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つれづれ

Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 12122020/坂本龍一

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どもども、未来派野郎論が好調な、たにぴ@もまゆきゅです。

どういうことだろう、「未来派野郎論」がblogのアクセス数トップになることが結構あります。
並居る教授の傑作群でも、何故かリマスターから取り残されているこのアルバム、
意外と人気はあるんだよね。
それと、上記リンクのblogポストは、かなり分析的だからなのか、
最近は週に2日程度のペースで1位になります。

癌再発後の教授は、かなり静かです。
久々にMONDO GROSSOのようなアッパーなトラックに、満島ひかりさんと供に参加した際も、
「もうこういう曲に何かするのは無理だと思っていましたが、メロディーに誘われるまま手を動かしました」と、ファンとしては微妙に寂しいコメント。
その他は映画音楽でいかにも近年の教授らしい音楽を作っていますが、
CDもMINAMATAくらいですし高額なアナログ盤としてリリースしているものも僅か。
2022年春には東北ユースオーケストラに参加するアナウンスがされてますが、
ぼくは、教授の健康状態をとても心配してます。

2020年、12/12のオンラインライヴが、2021年に、こうしてCD化されました。
ライヴ時から、リクエストを受けたりして、
「オールタイムベスト」を謳っていましたが、当然のことながら、
教授のオールタイムベストがピアノだけで済むわきゃなくてですね、
ひとつの側面ではあっても、オールタイムオールオブ教授ってことにはならない。

勿論、それが音楽的によくないって話ではなく、
寧ろ過去のピアノ曲集に比べても非常に成熟もしてるし個性的でもあるし、
圧倒的に傑作だとぼくは想います。

それは少しあとにして、…。

70年代からの教授の音楽史は、大きく3つに分けられると想います。
・YMOを含めた、アグレッシブで前衛なPOPフォーマット期。
"1996"の成功から始まったピアノ・オリエンテッド期。
CHASMから始まる、ドラムによるビートから解放された、ピアノも含めて再構築したポスト・アンビエント期。
まあこんなにすっぱり分けられるものではなく、
アイドル的人気の頃だってカセットブックでピアノ・アルバムを出したりしてます。
1stソロで高橋悠治さんとピアノデュオやってます。
但し、現代音楽で覚醒した教授も、CHASMを経てからは明らかに選ぶ音像が変わってきます。
CHASMの脇ではボサノバプレイヤーでもあったのですが、
所謂ヒットチャート的なフォーマットにさよならしてる感が強い。
YMOもじわじわと再始動していた。それはイケイケではなく、渋いバンドサウンド。
これはあくまでぼくの個人的な印象に過ぎないから、
「大きく3つに」ってのもメジャーないいぐさじゃないんだけど、
CHASMをターニングポイントにして、近年の作風に向かっているように想えてならない。
…んです。
和声というか鳴り響いている音の重なりが、
それ迄教授自ら作ってきた環境音楽群と比べて、より西洋音楽から離れ、
同時にバッハ的な「音楽のあるべき進行」に身を任せているようでもある。
他の人はどう感じるだろう。
人によっては近作は和声以前の響きと超保守的に捉えるかも知れない。
その昔は嫌ってさえいたドミナントから解決する進行を軟化と捉えるかも知れない。
どちらにしろ、それは、変化と言える。気付いた人には。

まあ、違ったならしょうがないや。

ぼくがこんな強引な分類をしてしまってるのは、結局のところこのアルバムの為なんです。
テンポ設定から、音の響かせ方から、全てのピアノ音に宿る意志が、
12122020ではそれ迄と違います。
同梱のライナーノートによると、
レコーディングを担当したZAKさんは、当日の背景にまつわる制約によって、
「かなり特殊なマイキングを強いられた」
が、
「それによりピアノを再発見することが出来た」
旨を記しています。
マイキングの制約も、影響はあるでしょう。しかし筋金入りの、長年の、ファンであるぼくは、
「ピアノ・オリエンテッド期のいつとも、この演奏は違っている」
と想う。
もしかしたら、
もたついてるとか、全盛期のような演奏は出来なくなったからとか、考える人もいるかも知れない。
実際最初に気付くのは、遅いということと、フォルテが少ないこと。

で、筋金入りの、長年の、ファンであるぼくは、
かつての攻めてる音楽もがもう新たには生まれないのだという諦念もあります。
だから、今回のライヴ・アルバムをオールタイム・ベストとは呼べない。
では、何か。
近年沢山出ているplaying the pianoとは明らかに違うこのアルバムを、
どれにも似ていない、2021年の最新の教授作品と考えています。
ベスト盤じゃない、教授は、まだ進もうとしているし、新しいし、傑作だ、と。













































by momayucue | 2022-01-29 20:31 | つれづれ | Comments(0)

モンキーマインド・ユー・キューブ・バンドのミュージックライフ。 こんな時代も音楽でしょう!


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