つれづれ

OFF DA COAST/日野皓正

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足腰が弱ってる、たにぴ@もまゆきゅです。

トランペットという楽器のせいなのか、
日野さん、年齢よりも遥かに骨太。
70年代から、恐らく日本で最も早くにファンクを演ってたと想う。
その後フュージョンも一般的になって、
スタジオ・ミュージシャンも、
自分の音楽的なスキルもイディオムもフルに発揮出来るようになった。
欧米との違いも、また良かった。
ただ、その時代からずっと、日野さんのラッパには、「和」があった。

トランペットという楽器が元来陽性でいながら物悲しい音色。
マイルスには演歌はないけれど、やっぱり物悲しい。泣きのミュートですから。
抑えの効いた日野さんプレイって、美空ひばりとかも合うんだよね。

このアルバムは、単体でも音楽としてなんら欠落感はないんだけど、
実は、一寸変わった存在のしかたをしてる。
ストレート・アヘッドなJazzの、Off The Coastというアルバムがまずあって、
それをDJが再構築する形で、凡そ好きなようにいじりまくったのがこちら。
所謂DJ MIXってヤツです。
しかもそのいじり具合がねー、「いじる」よりも「いぢる」的な。
つまりより大胆にいぢってるわけです。
完全HipHop仕様になって、ラップもカツンカツンに入ってる。

すみません白状します。Off The Coastは聴いてません。
ごめんなさい、こっちばっかり聴いてます。
日野さんすみません殴って下さい、なんちて。

えーと、ぼくは日野さんの古くからのファンではありますが、
もう既に過去の話になった、例のステージぶん殴り事件のことを、書きたいと想います。

くだんの動画を見たところ、幾つかの事実に気付きます。
1、問題の高校生は、自分のドラムソロの時に与えられた時間を大きくオーバーした。
2、他の高校生達は茫然と待つしかなく、日野さんも困った。
3、明らかに最初に注意して止めに入ってる。
4、止まらず、日野さんがスティックを奪っている。
5、それでも手で叩く高校生ドラマー。つまり、わざとやってる。
6、日野さんは、どう見ても、撫でてるレベルじゃなく、ぶん殴ってる(^^;

次に、周辺状況を分析します。
1、高校生ドラマーは、わかっててやってる。
2、状況から考えて日野さんは、ある程度耐えたけれど、他の生徒を守る為に、手をあげた。
3、「殴ることはない」という意見もあるらしいが、
 残念ながら殴って止まったのもラッキーだと想われる。
4、某お笑いの人が、「あんなことするなら音楽家としても大した音楽家じゃない」と言ったらしいけど、
 どう考えてもそれとこれを関連付けて考えるのは音楽を聴いてない。

さて、多くの人が既に指摘している推理を。
1、恐らくその高校生ドラマーは、「セッション」という映画を観ている。
2、自分にはそれをやる技術的資格やパッションがあると想っている。
3、日野さんはそんなものを理解していなかったし、誰にとっても迷惑だった。

で、たにふじの一応の持論です。
1、日野さんのやったことは、正当防衛で、ああして止めなければ他の生徒は被害者だった。
2、残念なのは、あのくそがきドラマーの予兆を楽屋で察知して牽制出来なかったこと。
3、その牽制行為は、本来なら指導者がやらなければならないことだが、
  継続的な指導者とは学校や親である。それをたまたま超一流のJazz Musicianが負わされた。
4、日野さんの音楽は、大したことなくはない。実に実に素晴らしい。
5、日野さんはかなり優しい人物だが、それでも殴ったときは緊張したと想われる。
  実際くだんの動画では舞い上がって髪の毛掴んで、止める意図とは別に、
  「何だその顔は!」
  と一喝している。この言葉はくそがきの眼を覚まさせる言葉とは少し違う。
6、ヘタしたら殴っても止まらず暴れ出したかも。その可能性は高い。

要するに、
1、あの場ではもう他にどうしようもなかったし、少し遅かった位かも知れない。
2、本番迄にあのくそがきを抑えられなかったのが、誰の責任であれ残念。
3、これが最も重要なのだけど、
  この事件とは全く無関係に、セッションという映画は酷い。

ぼくは映画評のところでもちらっと書いたけど、
Jazz映画としてもつまんないと想うし、
音楽に無関係な人にとってみてもあんまし成り立って欲しくないと願ってる。
ただ、あの映画に刺激されて、
「おれっちもいっちょやったる!」
と想い込むくそがきが出てくるのは、まあ予想出来るし、
本当に凄いドラマーなら出来るのかも知れない。
圧倒的な演奏というものは、世界に存在する。
楽器にもよるし、環境に左右されるのは勿論だけど、
もしもあのくそがきがスティーヴ・ガッド並のプレイが出来たらば、
誰もぐうの音も出なかったかも。
メセニー並のギターだったらうまくても凄くてもよい結果は生まないと想うが。ドラムならね。
それでもタイプがあって、スティーヴ・ジャンセンだったら違う。
ガッドのスタイルが重要なんですよ。良し悪しだけでなくスタイルが。
かなり曖昧な意見になっちゃった感があるけど、
要するにあの映画のあのドラムはそれを成し得ていないし、
「日野さんの変」のくそがきドラマーもそんなレベルでもスタイルでもない。
セッションは、却って低レベルの武勇伝を得て本来以上の評価をされちゃうだろうな。
と、言うのがぼくの雑感。

70年代の日野皓正という人は、日本人のJazzでもかなり前衛の演奏家だった。
もっとアバンギャルドな人もそりゃあ沢山いたけど、
Be-Bopをひたすら模倣し、はじめっからじじぃみたいだった往年の連中とは違ってた。
フリーにひた走る人も一部にいたし、それはそれで衝撃だったよ。
ただ、日野さんは、邦フリージャズのある意味脆弱を遥かに超えて、足腰がタフだ。
渡辺香津美さんも若い頃、ステージ上で怒られたらしい。
怒ったっつっても、トランペットで、ぶわーーーってやられてたみたい。
ちゃんとやれってカンジで。
心の会話だと、
渡「え?」
日「ソロだ、お前が弾け」
渡「な、何をやるんすか?」
日「ばっきゃろ、自分で考えろ!」
という内容を、眼と楽器でやるらしいよ。
渡「へ、へい…」
それは端的に言えばジャズ理論とかを吹っ飛ばした「気風(きっぷ)」みたいな伝授だし、
だからこそセッションみたいな映画もよくわからずにまかり通っちゃうんだ。
資格を自らに問うことと、
傍迷惑も時には忘れてしまうことと、
その中でパワーや色気やテクニックを放つこと。
そんな理不尽の中に、ぼくらの音楽はあるし、世界はある。












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by momayucue | 2017-10-30 01:58 | つれづれ | Comments(0)

モンキーマインド・ユー・キューブ・バンドのミュージックライフ。 こんな時代も音楽でしょう!


by momayucue
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