小理屈「いやカタいのなんの」

果たして音楽は平和ツールたりうるか

ある夏の日、アマチュア弾き語りの方のブログに、「24時間TVなんて、だいっ嫌いだ!」という記述があり、そうか、そんな季節だな、と想いました。
流石にインターネット、わざわざ好意的な発言をする人は一般にはあまりおらず、大概がかの番組をくさしています。確か初めて放送された時の欽ちゃんはじめ(きっかけはニッポン放送のクリスマス・チャリティー・ミュージックソンだったはず)、今日に至るまで大勢の芸能人が、基本的にはノーギャラで出演し(まあ契約って色々だから、バーターで金銭は動いてるとしても)、日本中の企業やボランティアを動かして、募金活動と啓蒙を成功させているのだからね。生理的にイヤだって人が大声で発言しても、そこは落とし所ってもんです。「いかにも」って演出も、完璧を目指すか、最大限、最広範囲の啓蒙を取るかの問題だしね。

たにふじの文章ではお馴染みの坂本龍一。2001年の"ZERO LANDMINE"という、地雷撤去キャンペーン曲が、勿論チャリティーものなのでギャランティーは発生せず、しかしあの偏屈音楽家の作品としては未曾有の大ヒットになりました。CMなどで断片的に耳にしていた、わりに凡庸なその作品は、きちんと聴くと、絶対に他にはない和声と、つぎはぎながら凄まじい音楽の洪水になっていて、決して音楽家坂本の仕事として恥じないものです。チェーンミュージックでは、ルパートハインがプロデュースした"one world one voice"という大作を、私は非常にかっています。ピーターガブリエル、スティング、ローリーアンダーソン、レニングラードのオーケストラ、ヌスラット・ファテ・アリ・カーン、ミルトン・ナシメント……、はあ。流石にあそこまで豪華なメンツではないけど、"ZERO LANDMINE"、も、いいよお。
当時の坂本龍一のインタビューで、非常に興味深かったのは、
「エリッククラプトンは、直前に別なチャリティーがあって、参加出来なかった。英米ではミュージシャンのユニオンで、チャリティーは年間幾つまで、と決まってるんだよね」
と言う、非常に建設的な事実。つまり、日本みたいに「これはヒューマニズムか否か」「ヒューマニズムは是か非か」なんて無限ループでなく、慈善事業もこの位にしとかないと、商品価値と利益のバランスが取れない、というガイドラインがあるわけです。
「チャリティーは兎に角楽しい。イーノとかクラフトワークとか、レーベルの関係でなかなか一緒に出来ない音楽家とも、チャリティーならすぐにやれるから。問題は、ゼロ・インカム(お金が入って来ない)なんだよね(笑)」
この言葉、カッコいい。
ただ、自分も含めて、音楽なんてものをやってる人は、ちっともいい人じゃない。むしろ問題ありな人の方が多いわけで、情操教育に役立つなんて、期待出来るんだろうか。私の意見としては、音楽なんて聴いても、ある種のマッサージになるだけで、いい人になんてなれない気がします。

首尾一貫でなく、臨機応変な日常。音楽はおいしい食事の様に、美しい映像の様に、音楽の様に(音楽だってば)、何かの気持ちを作り出してくれます。興奮、沈静、官能、攻撃。しかし具体的なメッセージでの平和構築ツール?うーむ、それは志次第なのでは。
私個人は(今回は個人的意見が多い)、チャリティーモノに抵抗は全くありません。意見すらあまりありません。何故、とりわけインターネットで怒ってる人がいるのか?多分彼等は善人である故、綺麗事が許せないのでしょう。しかし、目的がある時に、どの方法が合目的的かの方が、やはり重要。私は善人でもないし、程ほどでいいです。普通に、チャリティーでもOK。

さて、以下に恐るべき成功事例を!

もし音楽を、完結した平和ツールにするのなら、作品性だけで勝負するよりも、何らかの志がないと。
ジョン・レノンの"imagine"は、マービン・ゲイの"What's goin' on"は、もしかするとリスナーのラヴアンドピースを若干は刺激することに成功したかに想えます。
例の911テロ直後のアメリカで、放送禁止になった、つまり、これらの音楽はアメリカにとって、危険な音楽だったということでしょう。テロ直後に放送された、どうにも重いトーンのテロ撲滅緊急スタジオライブ。それこそスティービーワンダーもスティングも、どうにも力を発揮しきれない中で、私が眼を見張ったのは、ニール・ヤングでした。
彼はピアノで、"imagine"を歌った。それは、志と音楽とメッセージがタフに融合した瞬間でした。歌詞の力、と言えばそれまでですが。
例えば宗教戦争は、数千年。
ポップミュージックは、ほんの50年くらいの間に、あっという間に世界を席巻してしまった。これはとんでもないことです。メディアの進化とタイミングがあったこと、コストや技術の変化をはじめ、様々な事情が後押ししたのですが、それでも、一抹の可能性が。
山下達郎氏が某スタジオライブで"What's goin' on"を演奏する際、
「71年の発売以来、この曲のテーマは全く古くなっていない。状況は少しも変わらない」
と嘆いています。しかし、この曲はそんな風に語ってくれる人を、少しずつ、少しずつ増やしてます。
音楽には、危険な、或いは素晴らしい数学的マッサージ効果があります。
但し、使用上の注意を怠らないようにしなくては。

たにぴ薀蓄の注意書き
・音楽、音楽家、或いは音楽を取り巻く環境などを切り口に、
・単に好き嫌いではなく、周辺に必ずテーマを持って、
・音楽ジャンルを狭く捉えず、広範囲に事例を求め、
・たにふじの、或いはもまゆきゅの音楽に還元させた帰結をすること。
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Commented by ATTA at 2006-09-12 21:07 x
オールトゥギャザーナウってなんかチャリティーだったのかな?
ワンワールド〜は宗教性の強いアーティストが交わっているのが特にすんばらしいと思うっす。
Commented by たにぴ at 2006-09-12 21:43 x
All together now は、チャリティーではないけど、いわゆるキャンペーンものでした。
時代的には、Do they〜、We are〜の後ですね。
ぼくはそれ程イヤじゃなかったんだけど、
バンマスに聴かせたら、
「どうしてこの手の曲って、つまんないんだろうね」
と、みもふたもなく切り捨ててました。
by momayucue | 2006-09-06 00:11 | 小理屈「いやカタいのなんの」 | Comments(2)

モンキーマインド・ユー・キューブ・バンドのミュージックライフ。 こんな時代も音楽でしょう!


by momayucue
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