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マーラー: 交響曲第一番「巨人」二短調/岡城千歳

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ども、元気溌剌ナイーヴな(^^;たにぴ@もまゆきゅです。

マーラーって、交響曲じゃないですか一般的には。
それを、岡城千歳さんが、ピアノ用に編曲し、
2002年にレコーディングしています。
どうやら前段としてワルターが2台のピアノ用に編曲したものを、
いやいや独奏でやったる!と挑んだもの。

基本的にはこういうコンセプトって、まずオーケストレーションを網羅し、
次に、楽器との取引というか、ピアノであればこそ出来ることを発掘して(アタックが活きる)、
それを前提に楽曲と対話し、自分なりの承認を得る或いは自分が承認するというプロセス、
…だと想います。

岡城さんに端的に驚くのは、ピアノ連弾を敢えて独奏にする過程で、
殆どぼくには、何も引いてないと感じることです。
詳しくは後で述べますが…。
動機は方向性として縦にふたつあって、ひとつは、「出来る」という音像が浮かぶ。
もうひとつは、独奏にするメリット。
独奏にするメリットは、当然多重録音でも連弾でもない速度のシンクロ…つまり、独りだからね。
この緩急の極端さ(ここも後で触れたい)に挑むとき、
他人と呼吸を合わせることも、
別な時間で多重録音することも、
ほぼ不可能だし、出来たとしてもこれ程の一心同体感(だって独りで一度だし)は出せず、
演奏が「滲む」ところに力点を作ることになるでしょう。
それはそれで勿論誘惑があるけれど、
岡城さんのファンであるぼくには、どう考えてもこの魅力の方が大きいんです。

教授の作品を演奏したことから岡城さんを知ったぼくは、
当時、あまりの巧さに、本物のクラシックのピアニストってこんなにみんな巧いのかと驚きました。
そして、聴き慣れた教授のピアノ曲が、クラシカルになる瞬間にも驚きました。
このことは当blogにも何度か書いてますが、
最近岡城さんとmessage交換などをするようになって、
そのふたつとも、一寸違ってたことを知りました。
クラシックのピアニストの中でも、彼女は技術的には異様な位巧くて、
誰にでもあのレベルを期待してはいけないこと。
そして彼女の緩急は、クラシックピアノ界では極端、というか異端なのかも知れないこと。
ただそれでもぼくにとっては、クラシカルに変わる瞬間がスリリングなことは変わらないです。
(ファンの反応が怖いけど)教授のものよりも好きな曲も少なくないです。

Symphonie Nr. 1 D-dur
これ、マーラーが一番最初に書いた交響曲で、
のちのペンタトニックを転がすような作風はまだ片鱗です。
(マーラーがペンタトニックとか言うのもヘンテコだが、事実だもんね)
で、最初に書いた通り、ワルターの連弾がベースになってるから、
アルバムのタイトルが、
「マーラー: 交響曲第一番「巨人」二短調/岡城千歳(ピアノ独奏用編曲版、編曲: 岡城千歳 ) ブルーノ・ワルター4手用連弾版に基づく」
なげーよ!

これだけ、抒情的に緩急をつける演奏家だったら、それは教授作品とシンパシーあるかも。
演奏とは、シンプルに言うと速度と強弱をどの位微分して何処に使うかだ。
…って言っちゃったら身も蓋もないけれど、
そこには当然思考と鍛錬が膨大に費やされるし、参考を求め過ぎると危険です。
とあるイノベーションの才人がこんなことを言ってます。
「会議室で、今から5分で、このホワイトボード・マーカーありますよね、
これを、『背筋も凍るような凄いマーカーを考えよ』と課題出したとしますよね。
凄い集中力を発揮してみんな考えるんです。
ところが、2週間とか猶予があったとしますよね。
世界中からマーカーをかき集めて、データが足りないとか言い出すんですよ」
作品を実体化させるときに、岡城さんは恐らく、既知の演奏を日常的に蓄積していて、
改めて確認すると却って時間がかかるタイプだけど(誰でもそうか…そうかもな…でも集めちゃうんだよね)、
兎に角ね、想像するのも怖い位ピアノが巧くて、且つエネルギーもあるんです。

やっと伏線を回収出来る。
連弾に比べて、普通はそうとうに引き算しないといけないでしょ、独奏にするなら。
恐らくそれはそれで熟考したんだとは想うけど、
腕も4本だし指も20本のオカシロ星人は、シンプルにしても充分に満ちたオーケストレーションになってる。
ぼくは聴きながら何度も、
「へー、これ多重録音なんだ!」
と、ド勘違いした。もしかして一度録音とビデオ収録もして、
それをモニターしながら弾いたのかな…とかね。
つまり、完璧な技術と完結した演奏表現が結実してたんです。
第3楽章なんて音の濁らせ方も斬新で抒情的。
そしてやはり2002年当時の若々しさがありながら、
現在も青春期のような演奏をしてるのもうれしいことだ。

そして、これからもまだ新しい挑戦をしてくれそうで、
ぼくらは眼が離せない…と小倉エージ風に言いつつ期待してます。












by momayucue | 2019-02-11 13:56 | 未分類 | Comments(0)

モンキーマインド・ユー・キューブ・バンドのミュージックライフ。 こんな時代も音楽でしょう!


by momayucue
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