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小理屈「いやカタいのなんの」

音楽は誰のもの?

音楽は、演奏しても、聴いても、
或いは踊っても、更には音楽について語り合っても、
それぞれ楽しいものだ。
ところで、誰が最も音楽を楽しめるのだろう。
音楽について、誰が、最も独占権を主張出来るのだろう。
いや、だってね、友達が、
「映画撮ってるんだよ」
「今度ライヴがあるからさ」
と言ったら、気になるし、羨ましいでしょ。
ま、一寸面倒くさいところもあるけど(^^;
気になるというのはつまり、作る人には、ただ聴くだけの人よりも、
その音楽に対する、アドバンテージがある様な気がする、という事だと想うのです。

作る立場の末席を汚す者としては、
「ライヴを観るより、やる方が断然楽しい」
と、思わず言ってしまうのについて、全面賛成するのは一寸、後ろめたいんです。
叶うなら、演奏者も、聴衆も、ダンサー、
スポンサー、そして作曲者……、理想としては、
全員が楽しい。
更には、全員が、「自分が一番楽しい」と信じられるといいな。
それぞれが、それぞれのささやかな独占欲を満たせる、
そんな風に、オリジナルの楽しみを見つけられたら。

エイドリアン・レッグというギター奏者が、インタビューで、
「ギタリストのコンサートくらい退屈なものはない。
オーディエンスは皆、ステージのあいつが間違ったり、
椅子から転げ落ちないかを期待してしまうだろう?」
と、茶目っ気たっぷりに語っていました。
勿論それは、「ハプニング」のメタファーなのでしょうが、それでも、
もしかすると椅子から落ちるハプニングには、
どんな音楽的ハプニングもかなわないかも。
誰もが、勝手に楽しんでいい筈。
僕の中で音楽は常に、
鍛え抜かれた、完成された音楽と、もう一方に、
「誰もが共有出来る、簡単なコンセプトをもとにした持ち回りの祝祭音楽」
という概念があります。
ローリー・アンダーソンや、ナナ・バスコンセロスのコンサートは、
そういった意味でほんとに素敵。

音楽の主導権は誰に?
音楽はもともと宇宙にあった。音楽の半分は、自然の法則だ。
数学的な倍音。心臓から自転公転に至るまでの、一定のリズム。
人間は、その自然の法則の恩恵を受けているに過ぎない。

わかっちゃいるけど。作曲する者として。
音楽を聴いて下さる人が、様々な感じ方をしてくれるのは、ものすごく嬉しいし、
ありがたい。
ただ正直なところ、いやそれは一寸違うんだけど……と想ってしまうことも、
ゼロではないです。
なるべく伝わって欲しいな、とは想います。
それから、
「自分はこう感じたから、こうである筈、こうに違いない」
と押し付けられるのは、
僕等演奏者は仕方が無いとしても、
他の聴いて下さる人に迄、何かを強要していると、やはり困る。
難しいな、なかなか説明出来ないけど。人間が出来てないな……。

僕等もまゆきゅには、敷居はありません。誰でも、いつでも、みなさんの気に入ったものを、
持って行って頂けたら、こんなうれしいことはありません。
ある時はポップミュージックとして。
ある時は前衛音楽として。
ブルース、ハードバップ、BGM(エレベーター・ミュージック)……、
どうかどうか、楽しんで下さい。

僕等の音楽は、皆さんのものです。独り占めして下さい。
Commented by ゆーこ at 2007-06-12 00:36 x
私は聞き手にある程度の裁量を任せてくれるような
「余白」のある音楽が好きです。
聞き始めの頃の青山陽一さんなんかが正にそうで、
良く言えば「聞き手が音楽に参加できる」
悪く言えば「未完成(汗・・・)」で「たぶんこうありたかった音楽なのだろう」と補完しながら聞く作業が必要な
出来のライブも多々ありました。
ところが、その補完作業が必要なことは
青山さんの音楽の価値を下げるものでは無くて
その作業に参加することで
一層楽しく聞ける・・・
私にとってはそんな音楽だったのです。

もまゆきゅの1stも、残念というかなんというか
まだ聞き手の方に補っていただくべきところが
たくさんあるアルバムなのかもしれません。
願わくばそれが、どちらかといえば楽しい作業で
あってくれますように・・・

ところでこのたにぴさんの文章、
その補完作業に賛成なのか(「僕等の音楽は皆さんのものです」)
反対なのか(「いやそれは一寸違うんだけど・・・」)
はたまたそこは判断しないまま発表したものなのか・・・
それについての補記は是非欲しいところです。
Commented by とど at 2007-06-12 08:51 x
うわぁ、痛いな、何か。
私、音楽を下敷きにして、言いたい放題だからな(苦笑)。押し付けもいいとこ。でも、逆にこれしかできない。
だから、自分の範囲であるブログに留めておく。汚らわしい、と感じた人にはお立ち去り頂いて。
Coccoが自分の作る音楽を「うんこ」だと表現していたけど、私にとってのブログもそんなもの。次に進むには、吐き出さずにいられない何か。読んでくれる人がいれば、それは嬉しいけれど、それが第一目的じゃない。

ローリー・アンダーソンとナナ・ヴァスコンセロスって共通するところがあるんだ。それは、ローリー買わなきゃだな。ただし、悲しいかな無職。すぐには買えないかもしれないけど、お薦め盤は何ですか?
Commented by oxistudio at 2007-06-12 15:18 x
さて、ときどき厳しい店員がきましたよ。

「誰でも、いつでも」聴いてほしいという気持ちと、「なるべく伝わってほしい」という気持ちは、同じものですね。とても高いプライドと共にある。

そういう主張には、つい解説をつけたくなるひとはいますよ。
そんな気持ち、わからなくもないくせに。うふ。
Commented by ATTA at 2007-06-12 18:05 x
いろんな音楽があるんだからそれはそれぞれじゃない?
ガムランとか祭り囃子は誰が一番楽しい?、Mで作る自動演奏は誰が一番楽しいのか?…矢野さんは「あたしがいちばん楽しい」と言っている。
僕は自分の満足と心の平和の為に音楽をやったり聴いたりしています。
Commented by ケーブルアーティスト at 2007-06-12 20:01 x
ひとそれぞれ、いろんな感じ方をするかもしれませんが、
真剣に取り組んでれば、共通するエスプリをだれもが感じてくれます。そのエスプリに共感してくれる人が多ければ多いほど、
その音楽は作り手の枠を超えて皆の共有物になるんですよ。
補完することもなく、そのエスプリをありのままそのまま
受け止めてもらうために精進するだけでは?

Commented by momayucue at 2007-06-12 22:42
どうしよっかな、まだ早いかも、と想いつつも、
レスしてみます。たにぴ@もまゆきゅです。
はじめに、いつもながらぼく自身が自分の論旨がよくわかってない事を告白します。
Commented by momayucue at 2007-06-12 22:43
で、ゆーこバンマスさま。
補完する聴き方も、補完しない聴き方も、賛成です。
でも、例えば(あくまで例えね)
「この曲!カシオペアを意識してるでしょ!」
とか、親密さを込めて言われると、対応出来る範囲なら頑張るけど、
(意識してるのは、あなたですよ)
とか言いたくなる…ときもあるんです。
Commented by momayucue at 2007-06-12 22:43
とどさま。ローリーは今はあまり手に入らないので、お薦めしにくい面もあるけど、ぼくが一番好きなのは、"Mister Heatbreak"です。
Commented by momayucue at 2007-06-12 22:50
oxiさま。「そういう主張」に限らず、ぼく自身がついひとことすべらせてしまうタイプです。ず・ぼ・し。うふ。
ちなみに、ぼくは最近、oxiさんの発言模写がマイブーム。関係ないですね。失礼しました。
Commented by momayucue at 2007-06-12 22:51
ATTAさま。ごめん、一寸文章の繋がり方がよく視えなかったです。
「自分の満足と心の平和の為に」は、とても解り易いし、みんな納得出来るところだとは想います。
とあるムード艶歌の女性歌手が、
「自分で歌いたいと想って歌った事なんて、1度もありません」
と。しかし彼女は広く国民に支持されたし、ぼくもその歌は彼女しかあり得ない、と感じています。
彼女は不幸だったのかもね。細かくはわからんが。でも、その曲をぼくはとても好きなんです。
レスになってないか。
Commented by momayucue at 2007-06-12 22:53
ケーブルさま。
多分ゆーこさんの言っている「補完」というのは、ケーブルさんの「補完」とは一寸違うんです。多分だけど。
Commented by momayucue at 2007-06-12 22:58
mixiのメッセージでも、幾つか頂いてます。中にはすんばらしい長文も頂いていて、
なんか私なんぞにそんな申し訳ない…感謝です。
以前ね、けっこうはっきりと、
「外国語の歌はやめたほうがいい」
と言われたことがあります。そりゃーぼくの英語詞はひどいからさ。
それに限らず、もまゆきゅの音楽の中には、人によっては全く受け付けないものもあるでしょう。
全てを受け入れてもらうのは、…………無理。
ただそれは、受け入れてもらえるかどうかで、やる資格を問われるものではないから。
資格となると、基準は、それはそれは大変なことになるし。
だから、ともかく、
気に入ったものは、「独り占め」して欲しい。そのくらいの勢いです。
たとえ、作者の意図とはあらぬ方向に行っても、
誰かに押し付けたりしなければ、どんな風に「独り占め」しても、あり。
あ、でもなあ、音楽について、「語り合う」楽しみもあるしなあ。
Commented by ATTA at 2007-06-13 07:48 x
ローリーは映像付のライブものがわかりやすいと思います。
受け取る側に濃密に自分の音楽に関わって欲しいと願うのは、僕のことをもっと愛して欲しいと言っている様なもので、なかなかお願いしても難しい事だと思う。演奏を続けること作り続けること以上の道はないと思うな。(俺が言うな!うふ
Commented by ATTA at 2007-06-13 07:52 x
ジャズラのギルゴールドスタインのインタビュー読んだ?
良かったよ
Commented by momayucue at 2007-06-14 00:31
ATTAさま、連投お疲れー。
自分の音楽に入れ込んで欲しいのは、普通な感情で、
まあありがちなもの。中にゃ違う人もいるだろうけど。
やり続けるのも、ごく当然の成り行きでしょう。
とは言え、幾ら何でもヘビメタのヒトにはもまゆきゅは苦痛でしょうし。
そこはTPO。
ローリーは、そうだねー、あの動きを観ると、
突然全てが押し寄せてくるものね。
そうだったそうだった。
by momayucue | 2007-06-11 21:28 | 小理屈「いやカタいのなんの」 | Comments(15)

モンキーマインド・ユー・キューブ・バンドのミュージックライフ。 こんな時代も音楽でしょう!


by momayucue
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