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Coming To My Own/ジョン・ローン

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勿論ラスト・エンペラーは観た、たにぴ@もまゆきゅです。

東洋が舞台だから当然だけど、東洋人が主要キャストで、
こんなにお金かけて、しかし何処か箱庭感があって、
貴重な映画だった。
広大だけれど、外の世界が何も判らない、「紫禁城」に、
事実上閉じ込められた王様。
やがて、時代が変わりそこから出されて、まさしく数奇な生涯を送る。
いったい王ってのはなんなんだろうね。

その箱庭感、空洞感を演出する為に、監督のベルナルド・ベルトリッチはいつもの通り、
異常な拘りと、拘ってる振りとの両方を見せた。
紫禁城でのロケで、キャメラのヴィットリオ・ストラーロが1日がかりで配置し、
キャストの動きと日照に映える色を演出しても、
監督がファインダーを覗いて、一瞬でNGにする。NGにするなら直接指示すればいいのに。
敢えてしない。これはボスの権力誇示だ。
映画の中で王と下僕を表し、やがて王でも下僕でもなくなる時代を表すには、
俳優にも、その体験をさせる必要がある。
ジョン・ローンと坂本龍一が、餌食になった。

イヤー・オブ・ザ・ドラゴンというチャイニーズ・マフィアの勃興を題材にした映画で、
John Loneは世界に名を轟かすことになりました。
誰だあの恐ろしい役者は?って。
整った顔立ち、演技力と迫力。大物感。
いい俳優が出てきたな、と誰もが期待しました。
その彼は、ラストエンペラーに主役で起用されたけれど、
ベルトリッチ監督は、John Loneを中国史の映画に登場する現地人のスタッフとして扱い、
エキストラと一緒に食事させた。
一方で坂本龍一は満州国の支配者、甘粕大尉。
なので、イタリア人の監督と一緒に、ワインとか飲みながら。

まあその、映画の王としての監督は、映画の顔でありながら奴隷である俳優を、
精神的に追い詰めた。
ジョン・ローンがあれだけ映画界の話題をさらっておきながら、
何故かその後作品に恵まれなかったのは、
恐らく彼のベルトリッチ体験が、作品選びの眼を曇らせたからだと、
ぼくは、勝手に想っているんです。
もしも違った作品が1本入っていたら、運命は違ってた。
まあ、全て推測だけど。リドリー・スコット辺りのアクション映画があったらな…。

さてさて、そのジョン・ローンは、
井上艦のプロデュースで1枚アルバムを出しています。
それが、これ。「私の世界に」というタイトル。
作詞はかなりJohn Lone自身が行っています。
音楽は寺尾聡的なAORかと想いきや、ヨーロッパ風な冷やかな音楽。
ギターは今剛、ドラムには何とサイモン・フィリップス。
肝心の歌は、いい声で、しかも安定している。
変に作った歌い方をしてなくて、とても好感が持てる。

すぐに想像つくと想うのですが、日本主導の企画です。
でも、井上艦さんは、手を抜いたりしてなくて、
ちょちょいと器用に仕事して終わってない。
もっとジャズっぽくして、耳障り良くすることも、
寺尾聡さんみたいなサウンドに(あのアルバムは井上艦さんが曲書いてるわけじゃないけど)することも出来た。
売れたと想うよ、その方が。実際このアルバムはあまり売れなかった。
でも、そういう期待にただ応えるのでなく、
お互いにとってのいいものを目指したんじゃないかな。
ジョン・ローンって、寺尾聡っぽい感じしない。

俳優としてのジョン・ローンは、
この時代で足場を失ったようなところがあるけれど、
もっといい映画に出てきて欲しい。
当時と最近では映画の市場も大きく変化したし、
同時に製作側の人種に対する多様性も随分と改善された。
寧ろ白人が見苦しいくらいだもの。











by momayucue | 2017-12-26 22:15 | 未分類 | Comments(0)

モンキーマインド・ユー・キューブ・バンドのミュージックライフ。 こんな時代も音楽でしょう!


by momayucue
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