人望のない、たにぴ@もまゆきゅです。
Mike Mainieriは、プロデューサーとしても非常にかわれてます。
彼のヴァイブラフォン演奏が実にソウルフルなのは、
何度も当blogにも書いてますが、
渡辺香津美さんが超名作「トチカ」を製作した際のエピソードで、
「曲を書きあげると、
『これはファンクだからスティーヴ・ジョーダンだ』とか『これは誰それがいい』
とか、バンバンその場で直接電話して、レコーディング・メンバーを集めちゃうんだ」
と語ってました。
そこをうまくコントロールするのって、
例えば、アリフ・マーディンやトミー・リピューマ等々の、
所謂ザ・プロデューサーがやるものです。
Mike Mainieriが特殊なのは、それをプロデューサー目線でなく、
プレイヤー目線でやること。
ぼくにとってマイク・マイニエリって、ある意味スーパーマンです。
ヴァイブラフォン奏者としてもダントツで好きで、
リズムアレンジの定形を幾つも発明した人で、
ニューヨーク派のジャズ・フュージョンからヴォーカルもの迄をプロデュースして、
70年代から80年代の音楽をぐいぐい引っ張った偉人。
ところが、80年代のピークを過ぎると、マイクは突然表舞台から遠ざかります。
ヴァイブラフォンという楽器の特性からなのかな。
ドラムとかサックスと違って、
どんなセッションでも引っ張りだこという楽器じゃないから、なのかな。
ぼくの興味が違ってしまっただけかも知れないけれど、
かの名バンド、ステップス(のちにステップス・アヘッドと改名)でも、
やけに電化フュージョン路線が全面に出るようになってから、
あんまり追わなくなった。
それでもプレイヤーのマイクはいつ聴いてもソウルフルで凄かった。
ぼくには唐突に消えたように見えたので、身体壊したのかな、と想ってたくらい。
その後、すぐにサックス奏者のマイケル・ブレッカーが病気して、
復帰して、今度日本のジャズフェスでステップス・アヘッドをリユニオンさせた。
これは大評判を呼び、暫くそのメンバーでワールドツアーをする。
よかったよかった…、と想ったのも束の間、
マイケル・ブレッカーは、再び病気で、とうとう帰らぬ人に。
インタビューをあちこち捜して調べたところによると、
90年代後期のもので、
「アルバムとなると新曲がないといけないと想う。
しかし今迄に書いた曲は、現時点で全てレコーディングしてしまった。
ライヴは継続しているけれど、アルバムはどうだろう」
そうかー。そんなに我を通したい人じゃないんだな。
でも、誰かのプロデュースでもいいから、して欲しい。
ベン・シドラン、カーリー・サイモン、我らがスティーヴン・ビショップの作品は、
いずれもN.Y.らしい洗練を湛えた、決して古びない傑作ぞろい。
ステップスでも共演してるんだし、ぼくの好きなイリアーヌなんかを、
是非ぜひやって貰えないかしら。
この辺りはAOR界隈では非常に有名で、
意外性もないからぼくの「熱烈お勧め」には書けないけれど、
だからこそやって欲しい。
すっかり長くなってしもた。
今日のこれは、1994年のリリース。
まさしくぼくがあまりマイクを追ってなかった時期のアルバムです。
地味でオーソドックスなJazzだけど、内容はすごくいい。
ヴァイブラフォンも冴えわたってる。