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Dream Into Action/ハワード・ジョーンズ

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シンセ買ってた、たにぴ@もまゆきゅです。

シンセ・ポップという微妙な言葉があったっけな。
テクノ程一般化はされなかったけど、
音楽テクノロジーをめいっぱい使っていながら、
コンセプト的には敷居が低く低くしてあって、普通に聴ける。
個人的にはHoward Jonesの登場にはあまり驚かなかったんだけど、
リアルタイムでは友達は皆驚いてた。
MIDIで全ての楽器を繋いで、キーボード類を積み上げて、
たった独りで、比較的事故の起こらない技術レベルでコンサートの演奏を行う。
ハワードはインタビューで、
「ステージの前の方に歩いて向かいながら、ヘッドセットで歌うんだ。
ライヴ感たっぷりだよ(笑)」
と語ってたけど、その新しさがぼくにはよくわからなかった。
彼のシーケンサー・ミュージックにライヴ感なんてないと想ってた。
イエロー・マジック・オーケストラのような、本当に実験的なギリギリさもないし、
「これは可能だな」
という感覚以上のものはなかったです。音楽性も含めて、安全だった。

但し、音楽性が安全だからと言って、音楽が何処までも安全とは限らないです。
Howard Jonesが取ったリアルタイムでの演奏手法は、
今ではカラオケの業界で完全にスタンダードになっています。
所謂通信カラオケは、80年代迄はレーザーディスクの媒体を店舗に置いて、
お客さんはリストを見て、へぇーっコレあるんだ!とか言いながら歌ってた。
通信で音源が配信出来るようになると、ライブラリーも増える。
当時、カラオケの音声と歌詞の画像を送る通信は、有線しかなかった。
それも今の固定インターネット回線の何百分の一だろうな…、
9600bit/secが電話回線の限界。
パソコン通信ですよ。インターネット全く普及してないですよ。
そこで登場したのが、MIDIによる演奏データの転送と、音源モジュール。
Rolandや、KORGや、YAMAHAが、
MIDIでデータを受けてシンセサイザーを自動演奏するモジュールを発売した。
もともとはシンセ小僧や音楽制作業務に使うものだったんだけど、
カラオケにモジュールとネットワークを敷くモデルを考えた人は偉いし、ラジカルだ。
需要と供給の関係からは、ニーズも生まれる。
ISDNがあって、メタル回線があって、今では光による高速インターネット。
端末側にモジュールが無くても、サーバーからカラオケ音声と映像も送れる。

音源モジュールから再生される演奏は、
一流スタジオ・ミュージシャンのタフな演奏とは違う。
伝わるかどうかわかんないけど、言わばカクカクとした演奏なんです。
そして、その音像が映えるような音楽が求められる。
イギリスから、MIDI対応の申し子みたいな音楽が発信された。
それがハワードです。
彼がヒットを飛ばして、この音像の可能性に着目した世界の音楽ビジネスが、
そのスタイルに近付いていった。それはバンド演奏であっても、
Mixing作業の中でギラギラとした派手な音作りをして、カラオケっぽくしてたんです。

ぼくがハワードのアルバムで好きなのは、なんと言っても今日のこれです。
理由は、それこそ作り物っぽくしてるけど本物のベースが鳴ってるのと、
ホーン・セクションもゴージャスだから。
そして歌詞が、少し尖ってきてる。危うくなってる。
主張が極端になって、例えば肉も魚も食べるのやめようみたいな意見を露骨に出してる。
それ自体は他人を糾弾でもしないうちはぼくは否定しないけど、
彼自身は、少し脆さを見せてしまってる。そこがいい。
ただ、音楽がラジカルじゃなくても時代がラジカルに受け止めたのだから、
いつまでも異常な人気は持続しない。
ごく普通の、人間の演奏が入っていくことによって、
彼の楽曲の良さは同じでも、売れ行きは下がる。
ハワードは失意に暮れる。

リンなどのシンセサイザー・パーカッションを導入し、
ドンカマと言われるガイド音に併せて人間がプレイする音と、
MIDI制御された演奏と、ハワード自身による演奏で構成されたステージを、
あれは確かライヴ・エイドだったかな…、TVで観たことがあります。
例えばイエロー・マジック・オーケストラのような、
楽曲の凄さからミュージシャンの腕から確信犯的コンセプトから、
もう何から何まで桁違いの音楽とは彼は違って、
複雑で近寄りがたいものではなかった。POPだった。
エレクトリック・パーカッションとMIDIと自分という、
ダンサブルでない前衛的なフォーマットなのに、
可愛げがあったんだよね。















by momayucue | 2018-07-12 22:38 | 未分類 | Comments(0)

モンキーマインド・ユー・キューブ・バンドのミュージックライフ。 こんな時代も音楽でしょう!


by momayucue
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