでは、ジョンウイックは映画館で!
Commented by ゆーこ at 2015-11-01 21:28 x
V8!V8!
Commented by momayucue at 2015-11-01 22:18
わら。らぶりーでぃっ!
by momayucue | 2015-08-23 22:16 | もーしょんぴくちゃー | Comments(6)

モンキーマインド・ユー・キューブ・バンドのミュージックライフ。 こんな時代も音楽でしょう!


by momayucue
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